吾妻橋 / 永井荷風 永井壮吉
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空襲の時焼死して一家全滅した始末に、道子は松戸の田舎で農業をしてゐる母親の実家へ母と共につれられて行つ
道子はふと松戸の寺に葬られた母親の事を思ひ起した。その当時は小岩の盛り場に
道子は上野から省線電車に乗り松戸の駅で降りたが、寺の名だけは思出すことができたものゝ、
五年ばかり前で、お正月もまだ寒い時分でした。松戸の陣前にゐる田村といふ百姓家の人がお葬式をしてくれたん
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と云ふはなしに、初めはその男のアパートに行き、やがて三ノ輪の電車通に家一軒借ると、男の国元から一度嫁に行つたことの
宿屋を出て、電車通でその客とわかれ、道子は三ノ輪の裏通りにあるアパートへ帰つて来ると、窓の下は隣の寺の墓地
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道子は唯何といふ訳もなく吾妻橋のたもとが好さゝうな気のするまゝ、こゝを出場所にしたの
な晩でも泊り客のないやうな夜はなかつたくらい。吾妻橋へ出るやうになつても客のつくことには変りがなく、其の月の
次の日の夕。道子はいつよりも少し早目に稼ぎ場の吾妻橋へ出て行くと、毎夜の顔馴染に、心やすくなつてゐる仲間の女達の
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日の朝も十時過。毎夜泊りの客を連込む本所の河岸の宿屋を出て、電車通でその客とわかれ、道子は三ノ輪の
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こゝには男娼の姿も見られる。方角をかへて雷門の辺では神谷バーの曲角。広い道路を越して南千住行の電車停留場の
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別れと話がきまり、男は母と妹とを連れて関西へ行く。道子は其辺のアパートをさがして一人暮しをすることになつたが
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お急ぎ下さいませ。水上バスは言問から柳橋、両国橋、浜町河岸を一周して時間は一時間、料金は御一人五十円で御
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と、もう二三年前の事であるが、パレスといふ小岩の遊び場に身を沈めてゐた頃、折々泊りに来た客なの
幸ひ、周旋屋の世話で、その頃新にできた小岩の売笑窟へ身売りをしたのである。
道ちやん」と呼びかけられ、驚いて振返つて見ると、小岩の私娼窟にゐた頃姉妹のやうに心安くしてゐた蝶子といふ女
なつて来たので、道子は客商売をしてゐた小岩の生活のむかしを思返してふて腐れる始末。それに加へて男の周旋業
道子は小岩の売笑窟にゐた時から男には何と云ふわけもなく好かれる
寺に葬られた母親の事を思ひ起した。その当時は小岩の盛り場に働いてゐたゝめ、主人持の身の自由がきかず
道子は小岩の色町へ身売をした時の年季と、電話の周旋屋と一緒
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のやうに心安くしてゐた蝶子といふ女、もとは浅草の街娼をしてゐた事もあるといふ女なので、訳を
なので、道子はその頃頻と人の噂をする浅草公園の街娼にならうと決心したが、どの辺に出ていゝのか
はアパートに出入する仕出屋の婆さんの勧めるがまゝ、戦後浅草上野辺の裏町に散在してゐる怪し気な旅館や料理屋へ出入りして
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アパートに出入する仕出屋の婆さんの勧めるがまゝ、戦後浅草上野辺の裏町に散在してゐる怪し気な旅館や料理屋へ出入りしてお客
道子は上野から省線電車に乗り松戸の駅で降りたが、寺の名だけは思出す
ゐる人に道をきいて、こんどは国府台から京成電車で上野へ廻つてアパートに帰つた。
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道子は葬られた者の娘で、東京で生活をしてゐるのだと答へ、「お墓が無いのなら
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のお客さまはお急ぎ下さいませ。水上バスは言問から柳橋、両国橋、浜町河岸を一周して時間は一時間、料金は御一人五十円