筑波山 嵐山 ローマ 比叡山 エルサレム 金閣寺 鎌倉 知恩院 須磨 岐阜 岡山 京都 奈良 金沢 広島 東京 上野

につかないでぼんやりしてるのが辛いので、私は筑波山へ旅に出たことがあった。私は淋しいもの哀しい旅をした。

ことがあった。私は淋しいもの哀しい旅をした。筑波山はまっ白い霧に抱かれて黙っていた。私はただ独り山道をとぼとぼ登りながら

翌日嵐山、金閣寺を見物して、クラシックの匂いを慕って奈良に回ったが綺羅

黄河の流れを貪り汲まんとする彼らをして、ローマの街にありという清洌なる噴泉を掬んで渇を潤すことを知らしめねばなら

態度は君の手紙のなかにあったごとく、平将門が比叡山から美しい京都の町を眺めて、「ええッあの中にあばれ込んでできるだけしつこく

努力が、積んでも積んでも崩れたからである。比叡山から六角堂まで雪ふる夜の山道を百日も日参したほどの親鸞なれば

現に宗教的天才はかかる闘いをなしている。キリストも、エルサレムの宮で鳩を売るもののつくえを倒し、繩の鞭を持って商人を

ある。もし耶蘇にこの心使いが無かったならば、そのエルサレムの宮におけるがごとき行動は粗暴といってもいいものである。できる

翌日嵐山、金閣寺を見物して、クラシックの匂いを慕って奈良に回ったが綺羅粉黛人跡繁く

面する一室に障子を閉め切って火鉢を隔て向き合う。私が鎌倉、逗子、東京の近況、君やＨ子さんのことなど話して聞かす。しかし楽しく

とき言い知れぬ懐しさを感ずるのだ。君と僕とが鎌倉で無名の社に詣でたときこれを経験したではないか。さて私

自然美に恵まるるのみであった。夕暮れ、私ら二人は知恩院を訪うた。雨晴れの夕暮れの空に古色蒼然たる山門は聳えていた

空に古色蒼然たる山門は聳えていた。ああこれぞ知恩院である。山門であると思いながら、私共はそれを潜った。春雨を

抜けた犬のようなミゼラブルな身を夜汽車に運ばれて須磨に着いて海岸を走る冷たい鉄路を見たときに、老父を兵庫駅に見送って

しからばあまりに実感にみちたる表象であった。私が須磨に来てから十日経たぬうちに二人の自殺者があった。一人は

を弟のごとく愛してくれたのだが、今では岐阜で女学校の先生を勤めてるそうだ。

私は休暇の初め、岡山で私の趣味に照らして最も美しいと思う花簪を妹に土産に買って

かするとＳ君のこの傾向が鋭く感じられたので京都においてはただ自然美に恵まるるのみであった。夕暮れ、私ら二人

手紙のなかにあったごとく、平将門が比叡山から美しい京都の町を眺めて、「ええッあの中にあばれ込んでできるだけしつこく楽しんで

いる。私はともに坐して半日の秋を語りたる、京都の侘しき町端れなる氏の書斎の印象を胸に守っている。沈痛な

は六、七年前に自分が最も尊敬していた京都のある哲学者に面会を求めたときに、その学者が仕事が忙しいために

嵐山、金閣寺を見物して、クラシックの匂いを慕って奈良に回ったが綺羅粉黛人跡繁くして駄目であった。ただ大仏に対し

秋の海を思わせらるるであろう。氏みずからも「かつて金沢にありしとき、しばしば海辺にたたずんで、淋しい深い秋の海を眺めて

自分に深い、いい影響を及ぼした。自分は数年後広島の病院から君に自分の不遜を謝する手紙を送ったのに対して、

求めたい。自分は思い出さずにはいられない。自分が広島のある病院に長く入院していたときに、肺の悪い一人の夫人

を閉め切って火鉢を隔て向き合う。私が鎌倉、逗子、東京の近況、君やＨ子さんのことなど話して聞かす。しかし楽しく暖かく君と

ごとく私の頭に光明を与えてまた行ってしまった。上野の森の夕闇の逍遙に、君が音楽の価値を論じて私共が