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さびしい町とえらびながら、走りに走って、やがて、代々木の明治神宮を通りすぎ、暗い雑木林の中にポツンと建っている、一軒の住宅の

ああ、怪盗二十面相は、とうとう、この伊豆の山中の美術収集狂に、目をつけたのでした。彼が警官に

博物館の美術品には一指もそめさせませんよ。また、伊豆の日下部家の宝物も、きみの所有品にはしておきませんよ。

ないものですから、賊の車は大環状線に出て、王子の方角に向かって疾走しはじめました。賊はむろん追跡を気づいてます。

も、まだ小学生の弟の壮二君も、大喜びでした。下関で船をおりて、飛行機で帰ってくるというので、その日が待ちどおしく

賊は、付近からかけつけた、ふたりのおまわりさんと、戸塚の交番の若いおまわりさんと、三人にまわりをとりまかれ、しかりつけられて

日下部左門老人が、修善寺でやとった自動車をとばして、谷口村の「お城」へ帰ってから、

「二十面相といえば、修善寺では明智さんの名まえをかたったりして、ずいぶん思いきったまねをするね。

、アパート住まいのひとり者ですがね。きのうのことでした。日比谷公園をブラブラしていて、ひとりの会社員ふうの男と知りあいになったの

で、おれたちの仕事はというと、ついこの先の青山墓地へ先まわりをして、明智を乗せた自動車がやってくるのを待って

「じゃ、すぐに青山墓地へ出かけようじゃねえか。」

ふたりが、もよりの安食堂で食事をすませ、青山墓地へたどりついたときには、トップリ日が暮れて、まばらな街燈のほかは

白い木口が、のぞいていたではありませんか。奈良時代の彫刻に、こんな新しい材料が使われているはずはありません。

さしだしました。それには『松下庄兵衛』とあって、杉並区のあるアパートの住所も、印刷してあるのです。

明智小五郎の住宅は、港区竜土町の閑静なやしき町にありました。名探偵は、まだ若くて美しい

明智小五郎の住宅は、港区竜土町の閑静なやしき町にありました。

そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が

は、何をするかわかったものではありません。東京中の人が「二十面相」のうわさばかりしているというのも、

捜査係長は、ただちにこのことを警視庁に報告し、東京全都に非常線をはって、羽柴家の自動車をさがしだす手配をとりました

「聞くところによりますと、なんでも東京にひとり、えらい探偵がいると申すことでございますが。」

しかない、きわだって特徴のある建物が見えたのです。東京の読者諸君は、戸山ヶ原にある、大人国のかまぼこをいくつもならべたよう

窓の外、広っぱのはるかむこうに、東京にたった一ヵ所しかない、きわだって特徴のある建物が見えたのです

この命令が、東京全都のおまわりさんの心を、どれほどおどらせたことでしょう。われこそ

きょう一日、自動車に乗って、その男のいうままに、東京中を乗りまわしてくれれば、自動車代はただのうえに、五千円の手あて

しかし、東京中の何千人というおとなのおまわりさんにさえ、どうすることもできない

できごとがおこったのです。というのは、その日の東京毎日新聞の社会面に、二十面相からの投書が、れいれいしく掲載されたこと

東京毎日新聞は、べつに賊の機関新聞というわけではありませんが

するほうが、いっそう男らしいと感じたので、ここに東京都民諸君の前に、その時間を通告する。

池袋をすぎたころ、前の車からパーンというはげしい音響が聞こえました。

さびしい町さびしい町とえらびながら、走りに走って、やがて、代々木の明治神宮を通りすぎ、暗い雑木林の中にポツンと建っている、一軒

けさの新聞では、いよいよ国立博物館をおそうのだっていうじゃないか。

きのう二十面相から国立博物館長にあてて速達便がとどいたのですが、

例の国立博物館のたくさんの宝物さ。ハハハ……。」

とうとう十二月十日となりました。国立博物館では、その日は早朝から、館長の北小路老博士を

どうしたことでしょう。国立博物館の陳列品が、まっかなにせものだなんて……。」

とりもどすことができました。国立博物館の美術品も、あの気のどくな日下部老人の美術城の宝物も、

、幸運にも一三八八七番の自動車を発見したのは、新宿区戸塚町の交番に勤務している一警官でありました。