東北地方 東旭川村 旭川 北海道 本州 大雪山 青森 秋田 東京

家の馬小屋の立派なのには私は感心した。東北地方に於て見るやうに農家と一つではなくて獨立した建物である

坪ほどもあつて、板敷で、仕事場になつてゐる。東北地方の農家の「いなべ」が獨立した家屋になつたやうなものである。

東旭川村にて

は旭川へ來て友人のＭに逢ひ、彼の案内で東旭川村を訪ねた。九月も十日すぎのある日だつた。

電車を下りるともうそこは東旭川村だが、歩いて行く道の兩側に廣がつてゐる田の稻は程よく色づき

（例）旭川へ

私は旭川へ來て友人のＭに逢ひ、彼の案内で東旭川村を訪ねた。九

豐穰であると思へた。私はこつちヘ來る前に北海道の稻作は今年は旱魃の爲に惡いだらうといふある東京新聞の記事を讀ん

て、照り過ぎぐらゐが却つていいのだと聞いてゐる。北海道も同じことで、困つてゐるのは畑作で田は灌漑のわるい一部のみで

いふのは今日ではもう珍らしくはないのだらうが、北海道でこれを聞くのは力強いことである。

時間ほどもその青年と四方山の話をした。確に北海道の農村青年の獨自な氣風といふものは感じられる。北海道の農村の新しさ

北海道の農村青年の獨自な氣風といふものは感じられる。北海道の農村の新しさが生んだもので、その氣魄も、その考も溌剌

馬の値は三倍から四倍だらうと語つた。北海道で馬を持たぬ百姓などといふものはルンペンのやうなものだから、この

は此頃しきりに我々が機械を買ひすぎるといふ。北海道の百姓が貧乏するのは一つにはそれが原因だといふ。それは

稻の背は低く、莖も細く本州のそれを見慣れて來た眼には貧弱である。だから稈は藁

凉しい風が吹いて來て、大雪山と十勝嶽と兩方の山頂がいつか雲にかくれてゐた。

（例）青森縣木造の

毎日見歩いてゐたからだ。現に私が話を聞いた青森縣東津輕郡の郡農會の技手は、自慢の長髯をしごきつつ、喜色滿

東北北海道は五十日近い日でり續きではあつたが、青森秋田などの地方が、「旱魃にケカツなし」の言葉通り、順調に行つ

しては使ひものにならぬといふことだ。私は青森縣の西海岸を歩いた時のことを思ひ出し、そこで見た稻の

でも先づ馬の話から聞かされた。私はつい先達青森縣木造の有名な馬の糶市を見て、その盛んな景況に驚き、

北海道は五十日近い日でり續きではあつたが、青森秋田などの地方が、「旱魃にケカツなし」の言葉通り、順調に行つて

北海道の稻作は今年は旱魃の爲に惡いだらうといふある東京新聞の記事を讀んでゐた。それは殆ど確定的なやうな筆つきで