狂歌師赤猪口兵衛 博多名物非人探偵 / 夢野久作
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黒田五十五万石の城下、博多の町の南の外れ。瓦焼場の煙渦巻く瓦町を抜けて太宰府へ通う田圃
「……ほかでもないがなあ猪口兵衛どん。あの博多一番の分限者の一人娘で、蔵元屋のお熊さんチュウテなあ。十八か九
そうじゃろう。何を言うにもあの蔵元屋と言うのは博多切っての大金持の為替問屋。御封印付のお納戸金を扱うておる
ながら、九州の諸大名の城下城下におる御用金預り……博多で言えば蔵元屋のような主立った商人にソレゾレ貸付ける。その金で七
石を物の数とも思わぬ海千山千の隠密育ちに違いない。博多随一の鶴巻屋を定宿にして、蔵元屋の帳面をドダイにした黒田
て相尋ねるが、その方は只今も申す通りズット以前は博多の荒物屋渡世。大酒のために一家分散して昨今は博多瓦町の町外れ、万延
と言う事実を存じておりまするのは今の処、広い博多に私一人かと存じますので……」
の大地主、箱崎、姪の浜の網元なんどを初め福岡博多の大旦那衆、上方下りの荷主なんども、一度はお熊の壺振り
博多の町の南の出外れ、万延寺の本堂と背中合わせの竹瓦に板庇、板敷
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でも出る了簡で御座いましっろうか。それとも江戸、大阪へ紛れ込む積りで御座いましっろうか……その当てがガラリと外れた昨晩の蔵元
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先方様のお名前は渋川様と御座いましたが……渋川ナニ吾様とか……」
「エッ。渋川ナニ吾……それは御納戸頭の渋川円吾様では御座りませぬか
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「ヘイ。何でも相生町の芸妓衆とかで、素性もアンマリ良うないと言う世間の噂で御座いまし
まして、今度の後妻……お艶さんと申します……相生町の芸妓上りで……それになりますと女中衆の素振りまでが、見る間
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立派な為替問屋と質屋になっておりまするが、裏向きは筑前切っての大きな博奕宿で御座います。チトお話が荒う御座いますが、何
、油断もしおるまいと思うたけに、思い切って豊後と筑前境いの夜明の峠道で待ち受けたわい」
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奉行所に御座る大公儀の御金奉行の監督を受けながら、九州の諸大名の城下城下におる御用金預り……博多で言えば蔵元屋のよう
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のお金奉行にわかる。不審な処でもあれば直ぐに江戸へお飛脚が飛ぶ。大公儀から直接のお尋ねが突込んで来ると言う。
外へでも出る了簡で御座いましっろうか。それとも江戸、大阪へ紛れ込む積りで御座いましっろうか……その当てがガラリと外れた昨晩
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「今和尚さんが言い御座ったろうが。福岡一の分限者の娘たい」
「福岡一の分限者?……」
イクラ据物斬りでもあれだけに腕の冴えた町人が、福岡博多におる筈はない……」
それから毎日のように晴れ続いた福岡博多の狭い町々に、蔵元屋の騒動の噂が隈もなく行き渡って
尻端折に新しい手拭で頬冠りをしている。当時、福岡の種子屋六兵衛老人と並んで、博多随一と呼ばれている捕物上手の
尋常の試し斬りや何かじゃない。事によるとこれは福岡中の目明を盲目扱いにした大胆者の所業ではないかと
の十二月に御城下でも蔵元屋に次ぐ金満家、福岡本町の呉服屋、襟半の若主人で、堅蔵で悧発者という評判の
て昨今は博多瓦町の町外れ、万延寺境内に逼塞し、福岡博多の町々を徘徊して物を貰い、又は掃溜を漁りながら行く先々
早良の大地主、箱崎、姪の浜の網元なんどを初め福岡博多の大旦那衆、上方下りの荷主なんども、一度はお熊の
「ふうん。この四、五日福岡博多で大流行のこの歌を知んなさらんか」
言うて知れた事……この四、五日が間、福岡博多の何処の家にも下がっとるこの渋団扇の由来を知らんと言うから
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に豆腐とお粥ばっかり喰べさせられている花恥かしい娘に京都下りの友禅の振袖を着せて壺を振らせますので、誰も疑う
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の残り金を欲しいだけ奪り上げて、役目柄案内知った長崎あたりから、日本国の外へでも出る了簡で御座いましっろうか。それ
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分は他人、四分内輪の貧乏神と行きまっしょうかい。向う恵比寿の出た処勝負じゃ。ハハハ。鬼が出るか、蛇が出るか…