梅田 心斎橋筋 大丸 伊勢 生駒山 天王寺 箱根 金剛山 今橋 難波 軽井沢 大阪 道頓堀 宝塚 奈良 京都 日本橋 東京

、何時になろうと大概待っててくれまして、阪神電車で梅田まで一緒に行き、そいから二人円タクに乗って堺筋の電車通りの今橋の

手紙来ましたよって、すぐ電話で打ち合わして、阪急の梅田で落ち合うて、学校い行かんと、そのまま宝塚い行てしもて、それ

ええし、……そうと違うかったら、お梅が今頃梅田の駅で待ってるはずやよって、あれに渡してくれたかってええけど

い行こ思て出たのんですが、それよりもまあ梅田い行てお梅どん掴まいて見よ、お梅どんに聞いたら何ぞこの訳

に聞いたら何ぞこの訳分るかも知れへん思て、梅田の駅い行て見ますと、まん中の入り口のところに立って待ちどしそう

おあしくれはりまして、これで活動でも見て、何時頃梅田い来て待っててやいやはりますよって、何処い行きはりまんのんやさっぱり

「そんなんやったら慌てて拵えするよって、九時半に梅田の阪急い来てくれへんか？」「九時半に、きっとやなあ？」

、堺筋から清水町辺を西い曲ったらしいて、向うに心斎橋筋の大丸の灯がちらちらしてたのん覚えてますけど、そこを大丸の前まで

の奥だ。」――それがあのう、宗右衛門町や心斎橋筋のつい裏通りですのんに、わりに人通りのない暗い横丁なんでして、芸者

から清水町辺を西い曲ったらしいて、向うに心斎橋筋の大丸の灯がちらちらしてたのん覚えてますけど、そこを大丸の前まで行かん

、夫は格子のとこに立ってて、実は今さっき、伊勢の四日市い帰る人あって湊町の駅まで送って行って、戻りしなに心斎橋筋

方の、ちょうどわたしらの真ア向うのあたりには、生駒山のケーブル・カアのイルミネーションがずうっと珠数のようにつながって、紫色した靄のあいだ

て、昼御飯の代りに煮抜きたべながら、大仏殿の屋根から生駒山の方見てますと、「この前蕨や土筆たんと採ったわなあ、姉ちゃん

て、――先生は御存知でしょうか、――あのう、天王寺の方に女子技芸学校いうのんありますねん。私立の詰まらん学校ですね

今橋の角で主人おろしまして私はずっとその車で天王寺い行きます。主人はそういう風にして一緒に出かけますこと楽しみにし

いうてなさるし、行くのんならもうちょっと涼しいになってから箱根いでも連れて行って欲しいいうて、夫が何や物足らん顔し

松原の向うに、海越えて遠く紀州あたりの山や、金剛山などが見えます。はあ？――はあ、海水浴も出来るのんです。あそこら辺

散歩しながら帰られて、わたしは日本橋からタクシーに乗って今橋の事務所い行きました。そんでいつでもみたいに主人誘て阪神電車で帰り

」と、平気な顔して、「姉ちゃんとこの事務所、今橋と南と二つあるいうて、此処の番号教せたあるねん。姉ちゃんか

しますよって、たといその男何いうて来ても「今橋の事務所い行け。」いわれて、直接お会いにならんように。―

のんで、電話で打ち合わせしといて、事務所い寄ったり、難波や阪神で待ち合わしたりして、一緒に松竹座なぞい行ったりしました。

タクシー来ましたのんで、それに乗って一と息に難波まで行きましてん。そいですさかい十一時半前にはもう別荘い着いてしもて

たのんで、何処ぞい避暑に行こやないか、ことしは軽井沢いでも行ってみよかいいましてんけど、私はなかなかそれどこやあれし

、そうそう己も遊んではいられんからいうて、大阪の今橋ビルディングに事務所借って弁護士開業しましたのんが、あれが昨年の二

てたのんが、Ｙ子さんちゅう十九になる娘さんで、大阪では有名な美人のモデルやそうで、それに楊柳観音の姿さしまして

光子さんに結婚の話持ち上ってまして、先はＭいう大阪でも有名なお金持の家の坊々で、光子さん自身は気イ進んでおら

尽かしてしまうであろう。とにかくその毒々しいあくどい趣味は、さすがに大阪の女である。そうしてそれが相愛し合う女同士の間に交され

たって、九時ちょっと過ぎた時分に、女子衆が、「大阪から奥様に電話かかってます」いうのんで、「大阪の誰やねん？

大阪から奥様に電話かかってます」いうのんで、「大阪の誰やねん？」いいますと、「誰ともいやはれへんけど、大急ぎ

やっぱり紛れものう光子さんで、「……あてなあ、今大阪の南の方にいるねんけど、えらい目に遭うてしもて、……着物

で届けて欲しいねん。」「そんならあんた、あれからずうッと大阪い廻ってたんか？」「ふん、そやねん。」「あんたそこに

てから、直ぐに自動車いいつけて、夫には「うちちょっと大阪まで行て来ま。光子さんが急用やいやはるさかい」とたったそれだけいう

これどないしても着んならんことが出来たんで、大阪の店まで届けてほしいうてやんねえ。何ぞ素人芝居でも始まったん

なんだよって、何時頃とも申し上げんと、ただお二人さんで大阪い行っておいでですいうときました」いうんです。「そんで旦那

嬉しいか分れしません。いうてまた、二人で仲好う大阪い通てた先度ごろの生活を取り返してみたいような気イもしますねん

も分れへん思いましたら、外い出るのが恐うて、大阪どころやあれしません、つい電車路ぐらいまで行きましたかて、そや

日私が台所で桜ん坊のジェリー拵えてる時でした、「大阪のＳＫ病院から奥様に電話だす」いいますのんで、虫が知らしたのんか

、もうそんなことあてに分らん。」「そんなら一緒に大阪い行けへん？　明日姉ちゃんのええ頃に電話かけるわ。」「あての方

知ってなさるのんです。そんでその日一日遊んで、大阪に戻って来ましたのんは八時頃でしてんけど、そいでもまだ

ええのになあ」思てますと、「そんなんやったら大阪の市中の方がええし、……静かなとこよりかいって町中の

よう聞いてみましたら、そこの家が私ンとこの大阪の事務所やいうことにしたあるのんやそうですねん。「仲居さんが

に連れて行かれた。そいで夏過ぎてからも、大阪の家が近いとこにあったさかい常時孰方ぞから呼び出しては逢うてたら

取り調べてやろ思て秘密探偵に頼んだとこが、そんな商売大阪にかって仰山あれしませんさかい、こないだ光子さんが頼みなさったのんと同じ

し、電話もかけへんいうこと誓うか、それイヤやったら大阪い連れて行くいいますよって、「うちかてあんた一人で出したら心配やさかい附い

て寝られるどこやあれしません。それに夫から、大阪に着いたら直ぐ電話かかって、そいから三十分置きぐらいにチョイチョイかかって来ます

電話かかって来るうちは夫大阪にいるちゅうこと確かやのんで、かいって安心ですねんけど、そいで

から十二時までの間、――その時分やったら夫きっと大阪い行てる。日イは、雨さい降らなんだら今日から三日目、その日

気イ付くまでに一時間半か二時間はかかる。そいから大阪い知らせ行って、問い合わせの電話かけたりして、夫香櫨園い帰って来る

いつの間にやら知れ渡ってて「柿内さん、あんたきんの道頓堀歩いてなさったなあ」「お楽しみやなあ」「あれ一体誰やったなあ」

ことしてしもたら厄介やさかい」いうて、「そうそう、宝塚の新温泉どうやろ？」と、光子さんがいい出しなさって、二人で向い

光子さんの手紙にありますでしょう。その日は実はまた宝塚い行きたいなあ思てたとこい、「どうや、今日は天気ええよって

阪急の梅田で落ち合うて、学校い行かんと、そのまま宝塚い行てしもて、それから一週間ほどずうッと一日も欠かさんと宝塚い

しもて、それから一週間ほどずうッと一日も欠かさんと宝塚い行てたのんです。そうそう、さっきのあの写真、それはちょうどその頃

い行って、――彼処は私初めてですねんけど、宝塚と同じような家族温泉や何やあって、光子さんはちょいちょい行きなさると見え

？」「明日はもっと近いとこにせえへんか、久しぶりで宝塚はどやろ？」「そんならきっとやで」いうて別れて、帰って来

聞いた。そのお友達いうのんは、いつや二人が宝塚歩いてるとこ見たことあるのんで、そののち朝日会館の映画の夕の

嬉しがりなさって、「ほんまに今度の日曜に、二人で奈良い行きなされしませんか。」「ええ、行きまひょ、行きまひょ、それ

遊びに来なさるやろ。わたしこの次の日曜日に、一緒に奈良い行くいうて約束したんやけど、行ったらいかん？」「そら

どうする？」「きょうは早う帰らんといかんねんわ奈良い行くとも何ともいわんと出て来たよって」と、光子

て、空はまだうす明いのに、足の下には奈良の町の灯イちらちらして、遠くの方の、ちょうどわたしらの真

に阪急で蘆屋川まで送って行きながら、「ああ、また奈良い行きたいなあ。光ちゃん、明日出られへん？」「明日はもっと近い

今日は一日家のこと忘れてたいわ。」――奈良い着いたら直きに大軌の終点から乗合に乗って、若草山の麓まで

。「あてゆんべから何処にしょう思ていろいろ考えて、奈良が一番ええ思てんわ。」「あてかてゆんべまんじりとも

そやそや、二人が始めて仲好う遊びに行ったのんも奈良やった、あの思い出多い若草山のゆうがたの景色、……何で今まで

ようなとこで一日ゆっくりしてたいわ。」「そんなら奈良い行こやないか」いわれたのんで、ああ、そやそや、二人が

明くように、それもあんまりえらい騒ぎにならんように、奈良とか京都とか、何処ぞ近いとこへ逃げたらどやろ。そいでお

ますのんで、わたしもその気イになりまして、そんなら京都の表具屋いやって立派に仕立てさせよと思いながら、ついそのままに放った

やその日イ姿見えしません。電話かけると今日は京都の親類い行きなさったいわれましたのんで、なおのこと会いとう思う

、それもあんまりえらい騒ぎにならんように、奈良とか京都とか、何処ぞ近いとこへ逃げたらどやろ。そいでお梅どん頼ん

て行きます」と心斎橋筋散歩しながら帰られて、わたしは日本橋からタクシーに乗って今橋の事務所い行きました。そんでいつでもみたい

彼の恋人からこういう封筒の文を貰ったら、彼が東京人である限り、一朝にしてあいそを尽かしてしまうであろう。とにかくその

の女にはない。たといそれが恋文であっても、東京の女はもっとさっぱりしたのを使う。彼女たちにこんなのを見せたら

からず驚かされた。けだしこういうケバケバしい封筒の趣味は決して東京の女にはない。たといそれが恋文であっても、東京の女は