香川 錦川 京都 東京 銀座

稲田家は当時士族になっていたが、明治以前は香川という家老の家来で、謂わゆる復家来であったから、私のうちより家柄

吹かれながら、鮎や鮠などの泳いでいる清い流れの錦川を棹さして下った。

私のこうした傾向は人並より強いらしく思われる。京都にいる娘から羊羹など送って呉れると、同じ店の同じ種類の製品て

た。当時はすでに故人となっていた有島武郎氏が京都ではいつも定宿にしていたあかまんやという素人風の宿屋が

若い女を連れて、京都に移られた。当時私は京都帝大の教授をして居たが、或日思い掛けなく同氏の来訪を受け

のお子さんを東京に残し、一人の若い女を連れて、京都に移られた。当時私は京都帝大の教授をして居たが、

て十数分の近距離にあった。何年か前に京都を引払って東京に移り、一時はプロレタリア芸術を標榜して洋画塾を開い

た。障子の硝子越しに庭が見え、その庭には京都から取り寄せられたという白砂が敷き詰められていた。

だから、とのことであった。そして今居る女中は京都へ連れて行くつもりなのか、もしそうでなければ、こちらへ譲って

年ぶりに、東海道線の汽車に乗って、居を東京から京都に移した。その際、東京を引上げるについては、私は名残りを

関東大震災の後、津田青楓氏は、三人のお子さんを東京に残し、一人の若い女を連れて、京都に移られた。当時私

の近距離にあった。何年か前に京都を引払って東京に移り、一時はプロレタリア芸術を標榜して洋画塾を開いていた青楓

私の不在中に結婚した芳子の家と並んで、東京市の――数年前までは市外になっていた――西

ことで、玄関先きで別れてしまった。私は到底再び東京などへ遣って来られる人間ではなし、これで最早や一生の別れに

乗って、居を東京から京都に移した。その際、東京を引上げるについては、私は名残りを措しんでくれる一二の友人

満十二年ぶりに、東海道線の汽車に乗って、居を東京から京都に移した。その際、東京を引上げるについては、私は

私は出獄匆々にも銀座の竹葉亭で青楓氏の饗応を受けたりしているが、その家庭で