少年探偵団 / 江戸川乱歩
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堂が、星空にお化けのようにそびえて見えました。養源寺という江戸時代からの古いお寺です。
黒い魔物は、その養源寺のいけがきに沿って、ヒョコヒョコと歩いていましたが、やがて、いけがきのやぶれ
かの晩、篠崎始君の友だちの桂正一君が、養源寺の墓地の中で、黒い魔物を見うしなったことを記憶されるでしょう。こんども
ちょうどそのころ、篠崎君のおうちの近くの、養源寺の門前を、六人の小学校上級生が、何か話しながら歩いていました
桂正一君は、養源寺の門前まで来ると、そこに立ちどまって、いつかの晩の冒険について
に語りきかせました。読者諸君は、そのとき、黒い怪物が養源寺の墓地の中で、消えうせるように姿をかくしてしまったことを記憶される
運転手をえらんで、同乗して篠崎家へひっかえす途中、この養源寺の門前にさしかかると、とつぜんふたりの覆面をした怪漢に呼びとめられ、ピストルを
読者諸君は、黒い魔物が、養源寺の墓地の中で、それからもう一度は、篠崎家の庭園で、かき消すよう
「養源寺というのは、どのへんにあるんだね。」
。小林君、これがどういう意味かわかるかね。ほら、養源寺と篠崎家とは、町の名もちがうし、ひどくはなれているように感じ
が忍術使いのように消えうせたというふしぎだ。一度は養源寺の墓地で、一度は篠崎家の庭で、それからもう一度は世田谷の洋館
「ところが、いっぽうでは、その今井君が、養源寺の墓地にしばられていたんだね。とすると、今井君がふたり
「ところで、ぼくはきょう、養源寺の墓地と篠崎家の裏庭で、おもしろいものを発見しましたよ。なんだ
養源寺と篠崎家とは、町名がちがっているし、表門はひどくはなれています
養源寺の墓地には、古い石塔の台石を持ちあげると、その下にポッカリ地下道の
をぬすんだときには、やっぱり、この道を通って、養源寺のほうへぬけてしまったのです。その両方の地面は、表がわは、
はありません。ちょうどそのころ、ほんものの今井君は、養源寺の境内に、手足をしばられてころがっていたのですよ。
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世田谷の洋館でインド人が消えうせた翌々日、探偵事件のために東北地方へ出張していた明智名探偵は、しゅびよく事件を解決して東京
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数名の警官が、黒い気球の前にあらわれました。高崎の警察署では、二十面相逃亡のことは、ゆうべのうちに通知を受けて
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しました。そして、おそろしいスピードをだして、ちょうど熊谷市と高崎市のなかほどの空で、賊の軽気球に追いついてしまったのです。
やがて、高崎市の近くにさしかかったとき、とうとう二十面相の運のつきがきました。黒い
風が強いものですから、下降しながらも、高崎市の方角へ吹きつけられていきます。四台のヘリコプターは、それにつれて、
高崎市の丘の上には、コンクリート造りの巨大な観音像が、雲をつくばかり
た。警察はもとより、新聞社も、東京都民も、熊谷市から高崎市にかけての町々村々の人々も、二十面相のために、まんまと、いっぱい食わさ
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でいます。みるみるうちに村を越え、森を越え、熊谷市の上空を通過して、群馬県のほうへととびさっていくのです。
熊谷市の警察署員は、とびさる風船をながめて、地だんだをふんでくやしがりまし
を出発しました。そして、おそろしいスピードをだして、ちょうど熊谷市と高崎市のなかほどの空で、賊の軽気球に追いついてしまったのです。
んでした。警察はもとより、新聞社も、東京都民も、熊谷市から高崎市にかけての町々村々の人々も、二十面相のために、まんまと、
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ある月の美しい晩、上野公園の広っぱにたたずんで、月をながめていた、ひとりの大学生が、ふと
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君という少年がいました。桂君のおうちは、世田谷区の玉川電車の沿線にあって、羽柴壮二君たちの学校とはちがいまし
あとでわかったところによれば、それは同じ世田谷区内の、篠崎君のおうちとは反対のはしにある、まだ人家の建ち
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いうんです。でも、ぼく、そういうおばさんなら、品川区にひとりあるって言ったんです。ほら、緑ちゃんの大すきな野村のおば
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大鳥時計店というのは、中央区の一角に高い時計塔をもつ、東京でも一―二をあらそう老舗です
そして、さしかかったのが、中央区内の、とある小公園の塀外でした。右がわは公園のコンクリート塀、左がわ
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た。東の空がうっすらとしらみはじめています。遠い江東区の空から、徹夜作業の工場の汽笛が夜明けの近づいたことを知らせる
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「黒い魔物」のうわさは、もう、東京中にひろがっていましたけれど、ふしぎにも、はっきり、そいつの正体を
むいてケラケラ笑うという、うすきみの悪いうわさが、たちまち東京中にひろがり、新聞にも大きくのるようになりました。
異常な犯罪事件のいとぐちとなったのでした。できごとは東京を中心にしておこったのですが、それに関係している人物は
道化服の男は、東京の人ではないらしく、みょうにくせのあるなまりで、一こと一こと
隅田川だとか、上野の森だとか、東京中のどこにでも、あのぶきみな姿をあらわして、いたずらをして
おそわれています。しかも、それが、このあいだから、東京中をさわがせている「黒い怪物」なのですから、少年探偵団は、
。明智先生はどうしていらっしゃるかしら。こんなときに先生が東京にいてくださったら、まるで奇跡のようにあらわれて、ぼくらを救いだして
うちに、背中がゾーッと寒くなってきました。これが東京のできごとなのかしら、もしや、おそろしい魔法の国へでも、まよいこんだ
中村係長はただちに、このことを警視庁に報告し、東京全都の警察署、派出所にインド人逮捕の手配をしましたが、一日
いた明智名探偵は、しゅびよく事件を解決して東京の事務所へ帰ってきました。
はイスから立ちあがって、部屋のいっぽうの壁にはりつけてある東京地図のところへ行き、小林少年を手まねきしました。
この事件では、まず第一に黒い魔物が、東京中のほうぼうへ姿をあらわして、みんなをこわがらせたね。犯人は
、インド人がまっぱだかになって、隅田川を泳いでみせたり、東京中の町々を、うろついてみせたりして、世間をさわがせたことです
まもなく東京付近の空には、十数条の探照燈の光線が入りみだれました。
その朝の新聞が、ゆうべの東京でのできごとを大きく書きたてていたものですから、人々はすぐ黒い風船の
はないのでした。しかし、このことが電話によって東京に伝えられますと、新聞社は、待ってましたとばかりに、それぞれ所属
つごう四台のヘリコプターが、相前後して東京の空を出発しました。そして、おそろしいスピードをだして、ちょうど熊谷市と
、また四羽のトビのように、青空高く舞いあがって、東京の方角へと、とびさりました。
奥底がありませんでした。警察はもとより、新聞社も、東京都民も、熊谷市から高崎市にかけての町々村々の人々も、二十面相の
新聞によって、これを知った東京都民は、黒い魔物のうわさを聞いたときにもまして、ふるえあがってしまいまし
軽気球さわぎがあってから、十日ほどのちのことです。東京のある夕刊新聞が、とつぜん、都民をアッといわせるような、じつに
というのは、中央区の一角に高い時計塔をもつ、東京でも一―二をあらそう老舗です。そこの主人大鳥清蔵老人は、ひじょう
東京の読者諸君は、水道の係りの人たちが、あの丸い鉄のふたを
上を通りながら、少しもそれと気づかなかったのです。東京の人は、マンホールなどには、なれっこになっていて、そのうえ
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隅田川だとか、上野の森だとか、東京中のどこにでも、あのぶきみな姿を
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呼んで、うちの今井さんが助手席に乗って、そして、品川のおばさんちまで、ぶじに送りとどけるっていうんです。ね、うまい考えでしょう
すっかり支度ができますと、緑ちゃんには品川のおばさんのところへ行くんだからと、よくいいきかせたうえ、小林君
銀座通りを出て、新橋をすぎ、環状線を品川へ、品川から京浜国道を、西に向かって一キロほど、とある枝道を北へはいっ
いきます。銀座通りを出て、新橋をすぎ、環状線を品川へ、品川から京浜国道を、西に向かって一キロほど、とある枝道を
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、大の浅草観音の信者なのですが、あるとき、浅草観音の五重の塔の模型を商売ものの純金でつくらせ、家宝にすることを
老人は、ひじょうにはでずきなかわり者で、大の浅草観音の信者なのですが、あるとき、浅草観音の五重の塔の模型を商売
七十五センチという、りっぱな黄金塔で、こまかいところまで、浅草の塔にそっくりの、精巧な細工でした。しかも、塔の中はからっぽ
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ちょうどこの黄金塔ができあがったころ、同業者の銀座の某時計店に、ショーウィンドーやぶりの賊があって、そこに陳列して
た夜明けの町を、ひじょうな速力で走っていきます。銀座通りを出て、新橋をすぎ、環状線を品川へ、品川から京浜国道を
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ひじょうな速力で走っていきます。銀座通りを出て、新橋をすぎ、環状線を品川へ、品川から京浜国道を、西に向かって一
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あるやみの晩に、隅田川をくだっていたひとりの船頭が、自分の船のそばにみょうな波
隅田川だとか、上野の森だとか、東京中のどこにでも、
「それはね、インド人がまっぱだかになって、隅田川を泳いでみせたり、東京中の町々を、うろついてみせたりして、