牛肉と馬鈴薯 / 国木田独歩
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「それから道行は抜にして、ともかく無事に北海道は札幌へ着いた、馬鈴薯の本場へ着いた。そして苦もなく十万坪の土地が
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「だって北海道は馬鈴薯が名物だって言うじゃアありませんか」と岡本は平気で訊ねた
なる馬鈴薯党でしたがね、学校に居る時分から僕は北海道と聞くと、ぞくぞくするほど惚れていたもんで、清教徒を以て任じ
「断然この汚れたる内地を去って、北海道自由の天地に投じようと思いましたね」と言った時、岡本は凝然と
「そしてやたらに北海道の話を聞いて歩いたもんだ。伝道師の中に北海道へ往って来た
北海道の話を聞いて歩いたもんだ。伝道師の中に北海道へ往って来たという者があると直ぐ話を聴きに出掛けましたよ
いないと嘘のようでしてねエ。だから僕は北海道の冬というよりか冬則ち北海道という感が有ったのです。北海道の
エ。だから僕は北海道の冬というよりか冬則ち北海道という感が有ったのです。北海道の話を聴ても『冬になる
いうよりか冬則ち北海道という感が有ったのです。北海道の話を聴ても『冬になると……』とこういわれると、
や一年ばかり東京でマゴマゴしていたが、断然と北海道へ行ったその時の心持といったら無いね、何だかこう馬鹿野郎!
「それから道行は抜にして、ともかく無事に北海道は札幌へ着いた、馬鈴薯の本場へ着いた。そして苦もなく十万坪の
矢張馬鹿サ、初から君なんかの柄にないんだ、北海道で馬鈴薯ばかり食うなんていう柄じゃアないんだ、それを知らないで三月も
のに罹っていました、実をいうと今でも北海道の生活は好かろうと思っています。それで僕も色々と想像を描いて
「イヤそれは嘘言だ、上村君にもし相手があったら北海道の土を踏ぬ先に変節していただろうと思う、女と言う奴
「二人は将来の生活地を北海道と決めていまして、相談も漸く熟したので僕は一先故郷に
あった山林田畑を悉く売り飛ばし、その資金で新開墾地を北海道に作ろうと、十日間位の積で国に帰ったのが、親族の故障
たばかりで僕の血は沸きます。則ち僕をして北海道を思わしめたのもこれです。僕は折り折り郊外を散歩しますが、この頃
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「イヤこれは京都に居た時の想像だよ、窓で気を揉んだのは……
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鳴って汽車が動きだすと僕は窓から頭を出して東京の方へ向いて唾を吐きかけたもんだ。そして何とも言えない
「宜しい! それから僕は卒業するや一年ばかり東京でマゴマゴしていたが、断然と北海道へ行ったその時の心持と
「唯だ東京の奴等を言ったのサ、名利に汲々としているその醜態は
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馬鹿野郎! というような心持がしてねエ、上野の停車場で汽車へ乗って、ピューッと汽笛が鳴って汽車が動きだすと
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出ましたから、ベンチに腰をかけて暫時く凝然と品川の沖の空を眺めていました。