江戸 深川 東京 新橋 向島 浅草 京橋

の光景が、写実的なると空想的なるとを問はず、江戸的デカダンス思想の最後の究極点を示してゐる事を面白く思ふのである。

社会の生活を研究するに最も適当な資料であらう。本所深川浅草辺の路地裏には今もつて三四十年前黙阿弥劇に見るまゝの

て行くやうな心持で、自分は先づ第一に、「東京新繁昌記」と言ふ漢文体の書籍を拾ひ読みした。

やかう云ふ文章を書くものは一人もあるまい。「東京新繁昌記」は自分が茲に説明するまでもなく、寺門静軒の「

文章と云はれる新しい日本文が恰も三十年昔に、「東京新繁昌記」に試みられた奇態な文体と同様な、不純混乱を示し

「東京新繁昌記」の奇妙な文体は厳格なる学者を憤慨させる間違つた

「江戸繁昌記」と此れに模して著作された「東京新繁昌記」とは、単に其の目次だけを比較して見ても、

に書分けたもの、又は、「新橋芸妓評判記」「東京粋書」「新橋花譜」なぞ名付けた小冊子もある。

噂もきのふと過ぎ、今日迄すましてゐられたが、東京にゐた其の頃は、毎度いろはの新聞で、仮名垣さんに叩かれて

れてゐる。黙阿弥の著作は幕末から維新以後に於ける東京下層社会の生活を研究するに最も適当な資料であらう。本所深川浅草辺

又は、「新橋芸妓評判記」「東京粋書」「新橋花譜」なぞ名付けた小冊子もある。

落語家の人名を等級別に書分けたもの、又は、「新橋芸妓評判記」「東京粋書」「新橋花譜」なぞ名付けた小冊子もある

と体格をも変化させて行くらしい。吾々は今日の新橋に「堀の小万」や「柳橋の小悦」のやうな姿を見る

化して描いてゐるが、これは当時の漢詩人が向島を夢香洲、不忍池を小西湖と呼んだと同じく、日本の社会の

の生活を研究するに最も適当な資料であらう。本所深川浅草辺の路地裏には今もつて三四十年前黙阿弥劇に見るまゝの陰惨

ケルヤ開化之薬舗ニシテ而シテ文明ノ良剤也」と言ひ、京橋に建てられた煉瓦石の家を見ては、「此ノ築造有ルハ