大阪 雷門 筑紫 汐留 土浦 青山 道玄坂 神楽坂 北海道 早稲田 鎌倉 小石川 八幡 四谷 本郷 牛込 東京市 九州 玉の井 江戸 弁天山 ベツレヘム 増上寺 根津権現 本所 小石川の植物園 湯島天神 上野動物園 上野公園 福岡 下谷 熊本 水戸 京都 奈良 深川 東京 神田 浅草 日比谷 銀座 品川 新宿 上野 向島 麹町 日本橋 駒込 渋谷 千住 新橋 九段下 神保町 飯田橋 京橋

奈良でも、大阪でも、京都でも、又は今の東京でも、皆日本民族のブル

なものは幅が利く。巡査と口を利いたもの、雷門の大提灯の骨の数（以下数字分脱落）、震災前の十二階を見

の習慣で、そうそう思い切った事をし得なかった。筑紫の女王白蓮夫人？　を初め、日向きむ子、神近市子、平塚明子、又

公園、芝の増上寺、それから昔の新橋（今の汐留）駅前の塵埃溜場なぞによく居た。

あまり奇麗な町でも御座いませんけど、利根川が。土浦で下車しますの。上野から土浦までの切符をお求め下さいませ。そして土浦

けど、利根川が。土浦で下車しますの。上野から土浦までの切符をお求め下さいませ。そして土浦で下車して……わたくしも一番

の。上野から土浦までの切符をお求め下さいませ。そして土浦で下車して……わたくしも一番で参りますから……もしも早くお出

ます。ではね、何卒お願い致しますわ。五日に土浦までね。私ほんとに嬉しゅうございますわ。何と申し上げてよいやら……いずれ

神田、本郷、早稲田方面は書物泥棒や下宿屋荒し、麹町、青山、牛込、渋谷あたりへかけては誘拐や色魔式が横行する。又、下町

は下谷に一つ、麹町から牛込へかけて二つ、青山に一つある。大抵一組十人位から三十人位まで居るという。浅草

ているらしい。日比谷と九段はその二大中心で、青山方面にも手を延ばしているという。

青山や下谷のも略似たようなものらしいが、青山のは赤十字社がある

青山や下谷のも略似たようなものらしいが、青山のは赤十字社があるだけに博愛式の汚行専門らしく、下谷のは又誘拐

牛込の神楽坂、渋谷の道玄坂、神田の神保町付近、本郷の湯島天神あたりの夜は、今でもそんな気分

神楽坂のような震災後の目抜の処でもこの流儀のがある。お客はビールと

牛込の神楽坂、渋谷の道玄坂、神田の神保町付近、本郷の湯島天神あたりの夜は、今

そうしないと、僕は打たれた上に監獄部屋（北海道の）に売られます云々」

変らず遊廓や魔窟相手のゴロが多い。神田、本郷、早稲田方面は書物泥棒や下宿屋荒し、麹町、青山、牛込、渋谷あたりへかけては

京都を離れた鎌倉に幕府を開いたところに、この首都のブル式悪感化を避けた用意が

ている処もある。去年の秋あたり、日比谷、上野、小石川のバラックの裏手を夜十二時過ぎに通ると、そこにもここにも怪しい

大正十二年の十一月頃からの事、当福岡県下八幡市に不良少年団が出来た。彼等は父兄監督者の眼を潜って会合協議

冷い雨の降る日――四谷から牛込へ帰る途中――飯田橋から新宿行の急行電車に乗り換えると――あの

とか連呼してハンケチや旗をふりまわしたはまだしも、本郷付近で算を乱して自動車のあとを追っかけた女学生の群があったと聴い

の苦学生で、苦学生の元締めをやっているのがある。本郷に大きな家を借りて苦学生を泊める。納豆を二銭乃至二銭五厘で

相も変らず遊廓や魔窟相手のゴロが多い。神田、本郷、早稲田方面は書物泥棒や下宿屋荒し、麹町、青山、牛込、渋谷あたりへかけ

牛込の神楽坂、渋谷の道玄坂、神田の神保町付近、本郷の湯島天神あたりの夜は、今でもそんな気分の「淀み」を作って

本郷、早稲田方面は書物泥棒や下宿屋荒し、麹町、青山、牛込、渋谷あたりへかけては誘拐や色魔式が横行する。又、下町一帯は

て、記者が聞いたのは下谷に一つ、麹町から牛込へかけて二つ、青山に一つある。大抵一組十人位から三十人

いた。今は何と云うか知らぬが、本拠は牛込か四谷辺に移動しているらしい。

牛込の神楽坂、渋谷の道玄坂、神田の神保町付近、本郷の湯島天神あたりの夜は

のに乗じて非常に沢山出来たらしく、その商品は一時東京市中に生産過剰を来たした。一方に、被服廠その他の死体写真の秘密

彼等上流人士が、東京市内到る処に建てている小事務所や、市街の各方面に建てている小住宅

烈しく打ち壊した。これと同時に、夥しい「若い燕」が東京市中に孵化して飛びまわる事になった。

を出来るだけ沢山に調査すれば、わけなく解る問題である。東京市内にある相談所、紹介所、又は会社や銀行の職業婦人を取り扱う掛りの人々

対して、時間極めの女中を世話する派出婦会が、東京市中に殖えて来た。これも新生な意味の職業婦人に入れられると云う

大正十二年九月一日の大震火災後一二ヶ月の間、東京市中に婦人の戒厳令が布かれた事を。勿論それは公式のものでは

前の看護婦と同様の意味で営業しているのが、東京市中にかなりあるらしい。但、見わけはなかなか付かない。

、こんな風に職業婦人を紹介する処が、今では東京市中到る処にあると云っていい。どこの工女とか、女店員とか

記者は東京市中の秘密出版物の景況を探る目的で、絵葉書屋を見当る毎度に飛び込んで、

東京市中にある各種のホテル又は宿屋等で、宿屋は宿屋としてチャンと

東京市の郊外、又は東京市内のちょっとした横町、又は坂道や高台の近くの見晴らしのいい処に

支那料理、簡易食堂、平民バーといったようなのが東京市中到る処にある。その中の十中八九は怪しいと云ってよい。ほんの

東京市内に於ける魔窟大繁昌の第二の原因は極めて皮肉で面白い。即ち震災

しかしその結果が可笑しな事になった。東京市内の遊蕩児の相手になる女は、全体から見て却って増加した事

て来た。上流の方が次第に殖えて来たと東京市内の各署では云う。

、掲示なぞを気をつけていれば、すぐにわかる。東京市中で毎日十箇所を下るまい。

で、いろんな男の学校の生徒の会合、慈善市、又は東京市内の方々で催される展覧会、その他あらゆる会合に関係をつけて出席して

裸体物を取り入れた公刊の絵葉書、書籍の表紙なぞが、九州よりも多く店頭に曝されている。展覧会の絵や彫刻、活動写真の濡れ場

九州で福岡は東京流行の魁

九州で東京風の流行の真先に這入って来る処は福岡で、その次が大分県

東京風がもう九州に入りかけている。今にわざわざ愛児を牛乳で育てる夫人が殖えはしまいか

地方では直ぐに「不良」呼ばわりをされる。記者も九州の人間だから、そんなのを不良の中に数え入れたわけである。

感心させられた。その会合の遣方を習ったら、九州へのいいお土産が出来ると考えたからであった。

にウンザリしているのですよ。そうしてあなたはやはり九州の……まあ、こんな処まで……よくおわかりになりましたのね……

まで……よくおわかりになりましたのね……まあ、九州の方はいい処だそうですね……まあ、およろしいじゃありませんか

と云うかどうか知らないが、九州の男学生にそんな事を云ったら気絶する……と云っておく。

私娼はどこに行ったかと云うと、亀井戸、柳島、玉の井、尾久の方面に固まって逃げ込んだ。そのせいか、震災後のその方面の繁昌

昔、紀の國屋文左衛門は、江戸の大火と見ると、すぐに木曾に材木を仕入れに行ったという。大正

江戸の昔、或る有名な侠客は、ボロボロの百姓おやじに訪問を受けた時、

天気のいい日で、お腹の空かない奴は、弁天山付近に集まって石蹴りなぞをして遊んでいる。そんなのをジッと見ている

その新世界の夜を飾るイルミネーションを、彼女達はベツレヘムの星と仰いだ。そこに存在するあらゆるものを、その新たに解放され

、あんなたちのもので、九段下の公園、芝の増上寺、それから昔の新橋（今の汐留）駅前の塵埃溜場なぞによく居

。但、夜は高級か低級か保証の限りでない。根津権現はその又次という順序である。その他大小の公園、神社、仏閣、活動

東京郊外、川向うの深川、本所、向島、亀井戸あたりの暗から暗に続く木立の中や、バラックの空隙がどんな

は色魔式が多いので、東京市内及付近では、小石川の植物園が何といってもこの式の大中心地である。しかも最高級から最低級

牛込の神楽坂、渋谷の道玄坂、神田の神保町付近、本郷の湯島天神あたりの夜は、今でもそんな気分の「淀み」を作っている。

秋の西日を背中に受けながら、記者は上野動物園の杉木立に這入った。

に乗り換えると――あの中学生――一週間余り前に、上野公園の杉の木蔭で、友達にアルファベットの秘密を教えた生徒が、偶然に

九州で福岡は東京流行の魁

九州で東京風の流行の真先に這入って来る処は福岡で、その次が大分県の別府だそうである。

からわからぬが、これは流行っているにしても、福岡のように土着の人がやっているのではあるまいから、さまで

はいかん、ツイ一ヶ月ばかり前まで気ぶりも見えなかった福岡の淑女令夫人達が、堂々とその風を輸入して、得意然と

のそれのように非常識者なのは無い。これは、福岡の婦人に東京のような意味の職業婦人が少い、従って自己見せ付けの

流石に福岡あたりを歩いている新式の髷には、東京の職業婦人のそれのよう

ことと梳きまき毛をブラ下げることである。これは流石の福岡でもまだ行われていない。

ます。お料理なぞと些しも違いません。福岡ならば福岡風があるのが本当なのです。日本中が東京風になるのは

れて行きます。お料理なぞと些しも違いません。福岡ならば福岡風があるのが本当なのです。日本中が東京風に

近頃は福岡にも出来たが、東京のカフェーその他の飲食店では、テーブルとテーブル

なぞとあるのを、福岡の或る教育家が見て驚いて、

八幡市の不良団に関する福岡県知事の質疑

沢田福岡県知事から内務当局へ宛て一つの問合せを発した。その内容は今日迄

だんだん怖くなった。記者は静かに帽子を脱いで、わざと福岡弁で云った。

、西へ行く風俗を注意しただけでもよくわかる。福岡あたりの活動のハネ時に半時間程立って見ても一目瞭然である

円である。某化粧品屋の特製とかで（この間福岡の新道で只一個見かけたが、価格は四円五十銭と云った

、蒲田、その他東京の郊外、市内でも早稲田、下谷なぞのカフェーやバーに這入ると、真白なお化けが飛び付いて来る。椅子

ポツポツと固まったのがあって、記者が聞いたのは下谷に一つ、麹町から牛込へかけて二つ、青山に一つある。

のは赤十字社があるだけに博愛式の汚行専門らしく、下谷のは又誘拐が多い。それも小学生程度の少年をモノすることがチョイチョイ

青山や下谷のも略似たようなものらしいが、青山のは赤十字社があるだけ

台湾征伐、熊本籠城、日清日露の両戦役、又は北清事変、青島征伐等を見た

下さるそうですわね……わざわざすみませんわ。水戸でもよろしいのですけど、人目が多いからよしましょう。

は五日に土浦駅で御まち下さいませ。私、二十八日水戸へ参りまして海岸へ参りましたら、それはそれは色が黒くなりまし

奈良でも、大阪でも、京都でも、又は今の東京でも、皆日本民族のブル思想の反映

京都を離れた鎌倉に幕府を開いたところに、この首都のブル式悪感化

奈良でも、大阪でも、京都でも、又は今の東京でも、

東京郊外、川向うの深川、本所、向島、亀井戸あたりの暗から暗に続く木立の中や、バラックの

東京人の堕落時代

東京人は今や甚だしい堕落時代を作っている。西洋風、支那風、日本風

最新式の最上等と心得ている。この意味から見て東京人の堕落はやがて日本人の堕落である。三百里先の事と思うの

でも東京が本場でなければならぬ。すべてのものは東京が最新式の最上等と心得ている。この意味から見て東京人の

は「東京」を無暗に崇拝している。何でも東京が本場でなければならぬ。すべてのものは東京が最新式の最上等

現在の日本人は「東京」を無暗に崇拝している。何でも東京が本場でなければなら

三四月であろう。毎年の花時……特に昨年の花時は東京の人気に一大変化を画した時であったから。

しかし今の通りの勢ならば、東京人の堕落傾向はなかなか止まるところでない。却てこの花時を区切って全盛

ように思っている人々のために、又はその子弟を東京に遣っている人々のために参考となったら、記者の苦心はどれ位

更に地方の特色の美しさや尊さを忘れて、東京を神様のように思っている人々のために、又はその子弟を

東京人の堕落時代を描き出す前に、取り敢ず読者の記憶を呼び起しておか

東京郊外の或る大撮影所長は云う。

ために、反感を起したものとも見えます。現在の東京人は『地震』と云うと――すぐに『ソラ又天の何と

云々と。これ等の話は皆よく東京人の堕落時代を裏書している。

震災直後の東京ではライスカレー一皿で要求に応じた女が居たと甲も乙も

これ以下の無茶なのも居たろう。とにもかくにも震災後間もない東京の人間は、人間性の美点と醜点とを極度までさらけ出した。その醜い

彼等東京人は食物に飢えたように性欲にも飢え渇いた。その烈しい食欲と性欲

最近の東京では、性病又は性病予防等に関する秘密薬の売れ行きが盛である

、秘密のＰ・Ｏ・Ｐ、秘密の謄写版刷は、東京の暗から暗へ、恰も独逸の紙幣のように波を打ちまわっている

のに乗じて非常に沢山出来たらしく、その商品は一時東京市中に生産過剰を来たした。一方に、被服廠その他の死体写真

以前東京では、縁日の出はずれ、浅草、神田、京橋辺の露店の切れ目、活動

東京市中の暗い処を歩いていると、時々この種の商人にぶつかる。

、この頃では眼に見えてゆるやかになった。特に東京ではそう見える。

と関係があるから。そうしてこの傾向は、目下、東京で盛に醸成されつつあるように記者の眼に見えるから。（後段

同時に東京で出来る秘密画の最近傾向として、或る残忍な画題が喜ばれて

デカダン傾向……それは単にこのような方面ばかりでない。東京市中の到る処にあらわれている。その中でも特に記者の注意を

、日本の文化は日本の自滅を意味する事になる。東京の裡面にこのような出版物が横行するのは、日本の前途のため

を、私は経験上明言し得る。そうして今の東京の文化の裡面には、この傾向が日一日と濃厚になって行く

震災後の東京の荒れ野原に、真っ先に興行物の色旗を翻えしたのは

この勢につれて東京市内外の到る処に小さな撮影所が出来た。

東京郊外にある自宅の天井を打ち抜いて、小さな撮影所を設ける。これに強力

現在東京で流行しているこの種のフイルムの中には、舶来物もあるに

原因を尋ねると必ず彼の大震災に結び付く。彼の大震災は東京人の堕落を深むべく一新紀元を画したものと云い得る。

東京人のうち上流に位する人々の堕落は、このほか各種の方面に証拠

東京人のプロ階級で震災後生活のために堕落したものは非常に多い。

東京の上流人士は震災後の血迷った、混乱した人心につけ込んだ。あらゆる手段

嘗て帝劇が出来て女優を養成した事は、上流の東京人の裏面の生活に一新生面を開いた。それ以後、歌劇女優、女流

というわけで、撮影場の首脳者が、帽子目深に東京の街頭をウロ付くようになったのは、二三年前の事である

上流人士の美の要求に対する仲介業は、昔から東京に沢山ある。待合、ホテル、料理屋等いうのは問題にしなくていい

しかし、東京市中のすべての警官が果してこの誘惑から免れているであろうか。彼

かように東京の風紀頽廃の原因を煎じ詰めると、

今度東京で知り合いになった司法官や教育家――と云うと大層立派であるが実

面に遺憾なく魔力を揮っている。それ程左様に新東京ではイージーに女が得られるのである。

彼等上流人士が、東京市内到る処に建てている小事務所や、市街の各方面に建てている

て、ピカピカした自動車に乗って去る光景を、近頃の東京人はあまり怪しまなくなった。これも震災の御蔭であろう。

又近頃、東京には自動車が殖えると同時に、運転手も殖えた。彼等がその乗せ

彼等自動車運転手連の話に依ると、震災後の東京には、彼等の所謂私設待合が到る処に殖えた。その待合で

東京の女道楽に飽きた男は、次第にこうした変態性欲に落ちて行く

東京人の堕落は、こうして爛熟期が糜爛期に入って行く。

或る要求を満たす機関は、男のそれと同時に昔から東京にあった。役者、蔭間、力士、その他の芸人、占者、祈祷師、

東京又は東京付近に居る上流の婦人、殊に未亡人たちの或る要求を満たす機関は、男

東京又は東京付近に居る上流の婦人、殊に未亡人たちの或る要求を満たす機関

東京に行く学生諸君、又は故郷から仕送る父兄達なぞ、心しても心

ような女性の最も多く進出する処は、云う迄もなく東京であった。

上にも刺戟し、向上させ、極端化するのは東京である。

烈しく打ち壊した。これと同時に、夥しい「若い燕」が東京市中に孵化して飛びまわる事になった。

行くかわからぬ勢である。そうしてこの中に浸る東京の上流婦人の中に、次第にサジスムス性のソレが殖えてゆくのは

現在の東京には、このような浅ましい傾向が、どれだけ増大して行くかわからぬ

に求めねばならぬ。そのような商売人が前述の通り東京にはいくらでも居る。殊に震災後急増したところを見ると、新東京の

東京に於ける上流婦人のサジ式傾向の具体的説明はここに避ける。その男性

ある結婚」と名づくるとでも云おうか。そうして東京は、この流行の中心と認められている。

九州あたりではそうではあるまいが、震災後の東京ではそうである。強いて理窟をつければ、教育ある男女の「野合」

が「理解ある結婚」の中心地である証拠に、最近の東京の街頭に異性と二人連れの姿を非常に多く見受けるのは記者ばかりでない

東京が「理解ある結婚」の中心地である証拠に、最近の東京の街頭に

東京の上流人士が男女を通じてかように次第に堕落して行く原因の中

記者はそんな風に考えて東京に来て見た。そうしたらまるで違っていた。

しかし、復活した東京の新文化の華然として、大道を闊歩している所謂職業婦人

この事実を疑うものは、東京人の中に一人も無いと云っていいであろう。

ある。最新流行は愚かなこと、永年東京に住んでいる東京人でも眼を丸くしてふり返るような、思い切ったスタイルでサッサと往来を

も派手で活溌である。最新流行は愚かなこと、永年東京に住んでいる東京人でも眼を丸くしてふり返るような、思い切った

九州で福岡は東京流行の魁

九州で東京風の流行の真先に這入って来る処は福岡で、その次が大分県の

それかあらぬか、記者が東京の職業婦人の新スタイルを見て仰天して帰って来て見ると、

東京の職業婦人の頭はここいらから発達したものであろうか。その形

を制限する華盛頓会議がない代りに、讃美する新東京人があるだけ違う。だから彼女たちの頭の大きさの競争が、斃れ

な意味の職業婦人が少い、従って自己見せ付けの競争が東京程烈しく行われないからであるらしい。

に非常識者なのは無い。これは、福岡の婦人に東京のような意味の職業婦人が少い、従って自己見せ付けの競争が東京程

流石に福岡あたりを歩いている新式の髷には、東京の職業婦人のそれのように非常識者なのは無い。これは、福岡

丸ビルというのは東京で丸の内ビルディングの事、銀座は同じく目抜の通りと云ったら笑われるかも

尚、参考のために書き添えておくが、現在の東京で中年以下の婦人の断髪は時々見かける。しかし前髪を切って縮らした式

無いようだから、参考のために書いておく。実は東京でもたった一人しか見なかったのだから、流行とは云えぬかも

中流社会の着物道楽の項で述べたように、現在の東京で最もハイカラな男といえば、最もジミな青白い服装をした男で

新東京の新東京人の中で、男は後の方法を取った。中流社会の着物道楽

ば福岡風があるのが本当なのです。日本中が東京風になるのは、日本の方がまだ本当の趣味を御理解なさらぬ

の髪をという意味の御注文がよくあります。しかし東京式の結い方はあまりお上品向きでありませんから、お客様のお姿

「田舎へのお土産に東京の最新式の髪をという意味の御注文がよくあります。しかし東京

東京の職業婦人の服装を、あんなに馬鹿馬鹿しく派手にした第三の原因は

御存知の方もあろうが、昔、東京に千束町風又は千束町式、千束町スタイルなぞいう熟語があった。千束町と

今の東京の職業婦人のスタイルは、この千束町式の変化したものに外ならぬ

か知らぬが、そんな感じがする位である。今の東京に於ける女医、産婆、美容術師等いう年増の職業婦人は、大抵この

今一つこれも知ったか振りであるが、約二十年近く前から東京に蠣殻町式という言葉が出来た。これは蠣殻町の取引所界隈にあった

たちのダラシなさを挙げたら数限りもない。しかも現在の東京人は、こんな風に見える女をすぐに解放された女と認めて

足……殊に女の足は十人が十人駄目である。東京の女学校で汐干狩をやると、皆足を気にしてとやかく云う

しか見られなかったそうである。それが今では全東京の街頭に流れ出した。病院、学校、会社、銀行、商店、カフェー、バー

ねうちがあるかも知れぬ。大正十二年九月以降、東京の市中に二重の職業を持つ婦人が激増した。その後に日本

を出来るだけ沢山に調査すれば、わけなく解る問題である。東京市内にある相談所、紹介所、又は会社や銀行の職業婦人を取り扱う掛り

でも最も早く世智辛くなる処は、何といっても東京であった。田舎の人々が都会へ都会へと集まる傾向は、一層この

対して、時間極めの女中を世話する派出婦会が、東京市中に殖えて来た。これも新生な意味の職業婦人に入れられる

職業婦人はこうして次第に東京を横行し始めた。

行こうとするであろうか。それは今から十年後の東京に来て見なければわからない。又彼女達自身も考える余裕を持たぬ

に、彼女達の「美」を無理に要求する震災後の東京であった。

大正十二年九月一日の大震火災後一二ヶ月の間、東京市中に婦人の戒厳令が布かれた事を。勿論それは公式のもの

大部分は焼けてしまった。各券番は休業した。東京のあらゆる街々は、夜になると飢えた狼が横行するに任せてある

上にあから様に伝えられた。それ程に震災後の東京は飢えていた。この飢に堪え得たものは教育ある上流人士より

が震災直後に居た事は前に述べた。その後東京市中の秩序が回復して来るに連れて、そのライスカレー一皿の価

市民と彼女達の仲介業者であった。結局、震災後の東京でその甚だしく増加した商売は、職業婦人の第二職業という事に

と云ってもいい位である。これ等の飲食店は一般東京市民の要求に依って出来たもので、市民と彼女達の仲介業者で

飲食店と自動車である事も前に述べた。殊に飲食店は東京市中のすべての半町毎に一つ宛位は必ずある。多いところは

震災後の東京で最も増加したものが飲食店と自動車である事も前に述べた。

の職業婦人の多数とは、こうしてゴッチャになって東京の復興に努力し始めた。

一方に復興の東京は彼女達職業婦人の多数を第一の職業に呼び返した。その上に

震災後の東京に於ける生存競争が、震災前のそれよりも数層倍烈しく乱雑になった

時、金、生活、享楽――即ち物資文明の産物たる東京のバラック、イルミネーション、エレベーター、店頭装飾、そのようなものの間を駈けめぐる電車

、美がすべてに勝る資本である事を知った。全東京の男性は彼女達の美に飢えている事を知った。殊に彼女達

記者の友人甲「女なら今の東京だね」

甲「どうしてだって、東京の職業婦人はまだ出来立てのホヤホヤだろう。そいつが又堕落し立てのホヤホヤと

、女優一切であろう（女車掌の事は前に「新東京の裏面」の項で書いたから略する）。この種の職業婦人は、

以上述べたのは東京の目抜の処の一例であるが、それ以外の低級な処へ行く

大森、蒲田、その他東京の郊外、市内でも早稲田、下谷なぞのカフェーやバーに這入ると、

東京はこれと正反対で、そんなところを撰んでつけ狙う。一方、お客の需要も

前の看護婦と同様の意味で営業しているのが、東京市中にかなりあるらしい。但、見わけはなかなか付かない。

今度、東京でいろんな新智識を得たが、その中でも面白いのは、マッサージ師

但、これ等は、東京人の堕落時代に乗じて今更流行り出した病気とは云えないかも知れ

深刻にはなり得ないであろう。言葉を換ゆれば、東京の婦人の第二職業で、看護婦程恐ろしい度胸を要するものはないであろう

東京の女が如何に堕落しても、又はどんなに凄腕になっても、

あまり知られていないから第一級とした。今の東京の暗黒面を最も深刻に、且つ不可思議な美しさで彩っているは、

あったら、その人は新東京人のチャキチャキである。それだけ東京人の堕落に対する批判の公平を喪っているものと見ねばならぬ

を集めているとこの頃聴いた。事実とすれば、東京人の堕落に対する一種の裏書とも考えられる。

対抗して銀座の或る大ビルの事務所では、事務員に東京生れの醜婦ばかりを集めているとこの頃聴いた。事実とすれば、

は第二職業を持つ婦人に特に有利で、そのためか東京市中の女が特に毒々しく引立って見える。結局、純然たる第一種の

この式に見てまわると、東京市中美人ならざるなしである。殊に最近、印象派とか、表現派と

、こんな風に職業婦人を紹介する処が、今では東京市中到る処にあると云っていい。どこの工女とか、女店員

記者は東京市中の秘密出版物の景況を探る目的で、絵葉書屋を見当る毎度に飛び込ん

東京市中にある各種のホテル又は宿屋等で、宿屋は宿屋として

、同伴客昼夜宿泊所又は仲介業とでも云うべきで、東京市中にいくらあるか知れぬ。夫婦者で、表に「精進上げ」

東京市の郊外、又は東京市内のちょっとした横町、又は坂道や高台の近くの見晴らしのいい

東京市の郊外、又は東京市内のちょっとした横町、又は坂道や

東京人の堕落時代は、こうしてあらゆる方面に色彩を深めて行く。

東京の上流社会の紊乱は既に書いた。中流社会の堕落と認められている職業

この方面に関する記者の報道は極めて簡単で済む。東京市中到る処魔窟ならざるなしという一語で済む。

支那料理、簡易食堂、平民バーといったようなのが東京市中到る処にある。その中の十中八九は怪しいと云ってよい

東京市中がこんな浅ましい状態になった原因が、取りあえず二つある。一つ

市中の到る処に安飲食店をゆすり出した。同時に東京市中にありとあらゆる女のクズをたたき出した。

あの大地震は東京市中の到る処に安飲食店をゆすり出した。同時に東京市中に

喰い飢えた東京人、女に渇いた東の男は、滅多無性に安い食物と安い女

では、東京が灰燼になったと見ると、一目散に東京を飛び出して、五人十人二十人三十人と醜業婦を仕入れて帰って来

を仕入れに行ったという。大正の大震火災では、東京が灰燼になったと見ると、一目散に東京を飛び出して、五人十人

切り売りをさせたのもあったそうです。私はこの頃東京に来たので事実は知りませんが、先輩がそんな話をして

東京郊外、川向うの深川、本所、向島、亀井戸あたりの暗から暗に続く木立の

あろう。しかし追々と近付く春のぬくみは、又もやこの醜態を東京市の内外に復活するであろう。

東京は文明国の都市か殖民地か

東京市内に於ける魔窟大繁昌の第二の原因は極めて皮肉で面白い。

以て見れば、東京から吉原や千束町を除くものは東京の繁昌を呪うものだ。醜業婦は都市の繁昌のため欠くべからざるものだ

間に都会にして終う。これを以て見れば、東京から吉原や千束町を除くものは東京の繁昌を呪うものだ。醜業婦は

論より証拠、当局が東京第一、否、日本第一の魔窟浅草の千束町をたたきつぶした結果を

東京の浅草千束町――詳しく云えば千束町の一部と猿之助横町の一画全部、三

東京市内付近へかけて八方に散った千束町の醜業婦は、その行く先々で醜業

しかしその結果が可笑しな事になった。東京市内の遊蕩児の相手になる女は、全体から見て却って増加し

一方に、東京市民の淫蕩気分は弥が上に甚だしくなって来る。どこかにセリ出さ

奨励と講習のため、その筋の鞭に追われて、東京市内外の各所に派遣されたようなわけになった。

東京の千束町を只一ヶ所たたき潰したために、東京はその何層倍の呪いを受けている。この上吉原まで潰したらどんな事に

東京の千束町を只一ヶ所たたき潰したために、東京はその何層倍の呪い

東京人の堕落時代が明瞭に証拠立てた事実である。

東京に行きたがる子女

に遣ろうとする親達も現在どれ程あるかわからぬ。東京は若い国民の教育の中心地である。同時に少年少女の魂の華やかな

。その子女を東京に遣っている父兄、又はこれから東京に遣ろうとする親達も現在どれ程あるかわからぬ。東京は若い国民

少年少女は、天下に何人あるかわからぬ。その子女を東京に遣っている父兄、又はこれから東京に遣ろうとする親達も現在

「東京に行きたい」と、あこがれ望む少年少女は、天下に何人あるかわからぬ

清浄無垢な少年少女の空前の不浄化は、東京人の堕落の中でも最も深刻な意味を持っている。

不良少年少女の激増は、東京人の堕落時代を最も深く裏書するものである。その時代相は日本文化

震災前の東京の不良少年には、喧嘩、恐喝の傾向が漸次減少しかけていた。

この時代は東京市中の混乱時代で、取締りが不行き届きであったため、一層彼等は

東京の不良少年がこんなに乱暴になったのは、明治初年以来の事だそう

潜伏期であると同時に、内実は蔓延期であるらしい。東京の不良性を受けた者が、冬と春の二度の休暇に帰っ

昨年の夏から秋へかけての東京の子女の不良ぶりが、吾が九州地方の少年少女に如何に影響して

…あの大震火災の翌年、即ち大正十三年度中に見せた東京人の腐敗堕落が、如何に地方に影響しているかがわかるのはこれ

東京に鬱積した不良性

そうして、この傾向の最も甚だしかったのは震災前の東京であった。

敏感で早熟である。就中東京の少年少女は最も甚だしい。東京人がその敏感と早老を以て誇としているように、少年少女

都会の少年少女は取りわけて敏感で早熟である。就中東京の少年少女は最も甚だしい。東京人がその敏感と早老を以て誇と

震災後、東京の各学校の大多数は、一種の男女共学を試みねばならなかった。

震災前、東京には各種の学校が、著しい増加の傾向を示した。

東京は昔から不良少年少女の製造地として恐れられていた。そこへ

ところが、現在の東京人の家庭の多数はこの力を失っている。お父様やお母様の威光、

としてこの二つの原因があるために、現在の東京の子女には、その家庭に対するなつかしみや敬意を持てなくなっているの

東京は明治大正時代の文化の中心地である。だから、そこに居る子女の

。地方の子女も持っている。地方の若い人々が「東京に行きたい」と思う心の裡面には、こうした気持ちが多分

こうした気持ちは東京の子女ばかりではない。地方の子女も持っている。地方の若い人々

東京風がもう九州に入りかけている。今にわざわざ愛児を牛乳で育てる夫人が

東京の社交婦人の忙しさは、とても九州地方の都会のそれと比べものになら

られているのが多い。その又家庭教師にも大正の東京人が多いのである。

て来た。上流の方が次第に殖えて来たと東京市内の各署では云う。

東京の子女が不良化して行く経路は極めてデリケートである。殊に現在の不良

震災後の東京は殊に甚だしい。毒々しい、薄っぺらな色彩のバラック街……眼まぐるしく飛び違う車や人間

近頃の東京の若い女、殊に自堕落な気分に浸る女の中には、そんな風な

新しい言葉の字引きなぞいう書物が近頃流行するが、現在の東京の少年少女が使う新しい言葉は、その中には一つも見当らぬと

記者がこう書いている間にも、新しい単語が本場の東京でドンドン殖えているに違いない。

で是非特筆大書しておかねばならぬ事は、最近の東京に於ける若い女性の享楽気分である。

人間だわ」という意味である。だから、今の東京の女らしい女は、なかなか活溌で、華やかで、積極的で、魅惑的で

らしく」、「男は男らしく」と云うが、今の東京では、その「男らしい」と「女らしい」との意味が昔と

呆れても驚いても追付かぬ。東京の女は男と同様に自由である。眼に付いた異性に対して

？　を持っているのが多い。これはどなたでも東京に行って御試験になればわかる。

こうした傾向にカブレた東京の少女は、知らぬ男から顔を見られても、耳を赤くし

この話だけでも、東京の女性の積極化傾向が如何に急激であるかが、充分に裏書され

「東京の女学生の好き嫌いは大抵きまっています。明治や慶応の生徒はニヤケ

して、「性の悩み」に魘される少女を、次第に東京に殖やして行く。

東京の若い女の享楽気分は、日に増し眼に余って行く。そうし

ない。よしんば八釜しく云う者が居るにしても、この頃の東京の少年少女は滅多に尻尾を押えさせぬ。探偵小説的、又は活動

しかし、東京ではそんな心配はない。よしんば八釜しく云う者が居るにしても、この頃

しかも東京にはそんな手腕を揮う場所と機会が無暗に多い。

、掲示なぞを気をつけていれば、すぐにわかる。東京市中で毎日十箇所を下るまい。

震災後の東京には街頭の展覧会が殖えた。写真、絵、彫刻、ポスター、技芸品

たものだそうな。一説には、これが、現在、東京で最も有力な不良少女団の団長だともいう（後に詳しく説明する

近頃は福岡にも出来たが、東京のカフェーその他の飲食店では、テーブルとテーブルの間を仕切るのが流行る

東京の市内電車が素敵に混雑むのも便利である。同じ吊り革にブラ下っ

東京はその流行の中心地である。

年中行事の多い事も東京が一番である。

といったようなもので、仮申込所を東京府下中野○○番地、松居博麿（仮名）方としてある。

で降りた。決して名探偵を気取ったわけではない。流石東京と実は大に感心させられた。その会合の遣方を習ったら

成るべく東京の同業の助力を借りずに材料を集めようと決心していた記者も

現在の東京の不良少年少女は明らかにブル化している。当局でも寒心している

奥様の子弟には必ず不良少年が居るというが、今の東京の時代相では一部の真理があると考えられる。

東京市中到る処の縁日や露天には、封筒や書簡箋の店が多い

と思ったが、却て挑発するから同じ事だし、東京人の堕落時代が如何に戦慄に価するかを証明する力が薄くなるから

ただしこれは処女のみにかぎるよ。又東京のはなしして。ハイチャイ。

を調査し、魔の爪を磨いていたのを、東京から尾行して来た刑事が引っ捕えたのだという。

呪われた東京を思い出して……今はこの書く手もふるえて、この窓から見れば

媾曳に慣れた少女の手紙である。東京付近の郊外が、到る処こうした男女のために利用されている

の手段を以て良家の子女を窘しめた。これは東京の震災後、九州方面に流れ込んだ避難民の中に不良少年が居て、こんな事

そのようなやり口は必ずしも東京式とは認められぬ。八幡市の不良少年が、ある刺戟によって独立的

東京は、こんな風に日本全国から「不良」の本場と考えられているが

で、これ以下の「イケナイ」のは無数だという。東京全市が不良の支配下にあるのではないかと疑われる位である。

多いこと――警察の取締が行届きかねる事――又は東京市の中心に到る電車の距離が長いため誘惑に便利な事――なぞ

一般に、震災前と震災後とは、東京人の風俗に一大変化を来した。改め切れなかったものが、あの大きな

東京の土を踏んでドキドキと躍る心

大正十二年の秋以後、東京は特に夥しい人間を吸収した。その中にまじる少年少女は片端から不良

第一、田舎から出て来た少年少女は、永らく東京に住んでいる家庭の子女より堕落し易いというが、さもありそうに

、既に不良性の種子が宿っている。「何でも東京へ」とあこがれる気持ちの裡面には、自堕落によく似た自由解放や

無暗に東京にあこがれて吾家を飛び出したりするのは、東京に着かぬ前から不良性を帯びていると云っていい。田舎を嫌っ

て東京に来たのは別として、只無暗に東京にあこがれて吾家を飛び出したりするのは、東京に着かぬ前から不良

な云い方ではあるが、しっかりした身よりがあって東京に来たのは別として、只無暗に東京にあこがれて吾家

あこがれの東京に着く。

震災後、思い切って華やかになった東京のすべては、彼等の眼を驚かし、耳を驚かす。面喰らって感じて

新聞や雑誌で見聞きした東京の風物が、一々実物となって彼等を魅惑し始める。欲しいものが

れている事を気付かずにいる。そうして、只東京の「不良」の誘惑ばかりを警戒している。

ながらも、自分の清浄無垢を信じている。「だから東京に行っても差支えはない」と思う……その心の奥に不良の

田舎出の少年少女は、東京の「不良」の誘惑がどんなに恐ろしいかを知っている。そんな忠告を

居る。そんな友達の話を聞いていると、何でも東京でなければならぬように思われて来る。つい感心して夢中になっ

ところが、東京で出来た知り合いの中に不良らしいのは一人も居ない。同時にその

やっている時である。「自分の不良性」が「東京の不良性」と共鳴して、自分を不良化してしまっている時

ている。そんなのを見たり、真似たりして、天晴れ東京通になって、田舎者を馬鹿にしている時は、もう平気で「

殊に東京でエライと云われる大人は、白昼堂々とそんな事をやっている。それ

友達を怨んでも、東京を呪っても追付かぬ。学校は追い出されている。故郷からの送金は

才智にうぬぼれた少女等は、よく平凡な田舎を嫌って東京に飛出す。しかし、そこで仕事に有り付いて、コツコツと働いて、結婚し

「東京」は待ち構えて「生存競争の邪道」に陥れる。東京にはそんな「生存競争の邪道」が横路地の数だけある。

大勢をアッといわせて見たい……そんなのを「東京」は待ち構えて「生存競争の邪道」に陥れる。東京にはそんな「生存

の犯罪性を帯びたものも、静かな地方を嫌って東京に出て来る。曇った空気を恋い、彩られた光りを慕って、

東京の二三署の刑事や部長が記者に話した事の中で、左の

東京の学生生活に狃れ過ぎて

大きな声ではいえないが、東京の学生生活に狃れ過ぎると不良になる。故郷を遠ざかった世間見ず

彼等は何でも成功しようと思って東京に来るのであるが、案外うまく行かないとジリジリする。世間の冷たさ

いう気になっている。その油断から不良風を引込む。東京市中の到る処の抜け路地は、苦学の御蔭でチャンと飲み込んでいる

東京の家庭の婦人、色町の女、魔窟の女なぞが、苦学生というと

併し、現在の東京と対照させると、この議論は決して古いものでなくなる。却て新しい

現在の東京に見る見る増加して行く極端な対照――非常な華やかな生活と恐ろしくミジメ

今の東京はそんな悩みを刺戟する最新、最鋭の材料に満ち満ちている。

一は虚栄から始まって万引に移る。その虚栄の本場は東京である。最近の派手な風俗は、一面から見れば狂的の虚栄競争で

極端に皮肉に見れば、東京の女学校――わけても私立の教育方針は、真実に近代思想を理解

今の東京はうぬぼれの大競争場である。あらゆるおめかしの大品評会場である。

のそれのようにありふれていないからでもあろうか。東京市中はこんなあらゆる種類の「不良養成所」である。殊に現在のバラック

露店を掻きまわしたり、飲食店の皿数を胡麻化したりするのは、東京に限らぬ学生たちのわるさである。

あったが、今の東京程著しくなく、又、今の東京程入り乱れていない。

。昔もこの区別があるにはあったが、今の東京程著しくなく、又、今の東京程入り乱れていない。

文化式の中で、或る一人の事蹟は、今でも東京のカフェーゴロの間に語り草になっている。その話は、その男に脅迫

彼は十代から家を出て、乾児を連れて東京市中のカフェーを押しまわった。彼の前でちょっと生意気な素振りをする

「今から東京を立ち去るから、旅費二百円程頂きたい」

彼はその金を持って有力な乾児と共に東京を出た。各所の有名な富豪を訪れて金を強要したが、

今の東京にはこんな非文化式は流行らぬ。その代り文化式が全盛で、極印

こんな文化式不良の札付きになると、東京市内外の不良の系統がわかって来る。同時に不良学上の智識と興味

第一に東京市中の案内が、親の家の中よりもよくわかって来る。それ

―不良学のお手本が日本一に集中しているのは東京である。

東京の不良は場所に依ってタチが違うようである。土質に依って植える

仕事場で、山の手は色魔や詐欺の本場と云ってよかろう。東京市外となるとそんなのがゴッチャで、しかも盛に行われる。飲み逃げや

する。但、こんなのには色魔式が多いので、東京市内及付近では、小石川の植物園が何といってもこの式の大

気の利いた不良になると、遠く東京郊外の温泉地、遊覧地、海水浴場までも活躍する。但、こんなのに

と、社会の欠陥がよくわかる。三千何百の不良を養う東京の社会的欠陥はどれだけに大きいのであろう。

ので、よく人が気が付いている。要するに大東京の産物――否、大都会特有のもので、自身、不良だか何だ

「おめえ、東京初めてか」

「この際東京に対する日本人一般の迷信を徹底的に打破せよ」

現在の東京では、そんなウッカリした態度では、不良少年少女に対する取締が出来ない

そればかりでない。東京人の堕落はかくして日本人の堕落となるであろう。これに対して

方法を誤り、又は無関心にしておいて、他日、東京人の堕落の影響が新聞紙上に事実として現われた時、初めて驚く

こんなことを書いているうちにも、東京では有名な不良少年少女団が二つ三つ挙げられた。足もとの明るい

にどれ位交際の機会があるかわからぬ事は、既に東京の年中行事の項に記載した通りである。

記者はそれ以来、この頃の東京の巡査に若いのが無暗に殖えて来るのが気になり出した。

東京の不良少女は、まだ少年のそれのように深刻な悪事を働かない。

東京の或る女学校では、健康診断や体格検査の時に女生徒に口を

来るのはよほど手強いので、もっともっと手軽いのが最近の東京では普通だという。

東京はこんな風に、大人の享楽主義の天国であるように、少年少女の花

その銀座が夜になると、来るわ来るわ、東京市に居る人で銀座散歩を知らぬ人は余程の野暮天と笑われる位

ずっと前、東京市中の学生仲間に鳥打帽大流行の事を書いた。そんな材料を調べて

ていた）、あまり方々で売っていない。これは東京随一の不良少女享楽団が全部揃いで持っているもので、どこかに

で、いろんな男の学校の生徒の会合、慈善市、又は東京市内の方々で催される展覧会、その他あらゆる会合に関係をつけて出席

記者は失望して引き退った。その翌々日、「東京全部」に見切りをつけて郷里へ帰ってしまった。

因に、去る二月頃、東京で捕まった不良少年少女の一団の中には、彼女の名は無かった。

東京人の堕落に対する各方面の驚きの声

以上は、東京人の堕落に就いて見聞した事実の概要である。誇張されたらしい

を掲載し終えた頃から、東京の各方面に於て、「東京人の堕落」に関する驚きの声が俄然として起り始めた事は

に、本紙がこの稿の過半を掲載し終えた頃から、東京の各方面に於て、「東京人の堕落」に関する驚きの声が俄然

のに、恰も東京の「堕落の甚だしさ」を、恰も東京の「文化の向上した程度」を示す者であるかのように、

報道の大部分が、東京の堕落を説明するのに、恰も東京の「堕落の甚だしさ」を、恰も東京の「文化の向上した程度

感じた点があった。それ等の報道の大部分が、東京の堕落を説明するのに、恰も東京の「堕落の甚だしさ」を、

は東京の文化の向上を意味するものでない。却て東京の文化の滅亡頽廃を表明しているものであることを。

東京人の堕落は東京の文化の向上を意味するものでない。却て東京の文化の滅亡頽廃

東京人の堕落は東京の文化の向上を意味するものでない。却て東京

正しく理解されたことであろうと信ずる。そうして、東京人の堕落がどんな色彩と傾向を帯びて移りかわっているかという事を

「東京人の堕落時代」の一篇を読んだ人々は、この意味を正しく理解

東京の名に於て踏み潰された日本の面目

彼等東京人の云う忠君愛国、勤倹尚武、仁義道徳は皆虚偽であった。

彼等東京人の持つ外国文化の驚くべき吸収力、その不可思議な消化力、並びにその

彼等東京人は文化民族としての日本人の価値を、真実の意味で代表し

彼等東京人が真実に模倣し得るものは、只外国文化の堕落した方面のみ

東京人は、日本中で先登第一に、アメリカ魂、イギリス魂、独逸魂

――新しい東京の女の美しさは鳥の美しさである。その無自覚さと口巧者さ

――新しい東京の男のエラサは獣のエラサである。その無作法さ、図々しさは、

これは記者が作った形容詞ではない。東京人が実地にやって見せている実況である。

のすべての中心とあおぐ大人諸氏、及び「東京に行きたい東京に行きたい」とあこがれ望む地方の若い人々は、今一度考え直して頂きたい

を吾が日本民族のすべての中心とあおぐ大人諸氏、及び「東京に行きたい東京に行きたい」とあこがれ望む地方の若い人々は、今一度

特に東京を吾が日本民族のすべての中心とあおぐ大人諸氏、及び「東京に行きたい

諸君は何故にそんなに東京を尊敬されるか。東京のどこにそんな価値を認められるか。

諸君は何故にそんなに東京を尊敬されるか。東京のどこにそんな価値を認められるか。

事務を執りに行く処という。しかし厳密に云えば、東京は事務を堕落させに行く処と断定すべきである。

東京は事務を執りに行く処という。しかし厳密に云えば、東京は事務

いるうちは、まことに真剣で且つ純真であるが、一度東京に持ち込まれると、忽ちその真剣味が抜き取られて、空虚な、不真面目な

牙を磨いて、雲霞の如く待ち構えている。否、「東京」は、そのような無残なもののすべてを人格化した「悪魔」の

東京には、地方から上って来る純真なもの、生き生きしたもの、又は

させられなければ、本場を踏んだと云われない。東京の「腐敗」そのもの以上に「腐敗」しなければ、日本第一流

てしまうのと同様である。否、すべての事は、東京に入って堕落させられなければ、本場を踏んだと云われない。

は、恰も地方から上京する青年処女の純真な志が、東京に入ると忽ち不浄化され、頽廃化させられてしまうのと同様

地方から上京した真剣な事業や運動が、東京と名乗る悪魔の乾児たる横道政治家の金儲けの種、高等遊民の飯喰い

日本人に対する東京の不浄な使命

茲に於て、東京の所謂「生存競争」なるものは、事実上、「腐敗堕落競争」である

は東京を学問の府としてあこがれている。しかし、東京の学校のどこに、地方の学校のような純真なる風が認められるか

学問とても同様である。地方の少年少女は東京を学問の府としてあこがれている。しかし、東京の学校のどこに

を握る精神力を空っぽにしに行く処である。少くとも東京の学校の学生と教師は、日本を指導する意気はない。学者も学生

、多少脱線の嫌いがあるから略するとして、要するに東京は、学者として、又は学生として摺れっ枯らしに行く処

東京は日本のすべての文化の中心機関の在る処と認められている。

東京というボイラーに投げ込まれて初めて、石炭は火となり、水は水蒸気と

も投げ込んで、腐れ爛れて行く自己を楽しむべく、人々は東京へゆくのである。

東京は、地方に芽ざした聖い仕事の種子を積上げて、腐らして

そのほかに東京に何の用があるであろうか。

東京は旧時代の産物たる科学文明に依て築かれた都である。

心得る、日本人の中での罰当りが寄り集る処――それが東京である。

数字とお金とで動かせる死んだ魂の市場――それが東京である。

智識と才能と人格の切り売りどころ――それが東京である。

東京に欺かるるな、何物をも与えるな

そんな人間を「東京」と名づけるとすれば、諸君は果して尊敬するであろうか。諸君はこんな

序の事に、今一つの方面から東京を批判させて頂きたい。

でも、大阪でも、京都でも、又は今の東京でも、皆日本民族のブル思想の反映に過ぎなかった。地位、名誉

たのみで、明治に入っては薩長土肥のブル思想は東京を濃厚に彩り、遂に今日に及んだものである。

命脈を精神的にも物質的にも支持しているので、東京が日本を支持しているのでは決してない。

吾々を招くとも、これに眩惑されてはならぬ。東京の中で最も美しく、大きく、貴く見えるものでも、地方人の額の

吾々地方人は東京に何物をも与えてならぬ。東京が如何に巧言令色を以て吾々を招くとも、これに眩惑されては

吾々地方人は東京に何物をも与えてならぬ。東京が如何に巧言令色を以て吾々を

無産階級の運動でもそうである。それが都会人、殊に東京人の指導下にある間は、将来、結局無価値なものとなりは

無産階級の人々が目標とし、規準とする生活が、東京人の生活と同様の意味の文化生活を夢見るものであったならば、

絶対にあり得ない――という事を、今の「東京人の堕落時代」は最も明瞭に証明しているのではあるまいか

を軽蔑する理由は絶対にない。同時に、地方人が東京を尊敬し、憧憬するところも亦絶対にあり得ない――という事

際会したならば、吾が大和民族は、遂にその首都の東京人が地震の打撃に依って本音を吹いた如く、ダラシない民族と成り果て

が無暗に殖えて行ったならば、今に日本人全体が東京人のようになってしまいはしまいか。一朝国難にでも際会し

今日の如く、東京を憧憬する人々、東京の文化を本当の文化と信ずる人々が無暗に殖えて行ったならば、

今日の如く、東京を憧憬する人々、東京の文化を本当の文化と信ずる人々が無暗に殖え

以前東京では、縁日の出はずれ、浅草、神田、京橋辺の露店の切れ目、活動館の付近、人通りの多い近所の蔭

神田の或る美容術師はこんなことを云った。

神田の某文具店の女店員は、鉛筆部、ノート部、帳簿部、万年筆部

方面は相も変らず遊廓や魔窟相手のゴロが多い。神田、本郷、早稲田方面は書物泥棒や下宿屋荒し、麹町、青山、牛込、渋谷

青年との約束を固く守ってやろうと決心した――神田の駿河台下で本紙を売っている、いないに拘らず……。

牛込の神楽坂、渋谷の道玄坂、神田の神保町付近、本郷の湯島天神あたりの夜は、今でもそんな気分の

神田の或る大きな帽子屋に、ちょっと気に入ったネクタイがあったから、這入っ

に（この日は何故かその兄と一緒でなかった）神田辺の或る中学に通っているので、その中学英語の先生田宮（仮名

以前東京では、縁日の出はずれ、浅草、神田、京橋辺の露店の切れ目、活動館の付近、人通りの多い近所

真っ先に興行物の色旗を翻えしたのは、浅草の活動写真十三館である。市内外各所の活動写真館は続いてイルミネーションを付け

居て日本中の男の油を絞った。その税金は浅草区有数の財源となっていた。

、千束町スタイルなぞいう熟語があった。千束町というのは浅草観音の裏手にある醜業窟で……なぞ云ったら笑われるかも知れぬ

見当の付いた一例ではこんなのがある。それは浅草の或るカフェーである。

かあらぬか、ここのお客には凄いのが多い。浅草辺のゴロ付き、隠れたる凄腕記者、何々団の壮士、札付きの主義者なぞ

一軒しかないのだから処は挙げられぬが、浅草か銀座かと思って頂きたい。或る狭い横町のカフェーに這入ったら、表

証拠、当局が東京第一、否、日本第一の魔窟浅草の千束町をたたきつぶした結果を見ればわかる。

東京の浅草千束町――詳しく云えば千束町の一部と猿之助横町の一画全部、三町四方

しかし震災前までは当局でもどうする事も出来なかった。浅草区役所の収入の大部分が、彼女達の納むる税金で持ってい

浅草券番の出現

浅草では同時に六百人を包容する券番が許可された。

この浅草の大券番設置出願の本当の理由は、今までの千束町の女を利用

、全体から見て却って増加した事になった。つまり浅草では、六百人の女がタタキ散らされたあとに、又六百人の

。しかも震災後、各種の興行物や飲食店なぞが作る、所謂浅草気分は数層倍濃厚になった。これに吸い寄せられて来る人々も震災前に

浅草は震災前から特別な処である。しかも震災後、各種の興行物や飲食店なぞ

ところで浅草気分に浸りに来る人々は皆、或る種の欲求を持って来る人々で

、千束町のあとに並んだ果物屋だけを勘定して、浅草は廓清されたと云っている。

は当り前である。事実、浅草の千束町が潰れると、浅草全体が千束町となった。もっと華やかな、もっと濃厚な、そうしてもっと

。券番だけで足りないのは当り前である。事実、浅草の千束町が潰れると、浅草全体が千束町となった。もっと華やかな、

こうした低級な享楽的要求に満ち満ちた浅草界隈に、こうした低級な享楽気分を売る店が出来るのは当然で

、喧嘩、恐喝の傾向が漸次減少しかけていた。浅草あたりで初心な少年少女を脅かして金を捲き上げるために、喧嘩を吹っかけたり

浅草の奥山、上野の森、その他の公園の木といわず石といわ

大正十三年十月二日午後二時頃、浅草公園雷門前での出来事――。

浅草は主として脅迫や誘拐で、千住方面は相も変らず遊廓や

浅草の商売の弱点

浅草はいろんな興行物や飲食店、又は半詐欺的の店なぞいう景気商売が

こんな複雑な関係で、浅草界隈に居る不良には、ほかの処と違った共通のスゴ味がある

それから、この頃の浅草で単独の仕事をするのは、余程腕の冴えた縄張荒しか、又

浅草の不良少年の中の或るものは、活動の案内女を情婦に持っている

は無切符で見ていたろう。君は知るまいが、浅草の活動小屋でそんな事をすると命がけだよ。見つかり次第、楽屋へ連れ

がかりを作ってパクルと云うから恐ろしい。気の弱いものは浅草の活動を見に行けなくなる。

「君、活動を見に来たんでしょう。浅草でも普通の活動は駄目ですよ。秘密に営業している禁止物を

ところで面白いのはこの浅草のチンピラである。

浅草公園内のチンピラ

浅草公園内のチンピラは一種独特のものである。ユーゴーの小説に、「町

にも居たであろうが記憶しない。その中でも浅草のが一番眼に立つし、多くもあるので、よく人が気が

浅草にはよく大人の浮浪人で、一名立ちん坊というのがウロウロしている

この浅草公園内のチンピラが、いつも四五十人位の範囲で殖えもしなければ、

ゴミ溜めを漁ったり、掻っ浚ったりして喰っている。浅草公園界隈には、丁度彼等四五十人を養うだけの残物が年中ある訳

浅草公園内のチンピラは、よく不良少年の手先になって手紙なぞのお使いに

複雑な用事は出来ない。お使いの出来る範囲も大抵は浅草界隈に限られているので、遠方でもお使賃欲しさに頼ま

彼等はこうして浅草公園内を全世界として、何の苦もなく、喰い且つ遊んで

享楽の浅草の中心に沁み出た、はかない哀愁の影でなくて何であろう。

雨上りの青空が浅草観音堂の上一面にピカピカと光っていた。

ネ。不意にこんな事を云い出して失敬ですが……浅草の話を探りに来たんですが……生憎知り合いが無いんで…

「フフフ……しかし浅草の話だけは勘弁して下さい。ほかの処なら構いませんが……

浅草に限らず、不良少年は団体を組んでいるのがいくつもある。「三

。大抵一組十人位から三十人位まで居るという。浅草にはいくつもあるが、皆小さいように思う。その代り亡命印度人の

のの名前は、始終取りかえるのでわからない。仕事は、浅草のを除いていずれも家庭荒し（鳩狩？）が主で、しかも、

或る日の正午、記者は日比谷交叉点付近のカフェーに腰を卸して、注文の来る間ズボンのゴミを

を今日まで残している処もある。去年の秋あたり、日比谷、上野、小石川のバラックの裏手を夜十二時過ぎに通ると、そこに

の手は戦きました。嬉しさに……二十七日には日比谷までお出下さったのですってね。

なくなっているが、仕事はチャンとしているらしい。日比谷と九段はその二大中心で、青山方面にも手を延ばしている

丸ビル式と銀座髷

ているから略するが、その中で有名な丸ビル式と銀座髷というのについて一寸説明を加えておく。

丸ビルというのは東京で丸の内ビルディングの事、銀座は同じく目抜の通りと云ったら笑われるかも知れぬ。それ程左様に

次の恰好にまで共通点が出来て来る。丸ビル式や銀座髷はこうして出来た。

銀座の方は大部分バラック式の派手やかなもので、職業婦人といえば大部分飲食

形になった。これに取って代るべく生れたのが銀座髷かどうか知らぬ。

軒しかないのだから処は挙げられぬが、浅草か銀座かと思って頂きたい。或る狭い横町のカフェーに這入ったら、表の割り

銀座の或る菓子屋には、欧州風の部屋着の揃いに、揃いの頭、

これに対抗して銀座の或る大ビルの事務所では、事務員に東京生れの醜婦ばかりを集めて

そんな処を摺り鉢の縁とすると、底に当るのが銀座である。

になると、来るわ来るわ、東京市に居る人で銀座散歩を知らぬ人は余程の野暮天と笑われる位である。

その銀座が夜になると、来るわ来るわ、東京市に居る人で銀座散歩

「新宿、品川、吉原等の遊廓は潰れた。その他の醜業屋も大部分は焼けて

「新宿、品川、吉原等の遊廓は潰れた。その他の醜業屋も大部分は

の降る日――四谷から牛込へ帰る途中――飯田橋から新宿行の急行電車に乗り換えると――あの中学生――一週間余り前に、

まで残している処もある。去年の秋あたり、日比谷、上野、小石川のバラックの裏手を夜十二時過ぎに通ると、そこにもここ

いわず、若い人々の眼じるしにされて飽きている。上野の西郷銅像の前に夜の十時過ぎにしゃがんでいれば、待って

浅草の奥山、上野の森、その他の公園の木といわず石といわず、若い人々

ませんけど、利根川が。土浦で下車しますの。上野から土浦までの切符をお求め下さいませ。そして土浦で下車して……

親御さんが気付かれて止められたそうですが……上野にそんな会があったかどうか存じませぬが、話上手は事実らしい

中から二人ばかり連れ出して、或る珈琲店へ這入って、今夜上野で望遠鏡で月を見る会があるからと、いろいろ面白い話をしたそう

東京郊外、川向うの深川、本所、向島、亀井戸あたりの暗から暗に続く木立の中や、バラックの空隙がどんな状態

麹町の某署の刑事は、こんな事を記者に話した。

多い。神田、本郷、早稲田方面は書物泥棒や下宿屋荒し、麹町、青山、牛込、渋谷あたりへかけては誘拐や色魔式が横行する。

があって、記者が聞いたのは下谷に一つ、麹町から牛込へかけて二つ、青山に一つある。大抵一組十人位

麹町に二つあった団体の中の一つは、一昨年の暮あたりまで

お願いが只一つ御座いますの。日本橋の姉が只今突然帰って参りました。ですから、これからお手紙下さる

十二月のくるのを指折り数えて待っておりますの。駒込へ参りますの。そしたらゆっくり出来ますわ。それこそ本当にゆっくりどこ

早稲田方面は書物泥棒や下宿屋荒し、麹町、青山、牛込、渋谷あたりへかけては誘拐や色魔式が横行する。又、下町一帯は万引

牛込の神楽坂、渋谷の道玄坂、神田の神保町付近、本郷の湯島天神あたりの夜は、今で

浅草は主として脅迫や誘拐で、千住方面は相も変らず遊廓や魔窟相手のゴロが多い。神田、本郷、

九段下の公園、芝の増上寺、それから昔の新橋（今の汐留）駅前の塵埃溜場なぞによく居た。

宿なし少年が出て来るが、あんなたちのもので、九段下の公園、芝の増上寺、それから昔の新橋（今の汐留）駅前

牛込の神楽坂、渋谷の道玄坂、神田の神保町付近、本郷の湯島天神あたりの夜は、今でもそんな気分の「淀み

冷い雨の降る日――四谷から牛込へ帰る途中――飯田橋から新宿行の急行電車に乗り換えると――あの中学生――一週間余り前

以前東京では、縁日の出はずれ、浅草、神田、京橋辺の露店の切れ目、活動館の付近、人通りの多い近所の蔭暗い処

京橋木挽町の或る大建築の前の缶詰兼洋酒類煙草屋は、震災前、海軍大学その