青山 大阪 甲府市 丸の内 横浜 甲府 静岡 東京 銀座 麹町 八王子 浅草 新宿 日本橋 隅田川 京橋

エッ、宗像博士が？　発見したって？……ウン、青山の……明神の境内だね。……エ、社殿の床下？……ウン

ように鋭敏だからね。ハハハ……、だから帰る途中大阪で、事件の最初からの新聞をすっかり揃えて貰って、汽車の中で読み耽っ

助け出して、僕が乗って行った自動車にかつぎ込み、そのまま甲府市のある病院へ入院させたのです。そして、数日後、川手氏の

しかしこれには止むを得ない訳があったのです。甲府市の病院でも、態と川手さんの名を隠して置きましたし、無論警察

法医学界の一権威宗像隆一郎博士が、丸の内のビルディングに宗像研究室を設け、犯罪事件の研究と探偵の事業を始めてから

丸の内の一郭、赤煉瓦貸事務所街のとある入口に、宗像研究室の真鍮看板が光って

「丸の内の大平ビルまで」

「お任せします。だが、山梨県へ行くのに、丸の内というのは、どうした訳ですか。汽車は新宿駅からでしょう」

男は丸の内のある会社に勤めている平凡な下級社員、女は浅草のあるカフェーの女給

出勤の途中、ふと宗像博士を訪ねて見る気になり、丸の内の宗像探偵事務所に立寄った。

ゴットンゴットン各駅に停車して、横浜へついたのは、もう正午に近い頃であった。

その大迂回の為めに、乗替えの度に時間をとり、甲府へついた頃にはもう日が暮れかけていた。

で、全く申訳ないと思っているのです。川手氏を甲府の近くの山中の一軒家へ匿ったことは、先日お話した通りですが、

が、ごらんなさい。一枚だけ地方新聞が混っている。『静岡日々新聞』です。これは一体何を意味するのでしょうか」

ないでしょう。『東京朝日』は皆昨日の朝刊です。『静岡日々』だけが一昨日の日附になっている。これによっても、

ところで、この『静岡日々』ですが、これは犯人が街頭の地方新聞売子から買ったものか、

「アア、なる程、やっと分りました。その静岡日々新聞社の直接読者名簿を調べればいい訳ですね」

すぐ捜査課に帰って手配をします。ナアニ、電話で静岡警察署に依頼すれば、Ｒ・Ｋの住所姓名はすぐ分りますよ」

天才的なところはなかったけれど、あくまで堅実で、科学的で、東京を中心とする事件に限って手がけるという、実際的なやり方であったから

行って見ようじゃないか。化物屋敷なんて随分久し振りだ。東京にもこんな見世物がかかるのかねえ」

こうして置いて、今度は東京の方へ逆行するんです。若しあの汽車に我々の敵が乗ってい

懇に頼んだ上、直ちに東京に引返した。復讐鬼は東京にいるのだ。そして、今頃は影武者とも知らず、贋川手氏の

見届け、老人夫婦にその世話を懇に頼んだ上、直ちに東京に引返した。復讐鬼は東京にいるのだ。そして、今頃は影武者と

川手氏はそこで、老人に話して東京の宗像博士に、火急に相談したいことが出来たから、直ぐお出

お話は一転して東京に移る。

は余程あなたにお電話しようかと思ったのですが、東京からお出でになるのじゃ夜中になってしまいます。で、やむを得

は東京にあるのですし、いずれは川手氏の死体を東京の真中で、衆人に見せびらかす計画に違いないと考えたからです。それと

例の怪指紋の犯人の仕業とすれば、その本拠は東京にあるのですし、いずれは川手氏の死体を東京の真中で、衆人

で僕は一先ず東京へ帰ることにしました。例の怪指紋の犯人の仕業とすれば

「しかし、広い東京には、Ｒ・Ｋという頭字の人間が、無数にいるでしょうから、

も新聞を使っていますが、その内四枚は『東京朝日』です。ところが、ごらんなさい。一枚だけ地方新聞が混っている。

使用したと考えても、先ず間違いはないでしょう。『東京朝日』は皆昨日の朝刊です。『静岡日々』だけが一昨日の日附

「そうですよ。東京でこんな田舎新聞を取っている人は、そんなに沢山ある筈はない。

後、川手氏の元気が回復するのを待って、コッソリ東京に連れ帰り、実は、今僕の家にかくまってあるのです。

「オヤ、この封筒は銀座のアトランチスの封筒じゃないか。すると、木島君はあのカフェで、用紙

は予め命じられていたと見えて、徐行しながら、麹町区内の屋敷町をグルグルと廻っていた。

に乗替えた。つまり、東海道線に乗ったと見せかけ、桜木町八王子線の聯絡を利用して、まんまと中央線に方向転換をしたのである。

そこで下車して、今度は八王子への線に乗替え、八王子で再び目的の中央線に乗替えた。つまり、東海道線に乗ったと見せかけ、

東神奈川である。二人はそこで下車して、今度は八王子への線に乗替え、八王子で再び目的の中央線に乗替えた。つまり、

丸の内のある会社に勤めている平凡な下級社員、女は浅草のあるカフェーの女給であったが、丁度土曜日のこと、まだ季節には

ところが、今朝夜明けに新宿に着いて、一応自宅に帰り、今し方事務所へ来て見ますと、ここ

過ぎ去ったが、丁度北園竜子変死から七日目の夕方、日本橋のＫ大百貨店に、飛降り自殺の騒ぎが起った。

無残な川手氏の生体埋葬が行われた翌日の夜、隅田川にボート遊びをしていた若い男女が、世にも不思議な拾いものを

隅田川の夜更け、ボート遊びの男女が、吾妻橋の上から投げ捨てられた奇怪な錫

というのですね。すると、誰かがこの品を隅田川へ投げ捨てたという訳ですか。綺麗な小函じゃありませんか。

手から斬り取られたのです。恐らく犯人自身が斬り取って、隅田川の底へ沈めようとしたのでしょう。重い錫の小函を使ったの

新聞には、この意外な犯人発覚の径路が、夜更けの隅田川、ボート遊びの男から説き起して、事細かに報道され、全読者に思い

それで、疑いを逃れるために、思い切って人差指を切り落し、隅田川へ投げ込んだというのだね。だが、おかしいじゃないか。身に

。その指を御丁寧に錫の函に入れて、態々隅田川に投げ捨てている。そして、引越しをしたと見せかけて、空家の屋根裏に

しかし、宗像君も、なかなか味をやっているね。殊に隅田川に投げ込まれた小函の包装から、犯人の住所をつきとめたあたりは、

指を切ったりする筈がない。あの指を切って、隅田川へ捨てたのは、奴らの復讐事業が全く終ったことを意味する

に違いありません。そこで、呪わしい指を切断して隅田川に捨てるようなことにもなり、転宅と見せかけて屋根裏に潜み、捜査の

ためか、博士と共に招待を受け、主客五人、京橋区のＦ――レストラントの別室に、食卓を囲んで雑談の花を咲か