番町 妹背山 小石川 東照宮 靖国神社 静岡藩 四谷 上野公園 静岡 神田 小川町 東京 向島 上野 神保町 浜町

、憤々しながら晩餐を喫して宿所を立出で、疾足に番町へ参って知己を尋ねた。

知己を番町の家に訪えば主人は不在、留守居の者より翻訳物を受取ッて、

て、折々往来の人を驚かしながら、いつ来るともなく番町へ来て、例の教師の家を訪問てみた。

一言……今一言の言葉の関を、踰えれば先は妹背山、蘆垣の間近き人を恋い初めてより、昼は終日夜は終夜、唯

たが、どうも無かッた。から、彼地から小石川へ下りて、其処此処と尋廻るうちに、ふと水道町で一軒見当てた。

を摩でそうな杉の樹立の間を通抜けて、東照宮の側面へ出た。

キョロキョロと四辺を環視わして見れば、何時の間にか靖国神社の華表際に鵠立でいる。考えて見ると、成程俎橋を渡ッて

ないというので、足を擂木に駈廻ッて辛くして静岡藩の史生に住込み、ヤレ嬉しやと言ッたところが腰弁当の境界、なかなか浮

よりか清元の事サ、どうも意気でいいワ。『四谷で始めて逢うた時、すいたらしいと思うたが、因果な縁の糸車

もならず、どうも乙な塩梅であったが、シカシ上野公園に来着いた頃にはまた口をきき出して、また旧のお勢

上野公園の秋景色、彼方此方にむらむらと立駢ぶ老松奇檜は、柯を交じえ

居る叔父の許へ引取られる事になり、泣の泪で静岡を発足して叔父を便って出京したは明治十一年、文三が十五

ないというので、足を擂木に駈廻ッて辛くして静岡藩の史生に住込み、ヤレ嬉しやと言ッたところが腰弁当の境界、

ぬ民草もない明治の御世に成ッてからは、旧里静岡に蟄居して暫らくは偸食の民となり、為すこともなく昨日と送り

の余波となッた二十八日の午後三時頃に、神田見附の内より、塗渡る蟻、散る蜘蛛の子とうようよぞよぞよ沸出でて

と思うも道理、文三の免職になった当日、打連れて神田見附の裏より出て来た、ソレ中背の男と言ッたその男

を含み、さて失敬の挨拶も手軽るく、別れて独り小川町の方へ参る。顔の微笑が一かわ一かわ消え往くにつれ

、捨る神あれば助る神ありで、文三だけは東京に居る叔父の許へ引取られる事になり、泣の泪で静岡を発足

も出来、地面をも買い小金をも貸付けて、家を東京に持ちながら、その身は浜のさる茶店の支配人をしている事なれ

をさせて置くも不孝の沙汰、今年の暮には東京へ迎えて一家を成して、そうして……と思う旨を

、さて正味の確実なところを掻摘んで誌せば、産は東京で、水道の水臭い士族の一人だと履歴書を見た者の噺し、

声が未だ中有に徘徊ッている内に、フト今年の春向島へ観桜に往った時のお勢の姿を憶出し、どういう心計か

せて置た車に乗ッて三人の者はこれより上野の方へと参ッた。

両側の夜見世を窺きながら、文三がブラブラと神保町の通りを通行した頃には、胸のモヤクヤも漸く絶え絶えに成ッて

へ往ッて一人乗一挺誂らえて来ておくれ、浜町まで上下」