京鹿子娘道成寺 / 酒井嘉七
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されたものである。延長六年八月の頃、奥州に住む、安珍という年若い美僧が、熊野詣でに出足した。その途中
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大切、娘道成寺の幕は、時間通りに開いたのでございます。舞台は申すまでもなく、
男を追った。安珍は逃げ場に窮して、日高郡にある道成寺にのがれ、救いをもとめた。寺僧は彼の請をいれた。ただちに、僧
この安珍清姫の伝説が、いわゆる「道成寺」の謡曲に綴られたのだそうでございますが、その「道成寺」が
謡曲に綴られたのだそうでございますが、その「道成寺」がまた、いまお話いたしております所作事「京鹿子娘道成寺」といった
道成寺で、再度の鐘建立が行われ、その供養を、白拍子の花子という者
ご存じになりますように、娘道成寺の所作事で、白拍子の鐘入りになりますと、その役者は、蛇体に扮装
がございました。それは、半四郎とても、以前は、娘道成寺の鐘入りには、普通、誰でもがするように、すっぽんから奈落に
な、姿が見えるのだ――それがために、娘道成寺の出し物がある時には、決して、奈落へ降りないのだ――と、
私が娘道成寺の際に折あしく、持病の癪を起し、出演いたしませんでしたこと、
、あの撥を、三味線箱から取り出しましたのは、娘道成寺の開幕に二十分あまり前でございました。私は、自分の癖――
ん。いたみが去りました時には、もうすでに、娘道成寺の幕は上っておりまして、新三郎が、私の替りに、立三味線
たそうで御座いまして、次には師匠のかわりに、道成寺の立三味線をお弾きになりました、一のお弟子さま――杵屋
娘道成寺の開幕時間は、さしせまっておりました。医師の手当によりまして、師匠
ような、自我な理由で、勝手に所作を中途で切り上げ、道成寺でございますれば、白拍子の鐘入りもせずに、長唄、お囃子連中の呆気
さまの一のお弟子で急病の新次師匠に替って道成寺の立三味線を弾かれた方)
名見崎東三郎(被害者岩井半四郎の後見として、道成寺の舞台を勤めていられた方)
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この、娘道成寺と申す所作事は、宝暦年間に、江戸の中村座で、中村富十郎が演じたものだそうでございまして、富十郎一代を