ナポリ マルセイユ 倫敦 中部地方 スコットランド 巴里

「あなたは巴里にも、羅馬にも、ナポリにも――フロレンスにも、ヴェニスにも、ヴィエンナにも滯在するのです。

はセントペテルスブルグに、大抵は巴里に、たまには羅馬や、ナポリやフロレンスに移り住んで流れ歩いたのです。澤山のお金と、舊家の名を

ゐるのか、結局、何を感じてゐるのか？　マルセイユの愚者の樂園に奴隷となつて、惑はしの幸福に暫くの間溺れ

譯者は、先年、古い倫敦の月刊「ストランド誌」のクリスマス號で、本篇の著者が、當時（六、

爲に學資を稼いだ。パトリックは、美術家志望で、倫敦に出て、遊惰無頼の道を辿つてゐた。

同年より、一八五一年まで、年一囘づゝ倫敦に出て、文人に逢ひ、多少鬱憂を散ず。

「この近くや、倫敦の色々な惠み深い婦人や紳士方が。」

今私が住んでゐる引込んだ田舍よりも七十哩も倫敦に近いといふことは、私には好都合だ。活氣ある町に行きた

「えゝ隨分。去年の冬お母樣と御一緒に倫敦にいらつしやいましたがね、あつちで誰も彼もの評判に

へ旅行をなさる所で、一日か二日の内に倫敦から船が出るといふので、お泊りになるわけにゆかなかつたの

歸つて來なかつた。もしも彼がリイズから眞直に倫敦へ行き、そこからまた大陸へ行つて、一年ぐらゐもソーンフィールドに顏を

ミルコオトの議員にお選ばれになつたジョオジ・リン卿は倫敦へいらして、議席にお着きにならなくてはなりますまい。ロチスターさんも

一週間前の昨日、お亡くなりになりましたのです、倫敦の御自分のお部屋で。」

家の一人に就いて話してゐましたが、その人は倫敦でも札つきの無頼漢の一人だつたと云つてゐましたよ。それからイングラム

ことを話してゐましたが、一年か二年前倫敦では美しいので大分評判だつたさうですね。」

すつかり打明け話までしてしまつた。彼女は二年前倫敦で過した華やかな冬のこと――そこで彼女が湧き立たせた稱讃――

て來た伯父のギブスン氏に今度いよ／＼招かれて倫敦に發つことが出來るまでゐてくれるやうにと私に懇願したので

た。邸の集りは散つて、ロチスター氏は三週間前倫敦に向つて發つた。しかしもう二週間のうちに歸つて來る筈だつた。

を行き過ぎさせたくなかつた。私は直ぐに彼が倫敦に行かなかつたのかと訊ねた。

現してみせます。今日から始めるのです。今朝、私は倫敦の銀行に手紙を出して、預けてある或る寶石――ソーンフィールドの婦人の

からなの、ジエィン？　あなたの食慾をなくしたのは倫敦へ行くといふことを考へるからなの？」

贈物を見つけました。――あなたがお金に飽かせて倫敦から取り寄せて下すつた被衣なのです。多分、私があの寶石をいたゞかなかつ

「私はブリッグスと云ふ者で、倫敦の××街の辯護士です。」

やこの邊りの沼地や丘が大變に好きで、倫敦にも他の方々の大きな街にも住んだことがあるのに、家庭ほど

「ブリッグスは倫敦にゐます。さあ、ロチスターさんのことを何か知つてゐるかしら。あの

彼と私は、倫敦に出掛けて行つた。彼は或る有名な眼科醫にかゝつて、とう

ゐるのと――村の小學教師となつて健全な英國中部地方の快い山蔭に、自由に、正直にしてゐるのと、一體どちらが

「私はね、ちやうどスコットランドの國境の、遠い北の處から來たの。」

が來たのだ。隅の方へ持つて行きなさい。巴里娘さん。そして取り出してお遊びなさい。」と火の傍の大きな安樂椅子

て、ゐないのです。しかし、蒸し暑い晩で、私は巴里の街をずつと歩いて來たので、すつかりくたびれてゐました。そこ

と、私は、それでも、その可哀さうなものを巴里の泥濘の中からぬき取つて、英國の田舍の花園の豐饒

かくさうとして、私は横を向いた。この小さな巴里娘の衣裳のことに對する熱心な本然の願ひには、傷ましいと同時に

「あなたは巴里にも、羅馬にも、ナポリにも――フロレンスにも、ヴェニスにも

の首都へ、――時にはセントペテルスブルグに、大抵は巴里に、たまには羅馬や、ナポリやフロレンスに移り住んで流れ歩いたのです。澤山