山吹町の殺人 / 平林初之輔
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つもきけるようになり、とうとう公休日に一度二人で日帰りで江の島まで遊びに行ったこともあった。とはいえその時だって、彼は
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。犯人は昨日の朝七時二分に被害者に宛てて名古屋から電報を打って、急用ができたから中央線で松本へ廻って翌日東京へ
すっかり火鉢の中で焼きすてたのです。そしてただ、自分が名古屋からうった電報と大宅が当日被害者の家へ来るといって寄越した手紙と
は、あの男が松本へ行ったという証拠にも、名古屋から中央線に乗ったという証拠にもならんじゃありませんか。あの男
に来ておらぬことをちゃんと知っていたのです。名古屋から打った電報も甲府から打った電報も二通とも貴方がたを瞞着するため
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た位の刺戟しか与えないのだろう。ことによると、東京市内に、これ位な事件は、現在二十も或いはそれ以上も起っていて
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来ましてね。発信人は矢張りキミという男で、甲府の駅から打っているのです。今朝の四時二十分の発信で、
「どうしてって、今朝甲府から電報をうっているし、現に今飯田町駅へ着いた筈じゃありません
たことを二重に証明しようとしたのですが、甲府発の四二四号列車に乗ったのは不注意でしたよ。旅行案内を見れ
あの男が乗って帰った汽車なのです。あの汽車は甲府から出る汽車で松本とは連絡しとりませんよ。要するに、こんなこと
今朝の四時二十分になっておるでしょう。あんな時刻に甲府の駅から電報をうつなんてそれ以外に説明がつかんじゃありませんか。
しばらくしてから光子のところへ電報をうったのです。甲府からうった電報の発信時刻は今朝の四時二十分になっておるでしょう
の二時五十八分に甲府へ着くのです。あの男は甲府で下車してしばらくしてから光子のところへ電報をうったのです。
乗ったのです。この汽車は今朝の二時五十八分に甲府へ着くのです。あの男は甲府で下車してしばらくしてから光子の
「なる程、甲府から電報をうったことはたしかです」と上野探偵は平然として答え
をちゃんと知っていたのです。名古屋から打った電報も甲府から打った電報も二通とも貴方がたを瞞着するためにうったものです
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「ほほう、これは静岡版ですな。ここに何か出ているのですか?」
抜かりは、手紙の上書に血の指紋を残したこと、静岡で買った新聞を不注意にも現場にのこしておいたことです」
汽車にのって東海道線で真っ直に東京へ帰ったのです。静岡か沼津かあの辺で新聞を買ってね。その汽車が東京へつくの
「先刻も申し上げたように昨日静岡をとおって帰った男ですよ。いいですか。犯人は昨日の朝七
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を指さしながらつづけた。「飯田町を十時に発車する長野行の汽車があります。あの男は牛込駅でトランクを受取って飯田町
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た位の刺戟しか与えないのだろう。ことによると、東京市内に、これ位な事件は、現在二十も或いはそれ以上も起って
だということがこれでわかるじゃありませんか? 東京ではこの版は売っていませんからね。ところで、私は時間
犯人が昨日静岡県からか、若しくは静岡県下の駅を通過して東京へ来たものだということがこれでわかるじゃありませんか?
か沼津かあの辺で新聞を買ってね。その汽車が東京へつくのは四時五十五分です。すればそれからすぐ電車で行けば
七時二十分名古屋発の汽車にのって東海道線で真っ直に東京へ帰ったのです。静岡か沼津かあの辺で新聞を買ってね。
へ廻って松本へ寄ったりしておれば、昨日中に東京へ帰ることはできませんから無理もないですね。ところが警察医の検証
打って、急用ができたから中央線で松本へ廻って翌日東京へ帰ると言ってよこしたのですよ。中央線へ廻って松本へ寄ったり
五時二十分発の飯田町行の汽車であの男は東京へひきかえして来たのです。その汽車がちょうどさっきあの男が乗って帰っ
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に新聞紙で下駄を包んで彼に渡した。彼は、江戸川橋の上からそっと下の川へその包みを投げすてて、急いでひき返して電車
駅まで行って駅にトランクを預けておいて、それから江戸川橋まで市内電車で来たにちがいありません。兇行は無論前から計画し
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―彼の頭は急に別なことを考えはじめた。上野広小路で神明町行きに乗りかえてから、俄に混雑して来た電車の中で
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三年生だった。女は朝吹光子といって、その頃浅草雷門のカフェ大正軒の女給の一人だったのである。
人々の話を総合したところでは、本年四月まで浅草雷門前のカフェ大正軒に女給をしていたということである」
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その朝私立探偵上野陽太郎は、マドロスパイプをくわえながら、矢来の通りの舗石道を大股に歩い
上野の名刺をもって出て来た×××署の佐々木警部に向って
上野探偵はポケットから時計をとり出して見ながら言った。
上野はポケットから一葉の古新聞をとり出して警部に渡した。
こう言いながら上野探偵は麦藁帽子を被って、急いでおもてへ出た。
上野は駅へつくと先ず売店で旅行案内を一冊買った。
話していたが、上野の姿を見ると、「あっ上野先生だ」と言いながら起ちあがってお叩頭をした。
一人の若い女と笑いながら何か話していたが、上野の姿を見ると、「あっ上野先生だ」と言いながら起ちあがってお叩頭
男を引致するようなことはしないがいいぜ」と上野は二人の刑事に向って言った。
は改札口の近くに並んで立っていた。百合子は上野のうしろに身をかくして、二人の男の肩の間から眼だけ出し
。駅の構内は急にざわざわした。二人の刑事と上野とは改札口の近くに並んで立っていた。百合子は上野のうしろ
赧ら顔の肥った男です」と言いながら、彼女は上野の背を指でつついた。
は山吹町へ、一台は×××署の方向へ。上野はタキシーの中で、非常に敏捷に旅行案内のページをめくって、しきり
自動車が署の前でとまると、上野は急いでとびおりて佐々木警部の室へかけこんだ。
て来る時分です」と佐々木は柱時計を見ながら答えた。上野はいそいで言葉をつづけた。
あるのかね?」と二人の会話を耳さとくききつけた上野探偵は、突然第二の私服にたずねた。
「ふん」と言いながら上野は手帳の紙を一枚引きさいて、鉛筆を出して何か書きつけてい
上野探偵が給仕に渡した紙片には「オオヤクンハムザイ、キヨウジユウニホウメンサルアンシンセヨ」と書いてあった
「さて」と上野探偵は佐々木警部に向って言った。「もう僕の出る幕はすん
「ほかでもないが」と上野探偵は座につくが早いか言った。「大宅君はなるべく早く家へ
やって来て何もかも白状しますからね」と上野は佐々木の言葉を中途で遮って言った。
「しかし」佐々木警部はまだ上野の説に不服そうに口をはさんだ。「貴方の仰言る犯人というの
「なる程、甲府から電報をうったことはたしかです」と上野探偵は平然として答えた。「先刻飯田町へ着いたことも現在
「その証拠には」上野探偵は言葉をつづけた。「あの男は、わざわざ夜中に電報を打って
送り出して来たのはそれからまもなくであった。上野探偵が×××署の門を出るとき、すれ違いに木見を乗せた自動車
佐々木警部が、上野探偵の明鏡の如き推理にすっかり説服されてしまって、彼を××
上野探偵からの知らせで、×××署の前まで三四郎の釈放されるの
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男の住所をちょっとこの子供に教えてあげて下さい、たしか田端でしたね」と言った。佐々木はその通りにした。