本郷 牛込 東京市 御殿山 四谷 下谷 東京 神田 品川 京橋

生え抜きの東京生れの学生であった。其の時こそ下谷、本郷、四谷、牛込、麻布という土地に住んで、大方が山の手組であった

の学生であった。其の時こそ下谷、本郷、四谷、牛込、麻布という土地に住んで、大方が山の手組であったが、家の

ものは着なかったのである。いや、それよりも、東京市中には殆ど高層建築というものがなく、地勢によっては、何処から

がらしの烈しかった時代に、私は品川の奥に住んで御殿山の小学校に通って居た。晩秋初冬の頃になると、毎日烈しい風の

東京生れの学生であった。其の時こそ下谷、本郷、四谷、牛込、麻布という土地に住んで、大方が山の手組であったが、

までが生え抜きの東京生れの学生であった。其の時こそ下谷、本郷、四谷、牛込、麻布という土地に住んで、大方が山の手組

ものは着なかったのである。いや、それよりも、東京市中には殆ど高層建築というものがなく、地勢によっては、

こがらし、筑波おろし、そういう言葉を明治中期の東京の少年達は早くから知って居た。そうして其の言葉を、自分

もない不思議に暫く注意を集めて居た。こういう、東京もこがらしの烈しかった時代に、私は品川の奥に住んで御殿山の小学校

を終える頃であったが、その頃でもまだ／＼東京のこがらしは烈しいものであった。それから私が其の中学を終えて

が妙なことに、其の中の五人までが生え抜きの東京生れの学生であった。其の時こそ下谷、本郷、四谷、牛込、麻布

伝えを、常々年寄達も云って居たし、現に近頃神田に起った火事が、翌日の午後になってもまだ消えずに居た

子供がふとそんなことを言い出す。それは大風の日、神田から火事が出ると、きまって京橋鉄砲洲まで燃え抜けるという伝えを、

。こういう、東京もこがらしの烈しかった時代に、私は品川の奥に住んで御殿山の小学校に通って居た。晩秋初冬の頃に

それは大風の日、神田から火事が出ると、きまって京橋鉄砲洲まで燃え抜けるという伝えを、常々年寄達も云って居たし