白くれない / 夢野久作

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地名一覧

大文字山

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由なき黄金は徒らに積り積るのみ。すなはち人知れず稲佐の大文字山に登り行き、只有る山蔭の大岩の下に埋め置きつ。早や数百金に

にピツタリと鳴りを静め、稲佐の岸打つ漣の音。大文字山を越ゆる松風の音までも気を呑み、声を呑むばかりなり。

博多

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を欠かさず。雨降れば五六里の山道を伝ひて博多に出で、世上の風評を聞き整へ、種々の買物のほかに奈美女

筑前国

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けむ、他意も無げにうち黙頭きつ。此処は筑前国、第四十四番の札所にして弘法大師の仏舎利を納め給ひし霊地なり

四国

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、父上は吾が身の行末を頼む由仰せ残されて四国へ旅立ち給ひぬとて、ひたすらに打泣く妾をいたはり止めつ。今より

江戸

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滑らかにして甘脂の如し。此の六神の秘方は江戸の公方、京都の禁裡の千金の御命を救ひ参らせむ為に、

天台寺

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さては此の和尚。天台寺の住寺とは佯り。まことは切支丹婆天蓮の徒と思ひしが、

福岡

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ヘエッ。恐れ入りました。二本目当り八十点……この福岡では旦那様お一人で……」

長崎

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押入りて物を乞ひ、押借り強盗なんどしつゝ早くも長崎の町に入りぬ。

長崎は異人群集の地、商売繁昌の港なり。わが如き者は日本に在り

其処までわれを誘ひ入れし若き唐人は、やがて吾を長崎随一の漢薬商、黄駝となん呼べる唐人に引合はせぬ。

の営業を請合ひし吾が身の今更におぞましく、情なく、長崎といふ町の恐ろしさをつく/″\と思ひ知りければ、今は片時

、しきりになつかしくて堪へ難きまゝに、われにもあらず長崎の方へ踵を返して、飛ぶが如く足を早むるに、夢

ひつゝ笠を取り、いと懇に教へ呉れぬ。彼の長崎にて見し紅化粧したる天女たちとは事変り、その物腰のあどけなさ、

われ半面を扇にて蔽ひつゝ、その乙女を呼び止めて、長崎へ行く道を問ふに、乙女は恥ぢらひつゝ笠を取り、いと懇

/\にして日の暮れつ方、灯火美くしき長崎の町に到り着きつ。夕暗の中に彼の花畑の中の番小舎

、わが人斬りの噂、次第に高まり来りて、いつしか長崎奉行、水尾甲斐守の耳に入りしと覚しく、与力、手先のわれを

末つ方の事なりけり。何の故にかありけむ。此の長崎にて切支丹の御検分ことのほか厳しくなり、丸山の妓楼の花魁衆にまで

の病気を助け度さに身を売りしものにて、この長崎にても評判の親孝行の浪人者の娘に候。之に引比べて初花

ひそめて眼をしばたゝきぬ。此の若者の言葉、生粋の長崎弁にて理解し難かりけれど、わが聞取り得たる処は、おほむね右の

わたくしは此の長崎で皆様の御ひいきを受けました初花楼の初花と申す賤しい女で

可し。一見尋常一様の観世音菩薩の立像の如くなるも、長崎にて物慣れし吾眼には紛れもあらず。光背の紋様、絡頸の

三郎にて通りし人也。嫁女の事より人を殺め、長崎に到りて狼藉の限りをつくされしが、過ぐる晩春の頃ほひ

に狙ひを付くる。しかも眼を定めてよく見れば、長崎にて噂にのみ聞きし南蛮新渡来の燧器械付、二聯筒なり。使

と呼ばるゝ日本一の無調法者に候。さりながら、われ長崎に居りたる甲斐に、唐人の秘法を習ひ覚え、家相を見るに妙を

佐賀

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べし。さらば/\と云ひ棄てゝ其の家を出で、夜もすがら佐賀路に入り、やがて追ひ縋り来りし数多の捕手を前後左右に切払ひつ

京都

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甘脂の如し。此の六神の秘方は江戸の公方、京都の禁裡の千金の御命を救ひ参らせむ為に、年々相調

東京

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の方へ引込まして支那扇を畳んだ。その表情が東京の寄席で聞いた何とかいう怪談屋の老爺にソックリであった。