大阪 関西 伊勢 四谷 巴里

ございましょうね。晨子さまの御仕度かたがたお揃いで京、大阪にお出かけ遊しませ。――よいお思い出でございましょう」

「これから関西はさぞよろしゅうございましょうね。晨子さまの御仕度かたがたお揃いで京、大阪に

太郎はつい先頃、高畠子爵の二十六になった長女を、伊勢の豪家へ縁付ける媒酌をした。三日ばかり前に正式の結納が取り換

「あなたの忙しい体でわざわざ伊勢迄出かけて今度のことは纏めてあげたのじゃありませんか。晨子様の

車は、両側に明るく店舗が軒を並べた四谷の大通りに出た。呉服屋の飾窓の派手な色彩などが、ちらりちらりと視野を

な商人の手に負えないからでしょうな。これは一昨年巴里に行った時、羅馬まで遠征して掘り出して来たのです。

に出させて見ると、全く驚きました。いい塩梅に巴里を出る少し前或る有名な蒐集家の所蔵品を見ていたので

するから奇麗だ位に思っていたのでしょう。……巴里で二三の人に見て貰ったが、幸い贋物ではなかったようです