本郷 東京 浅草

それによると玉村は、本郷××町の立憲××会本郷支部という看板のかかった家の前で

ありとあらゆる労働をして諸国を渡りあるき、地震の年に東京へ出て、今の××鉄工場の職工になったのだ。今

船井三郎すなわちかくいう私が、某無産党の公認で、東京の第×区から立候補しそうな取り沙汰があったのが、いつの

私は田舎役場の出鱈目さ加減を憤慨したが、何しろ東京と鳥取県の田舎では手紙などで照会していたのでは容易に

「何でも東京で死んだちゅう話じゃから、わしもくわしいことはよう知らんが、肺病

としてあった。死亡の場所という欄には、東京市××区××町××番地と書いてあって、死亡の原因

に、文字通り墓穴から抜け出した亡者のように、夜汽車で東京へ向けてたった。

私は東京へ帰ると急に立候補断念を声明した。そして誰が何ときいて

思っていたんですがね。ああいう人間が必要なら浅草辺を一日かかればいつでも探し出せますよ。本人も道ばたで野たれ死にする

「飛んでもない、ちがいます。あれは浅草で行き倒れの行路病者をひろってきたんです。僕はずいぶん世話をやい