断腸亭日乗 03 断膓亭日記巻之二大正七戊午年 / 永井荷風
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集を読む。夜少婢お房を伴ひ物買ひにと四谷に徃く。市ヶ谷谷町より津守阪のあたり、貧しき町々も節句の菱餅菓子など
次来る。唖※子亦来る。夜八重次を送りて四谷に至り、別れて帰る。
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月廿七日。秋雨。梅吉宅けいこの帰り、築地の桜木に立寄り、新富町の妓両三名を招ぎ哥沢節をさらふ。
参千円也。三菱銀行に赴き預入れをなし、築地の桜木に立寄り、夕餉をなし、久米氏を新福に訪ひ、車を倩ひて帰る
三味線取出して低唱せむとするに皮破れゐたれば、桜木へ貸りにやりしに、八重福満佐等恰その家に在りて誘ふこ
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コスモスの種を蒔く。午後富士見町の妓家に徃く。靖国神社の桜花半落ちたり。
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九月十日。※下市ヶ谷辺散歩。八幡宮の岡に登る。秋風颯然として面を撲つ。夕陽燦然たり。夜外
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を引くに第六十二大吉を得たり。余妓を携へて浅草寺に賽するや必御籤を引きて吉凶を占ふに、当らずといふこと
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十二月廿九日。今まで牛込区に在りし戸籍を京橋区に移さむとて、午後神楽阪上なる区役所に赴き
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七月六日。電車にて赤坂を過ぐ。妓窩林家の屋上に七夕の笹竹立てられ願の糸の風
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三月十二日。臥病。園丁萩を植替ふ。
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余。暁斎玉章扇面等を発見したり。此日中村吉右衛門鎌倉の別墅に清元梅吉夫婦、野間翁及余を招ぐ。余宿痾あり汽車の動揺
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の根分をなす。白粉花鳳仙コスモスの種を蒔く。午後富士見町の妓家に徃く。靖国神社の桜花半落ちたり。
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赴き、十二月納会にまた/\出席の事を約す。明烏下の段をさらふ。此日晴れて暖なり。
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り、雑司谷に徃き、先考の墓前に供ふ。音羽の街路泥濘最甚し。夜九穂子来訪。断膓亭屠蘇の用意なければ倶に
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正月十五日。歯痛未止まず。苦痛を忘れむとて市中両国辺を散歩す。夜唖々子来訪。
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欧洲戦争平定の祝日なりとて、市中甚雑※せり。日比谷公園外にて浅葱色の仕事着きたる職工幾組とも知れず、隊をなし練り
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始めて鶯語をきく。福寿草花あり。今村次七君金沢より出京、断膓亭を訪はれ浮世絵の事を談ぜらる。
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正月十八日。花月主人書肆新橋堂主人とは相識の由。新福のはなしにより花月主人を介して同
四月三日。腕くらべ五百部ほど売れたりとて新橋堂より金四百円送り来る。
益甚し。電燈明滅二三回に及ぶ。初更花月第一号新橋堂より到着す。
空熱砂に蔽はる。唖※子花月編輯のため来訪。新橋の妓八重次亦来る。夕刻大雨沛然。風漸く歇む。今朝唖※子
延園を招ぎしが来らず。直に帰宅す。今日新橋の教坊にて薗八節三味線を善くするもの延園、りき、ゆふの三
九月廿四日。風雨終日歇まず。新橋妓史をつくらむとて其資料を閲読す。堀口氏詩集月光とピヱロの
晩餐を食し唖々子と土橋際にて別れ電車に乗る。曾て新橋巴家へ出入せし呉服屋井筒屋の番頭に逢ふ。予が現在身につけ
十一月廿九日。老婆しん転宅の様子に打驚き、新橋巴家へ電話をかけたる由、昼前八重次来り、いつに似ずゆつくり
月七日。宮薗千春方にて鳥辺山のけいこをなし、新橋巴家に八重次を訪ふ。其後風邪の由聞知りたれば見舞
、玄文社※員結城某等に逢ふ。結城氏諸子を新橋の某亭に誘ふ。余寒夜を恐れ辞して去る。枕上石亭画談
にて談判に出かけしなり。然るに其の家の女主人は曾て新橋玉川家の抱末若といひしものにて、予が顔を見知りゐたりし
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に探梅の興を思はしむ。午後九段の公園を歩み神田三才社に至り新着の小説二三冊を購ひ帰る。
三月九日。微風軽寒。神田電車通の古書肆をあさる。
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少婢お房を伴ひ物買ひにと四谷に徃く。市ヶ谷谷町より津守阪のあたり、貧しき町々も節句の菱餅菓子など灯をともして
九月十日。※下市ヶ谷辺散歩。八幡宮の岡に登る。秋風颯然として面を撲つ。
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五月四日。築地けいこの道すがら麹町通にて台湾生蕃人の一行を見る。巡査らしき帯剣の役人七八名之を
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山彦栄子三味線にて歌舟子河東※邯鄲を語る。歌舟子は日本橋堀留の紙問屋湊屋の主人なり。是日柳橋の名妓数名酒間を斡旋
酒井好古堂を訪ひ芳年の錦絵数種を購ふ。日本橋やまとにて昼飯を食し夕刻三田文学会に徃く。帰途三十間堀春日に少憩
十月廿九日。唖々子と日本橋に飲む。花月第七号発行。
十一月十日。浜町河岸日本橋倶楽部にて清元一枝会温習会あり。余落人を語る。
十一月十一日。昨夜日本橋倶楽部、会塲吹はらしにて、暖炉の設備なく寒かりし為、忽風邪ひきしに
出し寒気甚し。炬燵を取寄せ一睡す。夕刻自働車を倩ひ日本橋倶楽部清元梅吉おさめの会に赴き、猿之助三味線にて明がらすを語る。中村
とて旅亭に来る。午後十寸見歌舟に招がれ、日本橋加賀屋にて薗八を語る。宮川曼魚も亦来る。夜木挽町田川にて高橋箒庵
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短冊を請はれゐたれば揮毫して郵送す。風俗画報東京名所案内を読む。夜雨あり蛙声戞々。
九月二十一日。東京新繁昌記の類を一覧す。盖し雑誌花月編輯のためなり。
の感甚切なり。過去を顧るに、明治三十年頃東京奠都祭当日の賑の如き、又近年韓国合併祝賀祭の如き、未深く
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は最早やこの旧宅を守るべき必要もなし。再び築地か浅草か、いづこにてもよし、親類縁者の人※に顔を見られ
二妓、いづれも梅吉の弟子なるを招ぎ、自働車にて浅草の年の市に行き、羽子板を買ふ。
を引くに第六十二大吉を得たり。余妓を携へて浅草寺に賽するや必御籤を引きて吉凶を占ふに、当らずと
後の墨堤を歩むべしと勧めたれば、自働車にて先浅草に至り、観音堂に詣づ。御籤を引くに第六十二大吉を得たり
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土蔵を掃除す。貴重なる家具什器は既に母上大方西大久保なる威三郎方へ運去られし後なれば、残りたるはがらくた道具のみな
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用事を終りて後晩涼を追ひ、漫歩神楽阪に至る。銀座辺米商打こはし騒動起りし由。妓家酒亭灯を消し戸
宅の事を依頼す。帰途唖々子と清水に飲む。銀座を歩み赤阪鳴門に憩ひまた一酌す。花月第七号校正。
廿五日。終日老婆しんと共に家具を安排し、夕刻銀座を歩む。雪また降り来れり。路地裏の夜の雪亦風趣なきに
なる区役所に赴きしが、年末にて事辨ぜず。帰途銀座にて西京焼土鍋の形雅なるものを見、購ひ帰りて粥を煮る
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。秋雨。梅吉宅けいこの帰り、築地の桜木に立寄り、新富町の妓両三名を招ぎ哥沢節をさらふ。
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十一月十日。浜町河岸日本橋倶楽部にて清元一枝会温習会あり。余落人を語る。
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の変化せし事を推量せしめざりしが、此日日比谷丸の内辺雑※の光景は、以前の時代と異り、人をして一種
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来談。雑誌花月今日まで売行さして悪しからざる様子なりしが京橋堂精算の結果毎月弐拾円程損失の由。依つて十二月号を
十二月廿九日。今まで牛込区に在りし戸籍を京橋区に移さむとて、午後神楽阪上なる区役所に赴きしが、年末にて