金色夜叉 / 尾崎紅葉
地名一覧
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御飯を食べるから何でも附合へと有仰るので、湯島の天神の茶屋へ寄りましたのでございます。さう致すと、案の定可厭い
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片側町なる坂町は軒並に鎖して、何処に隙洩る火影も見えず、旧砲兵営の外柵
翌々日の諸新聞は坂町に於ける高利貸遭難の一件を報道せり。中に間貫一を誤りて鰐淵
「はあ? 坂町で大怪我を為つて、病院へ入つたと云ふのは?」
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らしき手荷物を控へたるは一人よりあらず、他は皆横浜までとも見ゆる扮装にて、紋付の袷羽織を着たるもあれば、精
に供されてゐるのだよ。佐分利と甘糟は夙て横浜を主張してゐるのだ。何でもこの間遊仙窟を見出して来た
横浜! 横浜! と或は急に、或は緩く叫ぶ声の窓の外面を飛
横浜! 横浜! と或は急に、或は緩く叫ぶ声の窓の外面を飛過るととも
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「番町はどの辺で?」
身窄い様子だつたわ。それに、聞けばね、番町の方の鰐淵とかいふ、地面や家作なんぞの世話をしてゐる内に
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銚子を更へて婢の持来れば、
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温習が有るといふ訳だらう、そこで今日五時から糸川の処へ集つて下温習を為るのさ。俺は、それお特得の
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「四谷のも帰つたか」
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※車は神奈川に着きぬ。彼等の物語をば笑しげに傍聴したりし横浜商人体
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居るは惜き日和に奇痒く、貫一は又出でて、塩釜の西南十町ばかりの山中なる塩の湯と云ふに遊びぬ。還れば寂
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「御帰になつたら一日赤坂の別荘の方へ遊びにお出下さい、ねえ。梅が好いのであります
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…雅之のやうな孝行者が……先祖を尋ぬれば、甲斐国の住人武田大膳太夫信玄入道、田夫野人の為に欺かれて、このまま断絶
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のみにして、三里の坦途、一帯の重巒、塩原は其処ぞと見えて、行くほどに跡は窮らず、漸く千本松を
抑も塩原の地形たる、塩谷郡の南より群峰の間を分けて深く西北に入り、綿々
にして止らざらんには、抑も如何! 今や塩原の実景は一々夢中の見るところ、然らばこの景既に夢ならず! 思
「その傍に小く、下女塩原間抜一人と、ぢや附けさせて戴きませう」
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より、その間の調停成らずして、彼の行為は終に第二百十条の問ふところとなりぬ。
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口よりなるべし。彼は富山唯継とて、一代分限ながら下谷区に聞ゆる資産家の家督なり。同じ区なる富山銀行はその父の私設する所
「それは未だ確とは極らんがの、下谷に富山銀行と云ふのがある、それ、富山重平な、あれの息子の嫁
御座います。丁度去年の正月頃から来出した客で、下谷に富山銀行といふのが御座います、あれの取締役で」
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微笑を洩せり。甘糟と呼れたるは、茶柳条の仙台平の袴を着けたる、この中にて独り頬鬚の厳きを蓄ふる
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「神戸の蒲鉾を三枚、見事なのでございます。それに藤村の蒸羊羹
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の友も無いのだ。一昨年であつた、君が静岡へ赴任すると聞いた時は、嬉くもあり、可懐くもあり、又
遣つてをるので御座います。それで、あの方は静岡の参事官でお在なのでした。さやうで御座いましたらう。その頃
。前に宅に居りました向坂と申すの、あれが静岡へ参つて、今では些と盛に遣つてをるので御座います
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「大館朔郎と云ふ岐阜の民主党員で、選挙に失敗したものですから、その運動費の後
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遽に千葉に行く事有りて、貫一は午後五時の本所発を期して車を
の恋を壊らんと為しは誰そ、その吾の今千葉に赴くも、又或は壊り、或は壊らんと為るにあらざる無きか
千葉より帰りて五日の後 M., Shigis ――の書信は
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「はい……広島の方に居りまして御座います」
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枕時計は十時を打ちぬ。彼は午後四時より向島の八百松に新年会ありとて未だ還らざるなり。
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熱海は東京に比して温きこと十余度なれば、今日漸く一月の半を
「貴方がたもお掛けなさいましな。今朝です、東京から手紙で、急用があるから早速帰るやうに――と云ふのは、
つてその中に風流な田舎家を造るです。食物などは東京から取寄せて、それでなくては実は保養には成らん。家が
なさい。どうせ毎日用は無いのだから、田舎でも、東京でも西京でも、好きな所へ行つて遊ぶのです。船は御
から諭旨免官のやうな事にお成なすつて、又東京へお還りにならなければ為方が無いので、彼方を引払ふの
「昨日来たのだ? 東京の人か」
「間抜にも大間抜よ。宿帳を御覧、東京間抜一人と附けて在る」
私は思ふ。いや、つい私は申上げんでをつたが、東京の麹町の者で、間貫一と申して、弁護士です。かう云ふ場合に
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新橋停車場の大時計は四時を過ること二分余、東海道行の列車は
二人は停車場を出でて、指す方も無く新橋に向へり。
て陰ながらでも君の出世の姿が見たいと、新橋の停車場へ行つて、君の立派に成つたのを見た時は
致してをりまして、狭山元輔と申しまする。又これは新橋に勤を致してをります者で、柏屋の愛子と申しまする」
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めては得るところもありやと、夜の晩きに貫一は市ヶ谷なる立退所を出でて、杖に扶けられつつ程遠からぬ焼跡を弔へり
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空に半輪の残月を懸けたり。一番列車を取らんと上野に向ふ俥の上なる貫一は、この暁の眺矚に撲れて、覚えず
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その古蒲生飛騨守氏郷この処に野立せし事有るに因りて、野立石とは
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し俥に乗りて、白倉山の麓、塩釜の湯、高尾塚、離室、甘湯沢、兄弟滝、玉簾瀬、小太郎淵、路の頭
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「はい、日本橋の方のお方で御座りやす」
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思ふ。いや、つい私は申上げんでをつたが、東京の麹町の者で、間貫一と申して、弁護士です。かう云ふ場合にお目
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今朝新聞を見ると急に思着いて、熱海へ出掛けたよ。
翌日果して熱海より便はありけれど、
熱海は東京に比して温きこと十余度なれば、
これで熱海の梅林も凄ましい。是非内のをお目に懸けたい
気が違つて、熱海の浜辺から行方ゆくへ知れずになつて了つたと
四年の久きを、熱海の月は朧なりしかど、
限知られぬ涙に掻昏くれて、熱海の浜に打俯したりし悲歎の
少ないながらも今の貨が熱海へ追つて行つた時の鞄の中に
かかる折よ、熱海の浜に泣倒れし鴫沢の娘と
一月十七日をもて彼は熱海の月下に貫一に別れ、
思ふばかりにて、熱海より行方ゆくへ知れざりし人の姿を
忘れざるとともに、又長く熱海の悲き別を忘るる能はざるなり。
実に彼は熱海の梅園にて膩汗を搾られし次手
何と言つた! 熱海で別れる時も、お前の外に妻と思ふ者は
彼はこの際熱海の旧夢を憶はざるを得ざりしなり。
返す返すも悔き熱海の御別の後の思、又いつぞや
唯二人熱海に遊び、昔の浜辺に昔の月を眺ながめ、
今も彼の熱海に人は参り候へども、そのやうなる楽を