鰊漁場 / 島木健作
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こそ、重い雪靴の足を引ずって教えられた道を大丸の事務所の方へあるきながら、源吉の心は暗い不安につつまれていた
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へ行ぐ? 家へ帰るにゃ金はなし、とどのつまりはカムサツカ行きか、土方部屋のタコよ。行路病者になって帰る奴もある。渡りあるき
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小樽湾をかかえ込む積丹岬の突端が、とおく春の日ざしのなかにかすんで見えた。日本海の上を
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道のりのあいだ、行手にあたって絶えず見えかくれしていた積丹岳は、山裾までその姿をあらわしてすぐ目の前に突っ立っていた。三
べたつくような日がもう三四日つづいていた。見あげると積丹岳の上に重々しくかぶさっていた雪雲はいつか少しずつ割れて行き、その隙間
の上を渡ってくる潮風は大きなうねりをうって吹き抜け、積丹岳につづく連山につきあたってごーっと鳴った。源吉は荒い潮風に吹きさらされて
灰色の雪雲がまた積丹岳の上の空をおおいはじめた。斜に一直線に降ってくる雪が、水面近くなっ
を匂わせていた。源吉はいくどもふりかえっては積丹岳を仰ぎ見た。山裾からすでに半ば以上あらわれたうす紫いろの山肌が、やわらかい春の
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いろにも緑の明るい色がさして来た。――北海道の西海岸は対馬海流の流域にあたる。津軽海峡の西方の沖合を走り、積丹
米のめしくえるべな。なんしろ上川だでな。北海道一土地が肥えてっのだから」。深いため息をついて源吉はそういい、
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割ヲ以テ精算ノコト。」木村はたった今帳場からこの第十条をくどいほど説明されて来たのである。帰ったらすぐ保証人と相談してなん
るまでは知ることができなかった。――雇傭契約書の第十条にはちゃんと書いてあった。「被雇本人、軍籍ニアリ、万一不時ノ召集ヲ受
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小樽湾をかかえ込む積丹岬の突端が、とおく春の日ざしのなかにかすんで見えた
、そして今年も一月早々雪のなかを出かけて行った小樽の町の、その町じゅうで一番の海産物問屋大山のことであった。
た。やむをえず大丸は、平素の取引商人である小樽切っての海産物問屋大山と契約し製品を担保にして金を融通し
た。――はじめ大丸はみんながするように仕込期に小樽へ出かけて行って、銀行から資金の融通をうけようとした。しかしもう
をいえば最後の頑張りのつもりではじめたのだった。小樽へも早々に出かけ、今年はもう融通ができないというのを、大山
いたのである。而して彼の説明によれば、この小樽切っての海産問屋、大丸の債権者大山は、同時に又後志地方の大
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ある、と答えた。それは嘘だった。渡道前、秋田の半農半漁の家に少年時代を過した彼は、浜の仕事はなん
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週間を、事務所に泊めてもらうことにした。毎年、青森から半分、道内から半分、「鰊殺しの神様」が募集される。