渾沌未分 / 岡本かの子

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江戸川区

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させた。父は同じ東京となった放水路の川向うの江戸川区には移り住むのを極度に恐れた。葛西という名が、旧東京人

東京

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移り住むのを極度に恐れた。葛西という名が、旧東京人の父には、市内という観念をいかにしても受付けさせ

いっている父の虚栄心を満足させた。父は同じ東京となった放水路の川向うの江戸川区には移り住むのを極度に恐れた。葛西

が傷ましくずっと数えられる。だが移った途端に東京は大東京と劃大され砂村も城東区砂町となって、立派に市域の内に

敗戦のあとが傷ましくずっと数えられる。だが移った途端に東京は大東京と劃大され砂村も城東区砂町となって、立派に市域

父や自分の魂の置場はあそこ――都会――大東京の真中よりほかにないのだから仕方がない、是非もない……。

貝原が、大声を挙げた。飛騨訛りがそう不自然でなく東京弁に馴致された言葉つきである。

は絶対に避けた。そういうことは嫌味として旧東京の老人はついにそれに対する素直な表現欲を失っていた。感情の

可愛らしい灯の中で青苦い香気のある冷し白玉を喰べ、東京でも東寄りの下町の小さい踊り場を一つ二つ廻って、貝原はあっさり

小初は一しきり料理を喰べ終ると、いかにも東京の料理屋らしい洗煉された夏座敷をじろじろ見廻しながら、

じゃないと思うわ。そんなことに捉われていたから、東京人は田舎者にずんずん追いこくられてしまったのよ。私たち必死で都会を取り返さ

「薫さん、ついてお出でよ。東京の真中で大びらに恋をしよう、ね」

のエナ会社の書記にならなけりゃならないし、小初先生は東京の真中で贅沢に暮らさなけりゃならない人なんだもの」

日本橋

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たびたび川筋を変えたが、住居は今年の夏前までずっと日本橋区の小網町に在った。父は夏以外ふだんの職業として反物の

ロココ式の半姿見へ小初は向った。今は失くした日本橋の旧居で使っていた道具のなかからわずかに残しておいたこの手

月が、日本橋通りの高層建築の上へかかる時分、貝原は今夜は珍らしく新川河岸の堀

人形町

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夜に瀟洒な鉄線を組み立てている清洲橋を渡って、人形町の可愛らしい灯の中で青苦い香気のある冷し白玉を喰べ、東京でも

銀座

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ときどき銀座界隈へまで出掛けることもある。そうすると今度はニュー・グランドとか風月

隅田川

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父の水泳場は父祖の代から隅田川岸に在った。それが都会の新文化の発展に追除けられ追除け

初に銜え出さしたり、自分の背に小初を負うたまま隅田川の水の深瀬に沈み、そこで小初を放して独りで浮き上らせたり