正宗谷崎両氏の批評に答う / 永井荷風
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大正以前の文学には、今日におけるが如く江戸趣味なる語に特別の意味はなかった。もしこの語を以て評すれば露伴
。もしこの語を以て評すれば露伴先生の文はけだし江戸趣味の極めて深遠なるもので、また古今を通じて随筆の冠冕となすべきもの
ので、中途にして稿を絶った。わたくしはふと江戸の戯作者また浮世絵師等が幕末国難の時代にあっても泰平の時と変り
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氏を以てこの道の先知者となすべきであろう。東京市中の古本屋が聯合して即売会を開催したのも、たしか、明治四十二、
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を知って往々絶望していたこともあった。まだ巴里にあった頃わたくしは日本の一友人から、君は頻にフロオベルを愛読
榻の歎をなすものの能くすべき所ではない。巴里には生きながら老作家をまつり込むアカデミイがある。江戸時代には死したる
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力の能くする所でない。然るに、幸にも『深川の唄』といい『すみだ川』というが如き小作を公にする
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薄いのである。外国語学校に通学していた頃、神田の町の角々に、『読売新聞』紙上に『金色夜叉』が連載せ
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ので、この筆法に倣ってわたくしはその生れたる過去の東京を再現させようと思って、人物と背景とを隅田川の両岸に配置し
氏を以てこの道の先知者となすべきであろう。東京市中の古本屋が聯合して即売会を開催したのも、たしか、明治
四年の頃に至って、わたくしは『日和下駄』と題する東京散歩の記を書き終った。わたくしは日和下駄をはいて墓さがしをするよう
宛然両君がいうところの「生活の落伍者」また「敗残の東京人」である。さればいかなる場合にも、わたくしは、有島、芥川の二
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ここに専花柳小説に筆をつける事を思立った。『新橋夜話』または『戯作者の死』の如きものはその頃の記念である
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くもりをふいている間にどんどん変って行く。この頃、銀座通に柳の苗木が植付けられた。この苗木のもとに立って、断髪
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の東京を再現させようと思って、人物と背景とを隅田川の両岸に配置したのである。短篇小説『狐』と題したもの