丸の内 新潟 東京 神田 新宿

巨大なオフィス・ビルディングの連った丸の内をかこむ外廊には、種々雑多な程度の、なかには「山かん横丁」

お会いしたでしょう。あの四五日後、坂本、急に新潟へ行ったのよ」

「じゃあなたも新潟へいらっしゃるわけね」

なさ、通俗的な押し出しのよさ、などを考え合わせると、新潟という土地柄、おそくなる夜の時間がどんなに費されているか、

「紀子さん、坂本さんがそう云ったって自分で新潟へ行けばいいのに」

も、やっぱり同じ形に美しいね、とかいていた。東京は晩秋で、峯子は、正二が留守の秋の夜々の身にしみる思い

。科学を専門にしている正二らしく、雪の結晶は東京から数百里を隔ったこの山嶽の間でも、やっぱり同じ形に美しいね

とき子は、卒業するとすぐ、東京でも屈指の、半ば国立のような或る大銀行に勤めるようになった

「坂本は、せめて東京に出たときだけでも、いくらか知識的な空気にふれられるのが

を熱心にやっていて、夜は速記を勉強しに神田の方へ通っていた。そして、だんだん気が合うにつれ、自分が

意外さばかりでないぼんやりしたおどろきの色がひろがった。新宿の人ごみの中で良人の坂本と連れ立って歩いている紀子に逢ったの

「ああ、いつか夕方、新宿でお会いしたでしょう。あの四五日後、坂本、急に新潟へ行っ