ダミア 巴里

を取り去ってもミスタンゲットの顧客は他に慰む手段もあろう。ダミアを取り去るときダミアの顧客に慰む術は無い。同じ意味からいって彼女の芸

巴里の唄うたい

いま巴里には町の唄うたいが三百人ばかりいる。彼等は時々サン・ドニの門

物足りなく思っている感情の欠陥へこつりと嵌まり込めばたちまち巴里じゅうの口から口へ移されて三日目の晩にはもうアンピールあたり

に哀愁もいくらか交る。そしてもしその唄が時の巴里の物足りなく思っている感情の欠陥へこつりと嵌まり込めばたちまち巴里じゅうの

C'est pour mon papa”の唄へ――巴里の感情は最近これらのはやり唄の推移によってスイートソロから陽気な揶揄の

。冬を感ずるのは一番先に小鳥であるように、巴里の不景気を感じたのはまず町の唄うたいだった。

てやっと一つの決議が纒った。それははやり唄うたいを巴里の表通へも流して出られるようドュフランにその筋へ運動して貰うこと

の新出願者は決して許可しないことにいたしましょう。つまり、巴里の唄うたいの数を現状の三百人より増さんように。」

彼女の売出しごろには舞台の背景に巴里の場末の魔窟を使い相手役はジゴロ（パリの遊び女の情人）に扮し

矛盾の多い性格の持主で彼女はあるだろう。（矛盾は巴里それ自身の性格でもあるように）何か内へ腐り込まれた毒素

、其処に抉出される人々の心のうずきはうら寂びた巴里の裏街の割栗石の上へ引き廻され、恥かしめられ、おもちゃにされる

彼女はもちろん巴里の芸人の大立物だ。しかし彼女の芸質がルンペン性を通じて人間

に慰む術は無い。同じ意味からいって彼女の芸は巴里の哀れさ寂しさをしみじみ秘めた小さいもろけた小屋ほど適する。ルウロップ館で