リヨン ロンドン 巴里

――からかうにもさ、リヨン訛じゃ遣り切れないよ、このひと、いいかげんにパリジェンヌにおなりよ。

が四抹、五抹。そして流行着のマネキンを乗せたロンドン通いの飛行機が悠長に飛んで行く。

巴里の秋

別をいつしたとも見えないのに秋をひそかに巴里は迎えいれて、むしろ人達を惑わせる。そうなると、街路樹の葉が

ひより下駄をはいて歩く音の方がふさわしい感じである。巴里に秋が来たのだ。いつ来たのだろう、夏との袂別

の土となるまでの巣を見つけて買い取りましたよ。巴里にも三十年、まあ三十年もまめに働けばもう、楽に穴に

の巴里人のならわし通りこの男も老後を七、八十里巴里から離れた田舎へ恰好な家を見付けて買取り、コックに一人の女中ぐらい

秋風のなかにふさわしい。男は小金を貯めた。多くの巴里人のならわし通りこの男も老後を七、八十里巴里から離れた田舎へ

とする巴里。ひるのひとときが夜のひそけさになる巴里。秋は殊さらひそかになる昼だ。

ひるひとときはひっそりとする巴里。ひるのひとときが夜のひそけさになる巴里。秋は殊さらひそか

――芝居季節が近づいたんでこの子のお母さん巴里へ帰って来るってさ。