天王寺 吉野 熊野 金剛三昧院 大阪 但馬 比叡山 高野山

ツテ天王寺堂前ノ床ニ置キタルニ、（註、大阪の天王寺が昔いかに海に近かったかということが、此の記事に依って想像さ

は建保六年正月より承久元年八月に至る間で、吉野の春賢僧正が郷民を引率して、高野山の所領に闖入し、花園の

になっている。しかし上人が魔族を使嗾したために吉野の悪僧春賢僧正は同年十二月に俄かに夭滅し、吉野方へ加勢し

肉身ヲ受ク。唯縁熏発シテ幸ヒニ信輩ノ熊野ニ詣ルモノヲ乗セタルガ為メニ、更ニ転生シテ第四生ニハ柴燈ヲ燃ヤスノ

であって、時々魔界へ飛行したのであろうか。金剛三昧院の毘張房も同じく天狗であるが、これは元来天狗であったものが人間

レニ抛ツテ天王寺堂前ノ床ニ置キタルニ、（註、大阪の天王寺が昔いかに海に近かったかということが、此の記事に依っ

七百年前、鎌倉時代の実朝の頃の人である。但馬の国朝来郡の生れで、始めは同国健屋の与光寺の学頭であったが

、遮那ノ法ヲ南山（註、南山は高野のこと、比叡山の北嶺に対していう。）ニ習ヒ、現今山頭ニ在ツテ務職ニ

海上人のことであって、順徳院の建保五年に高野山第三十七世執行検校法橋上人位に擢んでられたというから、ざっと今から

同国健屋の与光寺の学頭であったが、後に高野山へ登って学侶の華王院に住した。この与光寺という寺は現存し

紀伊続風土記所載高野山の天狗の項に「是は鬼魅の類にして魔族の異獣なり」

間で、吉野の春賢僧正が郷民を引率して、高野山の所領に闖入し、花園の庄大滝の郷に吉野領と云う札を立て

及狼藉候者也」とも云っている。然らば当時高野山には僧兵というものがなかったのであろうか。紀伊続風土記は曰く、