丸の内 ロンドン 大阪 萩 倫敦 リヨン 巴里 深川 東京 隅田川

の松をしきりに褒めていた。そうかといって丸の内に建て増す足場無しに積み上げて行くアメリカ式のビルデングも排斥はしなかった。あれ

抵抗しながら鍋膏薬の使いからしが流されて来た。ロンドンの六片均一店で売って居る鍋膏薬は厚くて重たい程だった。世界的

鍋膏薬は厚くて重たい程だった。世界的不況時代にせめてロンドンでの鉄の贅沢だった。それを器用に薄く、今流れて来た日本

さんとの問答を思い起した。おかみさんはいった。「ロンドンの横町は光線の小布れしか売って呉れません」市長は溜息をついて

ついて言った。「只である筈の日光と空気にロンドンはこれでも世界一の仕入値段を払っているのですぞ」

空地を覘うのは何国の子供も同じだ。ある夏ロンドンで珍らしい暑い日があった。兜帽を冠った消防夫に列んで子供

見せないように天幕張りをしてしまって居たのもロンドンの空地だった。

――あのロンドンにいるとかいうお豆腐屋さんはなかなかよすとか死ぬとかしそうに

倫敦へ日本の芝居がかかった事があった。座長は大阪の三流どこの俳優で幹部二三人の外はアメリカで仕込んだ素人だから

半年を過したある日のこと加奈子は萩の餅を持ってお京さんの家を訪ねた。お京さんはテーブルの上で

の寄せものだし、伯林の空は硝子製だし、倫敦の空は石綿だった。そしていまこの日本の空は――

倫敦へ日本の芝居がかかった事があった。座長は大阪の三流どこの

こういう願いからお京さんはアンリーに貰われた。アンリーはリヨンで王党の党員だったが矯激の振舞いがあったのでしばらくフランス縮緬の輸出

巴里の空は寒天の寄せものだし、伯林の空は硝子製だし、

に空気の並んだ部屋のある竹。東洋は面白いな。巴里の郊外にも電柱はあったが道筋の家の壁や屋根を借りて

で手足だけ人間以上の生命を盛っている。そういえば巴里の踊り場でみる日本のタンゴというものが腰に異様なねばりと業が

るきながら銭をじゃらじゃらいわせる音。急に斜に外れて巴里昼間新聞を買う人の起すかすかな空気のうずまき。首尾よく流れを逆に

におい。――加奈子は午後四時過ぎが何故か懐かしい。巴里では凱旋門の方からシャンゼリゼーの右側の歩道を通って料理店ブーケの前を

鴎がビール会社の赤煉瓦を夕暮にした。寂しい本所深川のけむり。

面の継ぎ目のあるのとは違った、いかにも日本の東京の山の手の地面らしく、欠けた小石を二つ三つ上にのせて、

を上って来る人が沢山増した。午後四時過ぎ、東京という人口過多の都会の心臓はその血を休養の為めに四肢へ分散

するときと殆んど一緒だったので両方忙しいなかを繰り合せて隅田川の流れに沿っている鰻屋の二階で二人は訣れを惜んだ。お京