散柳窓夕栄 / 永井荷風

散柳窓夕栄のword cloud

地名一覧

根岸

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の絶景ゆえ先ず兄たりがたく弟たりがたき名木でしょう。それから根岸の御行の松、亀井戸の御腰掛の松、麻布には一本松、八景坂に

増上寺

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たがためであった。折から耳元近く轟々と響きだす増上寺の鐘の声。門人種員はいよいよ種彦の様子を見に行こうと立上り大分

弁天山

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の蝉の鳴音をも一時に止めるばかり耳許近く響き出す弁天山の時の鐘。数うれば早や正午の九つを告げている。種彦は

堺町

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れァ大きにそうかも知れぬ。先生と遠山様とは堺町あたりではその昔随分御昵懇であったとかいう事だから、その時分

より遍く江戸町々へ御触があってから、已に葺屋町堺町の両芝居は浅草山の宿の辺鄙へとお取払いになり、また役者市川

となり、また柳絮と思ったその首は幾年の昔堺町の楽屋新道辺で買馴染んだ男娼となっていた。再び恟りして二

汐留

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』の版元通油町の地本問屋鶴屋の主人喜右衛門は先ほどから汐留の河岸通に行燈を掛ならべた唯ある船宿の二階に柳下亭種員と

金杉

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と覚しい低い人家の屋根を限りとし、右手は遥に金杉から谷中飛鳥山の方へとつづく深い木立を境にして、目の届くかぎり

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の間から御船手屋敷の石垣下を廻ってひろびろとした佃の河口へ出た。

稲葉

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にして、目の届くかぎり浅草の裏田圃は一面に稲葉の海を漲らしている。その正面に当ってあたかも大きな船の浮ぶがように吉原

の立っている辺から折々ぱっと小鳥の飛立つごとに、稲葉に埋れた畦道から駕籠を急がす往来の人の姿が現れて来る。それ

雷門

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町の人々と相前後して、駒形から並木の通りを雷門の方へと歩いて行く中、何時ともなしに我もまた路行く人

の前辺りまで来たが、すると、忽ち向うに見える雷門の新橋と書いた大提灯の下から、大勢の人がわいわいいって駈出して

られている最中である。種彦を先に種員と仙果は雷門を這入って足早に立並ぶ数珠屋の店先を通過ぎ二十軒茶屋の前を歩いて

語をも発せず、訳もなく物に追わるるように雷門の方へ急いで歩いた。

八丁堀

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問屋の青竹の聳立っている竹河岸を左手に眺め真直な八丁堀の川筋をば永代さして進んで行った。

こうこう仙果さん。大きな声をしなさんな。その辺に八丁堀の手先が徘徊いていねえとも限らねえ……。」

浅草寺

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彼方此方に鳴り出す夜廻りの拍子木に打消される折から、浅草寺の巨鐘の声はいかにも厳かにまたいかにも穏に寝静まる大江戸の夜の

駒形

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ながらぞろぞろと歩いている町の人々と相前後して、駒形から並木の通りを雷門の方へと歩いて行く中、何時ともなしに

両国

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繰返して聞かせるのであった。屋根船はその間にいつか両国の賑を漕ぎ過ぎて川面のやや薄暗い御蔵の水門外に差掛っていたのである。

下谷

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自ら題したこの住居のありさまは、自分が生れた質素な下谷御徒町の組屋敷に比べてそも何といおうか。身に帯びるそれも極く

長崎

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は行燈の火影に金光燦爛として眼を射るばかり。長崎渡りの七宝焼の水入は焼付の絵模様に遠洋未知の国の不思議を思わ

奈良

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茶の昔はいかがか存じませんが、近頃は奥山の奈良茶もなかなかこったものを食わせやす。それに先生御案内でも御座い

。山東翁が『近世奇跡考』に書きました金竜山奈良茶の昔はいかがか存じませんが、近頃は奥山の奈良茶もなかなか

偶然の機を俟たねばならぬ。偶然の好機は紀文奈良茂の富を以てしてもあながちに買い得るものとは限られぬ

深川

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で来る。その大きな高い白帆のかげに折々眺望を遮られる深川の岸辺には、思切って海の方へ突出して建てた大新地小

国貞は近頃一枚絵にと描いてやった深川の美女が噂をしはじめると鶴屋の主人はまた彼の地を材料に

浅草

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御触があってから、已に葺屋町堺町の両芝居は浅草山の宿の辺鄙へとお取払いになり、また役者市川海老蔵は身分不相応

彼方此方に鳴り出す夜廻りの拍子木に打消される折から、浅草寺の巨鐘の声はいかにも厳かにまたいかにも穏に寝静まる大江戸の

へとつづく深い木立を境にして、目の届くかぎり浅草の裏田圃は一面に稲葉の海を漲らしている。その正面に当って

小路々々の果までを飽きずに見歩いた後、やがて浅草随身門外の裏長屋に呑気な独世帯を張っている笠亭仙果の家

高尾

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の中に横る永代橋を潜るが早いか、三股は高尾稲荷の鳥居を彼方に見捨て、暁方の雲の帯なくかなかずの時鳥

御徒町

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題したこの住居のありさまは、自分が生れた質素な下谷御徒町の組屋敷に比べてそも何といおうか。身に帯びるそれも極く軽い

新橋

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辺りまで来たが、すると、忽ち向うに見える雷門の新橋と書いた大提灯の下から、大勢の人がわいわいいって駈出して来る

住吉

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は全く格別の趣きである。これは即ち南宗北宗より土佐住吉四条円山の諸派にも顧みられず僅に下品極まる町絵師が版下絵の

両国橋

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幾人よって幾度丹青を凝しても到底描き尽されぬ両国橋の夜の景色が現われ出るのであった。

小舟はかえっていつにも増して多いように思われた。両国橋の橋間は勿論料理屋の立並ぶあたり一帯の河面はさすがの大河も込合う舟

橋へ廻って亀井戸の住居まで駕籠を雇い、また鶴屋は両国橋まで船を漕ぎ戻して通油町の店へ帰る事にした。種彦は

新大橋

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饅頭の声を塒定めぬ水禽の鳴音かと怪しみつつ新大橋をも後にすると、さて一同の目の前には天下の浮世絵師

永代橋

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強い河口の潮に送られて、夕靄の中に横る永代橋を潜るが早いか、三股は高尾稲荷の鳥居を彼方に見捨て、暁方の

小名木川

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「さよう、小名木川の五本松は芭蕉翁が川上とこの川しもや月の友、と吟じられ

隅田川

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何処を風がという見得で、いつのほどにか名高い隅田川という酒問屋の前辺りまで来たが、すると、忽ち向うに見える雷門