今戸 江戸 巴里 深川 新橋 千住 原宿

である。千住の名産寒鮒の雀焼に川海老の串焼と今戸名物の甘い甘い柚味噌は、お茶漬の時お妾が大好物のなくてはなら

にしたものはないようである。そこへ行くと、江戸の浮世絵師は便所と女とを配合して、巧みなる冒険に成功して

十二音の詩句を以て、自在にミュッセをして巴里娘の踊の裾を歌わしめよ。われにはまた来歴ある一中節の

れる名古屋種の美人なぞに目をくれるのではない。深川の堀割の夜深、石置場のかげから這出す辻君にも等しい彼の水

いの妾宅に余生を送る事になったのである。深川の湿地に生れて吉原の水に育ったので、顔の色は生れつき

の男の事故、芸者が好きだといっても、当時新橋第一流の名花と世に持囃される名古屋種の美人なぞに目をくれるの

た松脂見たようなもののあるのは※である。千住の名産寒鮒の雀焼に川海老の串焼と今戸名物の甘い甘い柚味噌は

非道な思いをさせてかえって痛快ではないか。青山原宿あたりの見掛けばかり門構えの立派な貸家の二階で、勧工場式の椅子テーブル