甲州 飛鳥山 上野 東京 湘南

をなしてよく中流以上の看板とならず、終戦直前、甲州の山村に疎開後病歿した木村重行である。私が小金井太郎と酒間の交り

さて滝野川界隈には江戸伝来の名所旧蹟が寡くない。飛鳥山は私に佑天吉松父子対面の巧緻だつた先代東家小楽燕の悲愁の

こと屡々なりしが近年にては稀のことなり。わけて、上野の広小路なる前述の雪の狸など亡祖母よりしば／＼聴かされし

予が、少年の日は雪いたく降り、東京街々、見上ぐる許りの雪だるま作らへられしこと屡々なりしが近年にては稀

山河在りと往昔の詩人は歌つたが、私共旧東京人は国破れて山河も共に喪つてしまつた。「王子の

がちの、春のごと暖き午後を、はる／″＼湘南の地より移り住みこゝに世を忍ぶ身とはなりぬ。