江戸 赤坂 豊川稲荷 巴里 銀座 新橋 東京 浅草 浅草橋

夜はたゞしん／＼と心さびしき寝屋の内、これ江戸の俗謡なり。一夜不眠孤客耳。主人窓外有芭蕉。これ人口に膾炙する少

学識の博い事が分る。いつぞやわたしが天明時代の江戸の書家東江源鱗の書帖の事について問合した事があった

あると述べた。二人の言う処はいずれにしても江戸の声曲を骨董的に愛玩するという事に帰着するのである。

がその趣味とその富とによって衰滅せんとする江戸の古曲を保護しようという計画には異議のあろうはずがない。また小半の

に有之候。さて旧臘以来種々御意匠を煩はし候赤坂豊狐祠畔の草庵やつと壁の上塗も乾き昨日小半新橋を引払ひ候

になる恐も有之候間御意見拝聴の上右浅草か赤坂かの中いづれにか取極めたき考へに御座候。当人の小半は代地は場所

なだけ定めし近隣の噂もうるさかるべく少し場所はわるけれど赤坂の方望ましきやう申をり候。赤坂の売家は庭古びて樹木もあれど

少し場所はわるけれど赤坂の方望ましきやう申をり候。赤坂の売家は庭古びて樹木もあれど家屋はまづツブシと存ぜられ候。代地

さて赤坂の方はこの辺もと／＼成金紳士の妾宅には持つてこいといふ

ば庭平ならぬ処自然の趣面白く垣の外すぐに豊川稲荷の森に御座候間隠居所妾宅にはまづ適当と存ぜられ候。昨日見

外観を改めまた昔の懐しい家具は椅子卓子に至るまで悉く巴里街頭の家具店に見られるような現代式のけばけばしい製造品に取替えられている

胸に詩興の湧く時はさして辛くはなかった。わたしは銀座の近辺まで出掛けた時には大抵精養軒へ立寄ってパンと缶詰類を買っ

に閉籠められた気晴しの散歩かたがたわたしは物買いにと銀座へ出掛けた。

と御運びの事と推察仕をり候処実は今夕偶然銀座通にてお半様に出遇ひ彩牋堂より御暇になり候由承り

もまた忽ち半に及んだその日の夕。わたしは突然銀座通りで小半の彩牋堂を去った由を知るやおのれが無沙汰は打

赤坂豊狐祠畔の草庵やつと壁の上塗も乾き昨日小半新橋を引払ひ候間明後日夕景よりいつもの連中ばかりにて聊か新屋落成のしるし

事業をまるで商店か会社の経営と心得ているらしい。毎年東京へ来て朝野の有力者を訪問する。三年目には視察と称し

覚めがちになる恐も有之候間御意見拝聴の上右浅草か赤坂かの中いづれにか取極めたき考へに御座候。当人の小半は

ぶらぶらするとか三越や白木へ出掛けて食堂で物を食い浅草の活動写真を見廻るといったような事がまず楽しみらしい。小言をいう

と思い定めた題材は『江戸名所図会』に記載せられた浅草橋場采女塚の故事遊女采女が自害の事であった。ヨウさんの賛成を