札幌 関西 札幌市 北海道 定山渓 四国 札幌岳

札幌市に生れ、育つた。半殖民地として生れた札幌の町には長い歴史がない。封建的なものから自由な一面はあるが、

札幌の町と、その町を中心とする山や河や野や林やは忘れ

のやうになつたかとおもへばふしぎである。――札幌から五里の海岸に銭函といふさびれた漁村がある。昔鉄道のなかつた

、真黒なゴミなどのうちよせる汚い海岸だが、夏には札幌の人たちの海水浴場になる。私は夜暗いうちから五里の道をあるい

どこにもおなじやうな荒廃を感じた。――あつたかい関西よりも、東北の自然が、ひとしほ心にしむおもひがするのは、

私の育つた土地のせゐであらう。私は北海道の札幌市に生れ、育つた。半殖民地として生れた札幌の町には長い

理由は私の育つた土地のせゐであらう。私は北海道の札幌市に生れ、育つた。半殖民地として生れた札幌の町に

川の大きなうねりと、そのあたりの風光も亦忘れがたい。北海道生れの私が枝もたわわな柿の実の美しさにおどろき、同行の者

北海道の冬は別にして、心にのこつてゐる風景の多くが夏の

の牧場や、その頃はまだ今のやうではなかつた定山渓や、月寒や、円山や手稲山や藻岩山や、その頃近くでは熊の

てゐるためであらう。刑事被告人として送られる途中、四国から対岸までの舟のなかから見た瀬戸内海の風景もその一つである。

、その頃近くでは熊の出る唯一の山であつた札幌岳や、煙を吐く樽前山や、――私がほんたうに自然に親しんだとき