田原坂 九州 熊本

は、早や包みを懐きしめて悶絶したり、げに勇蔵は田原坂の戦官軍大敗の日に、館原の藤吉とともに敵の流れ丸に中り

麑島謀反の急報は巻き来たる狂瀾のごとく九州の極より極に打てり、物騒なる風説、一たびは熊本城落ちんとするの

あげつつ、いと決然たる調子にて、「兄貴、われは今熊本の戦争に往くところにてちょっと暇乞いに立ちよりぬ」と言う、思いもよらぬ

村落は今※秧すみてしばらくは農事閑なり、あたかも賊軍熊本を退き世間の物情とみに開けし折なりければ、村人もまた瓢箪を負い

の橋を渡れるなり、彼が喜悦に溢るる心緒は、熊本籠城の兵卒が、九死一生の重囲を出でて初めて青天白日を見たるその嬉しさ