鴨川 川越 江戸 京都 東京

にと、名刺に書き添えた紹介を下すったが、それは鴨川に近い三本木という、かねて私もひそかに見当をつけたことのある静かな

が段々見られなくなってしまった。久しい以前、始めて川越の町を見に行った折、黒磨きの土蔵造りの店がずらりと並ん

て、眼を見はったことがあるが、考えて見れば川越は江戸よりも古い文化を持った町であった。まして此処は旧い都、

眼を見はったことがあるが、考えて見れば川越は江戸よりも古い文化を持った町であった。まして此処は旧い都、ことに

久し振りで京都の秋を観ようと、十月十五日の朝東京駅を発つ時、偶然会っ

を持った此の部屋の、ひっそりとした気配に、すっかり京都へ来たような気になって、些かいぶせき宿ではあるが、

京都の駅に着いた時、もう降り始めていた小雨が、暗くなると

近まの寺々の苔の色を見て歩いてもよい京都である。幸い博物館には、思いがけず海北友松の特別展覧会が開かれ

雨もまた優しく懐かしい。といって、今度の旅は単に京都の秋の景色に浸ってだけ居るわけにはいかない。少しは調べたい

陰気にさえ見えるほど静かな感じを与えるものであるが、東京あたりでは此の頃それが段々見られなくなってしまった。久しい以前、始め

に眼ざめてそれから程なく聞いた鐘の音は、ふだん東京で聞くものよりはやや澄んで高い音であった。目を瞑ったまま