江戸 小田原町 伊勢 下谷 上野 日本橋 千住 浅草

には訳のあることだから堪忍してくれ。兎も角も江戸の職人をしてゐて、鰻が嫌ひだなどといふのは可笑しいやうだ

注意されたので、吉次郎は二月ほど経つてから江戸の養家へたよりをして、自分は当分帰らないと云ふことを断つてやる

かうして一年ほど過ぎた後に、江戸から突然に飛脚が来て、養父はこのごろ重病で頼みすくなくなつたから、どう

斎藤彦麿はその当時、江戸で有名の国学者である。彼は鰻が大すきで、毎日殆どかゝさず

一緒に鰻の買ひ出しに千住へも行き、日本橋の小田原町へも行つた。

後れて顔を出したのであつた。かれの父は伊勢の亀山藩の家臣で下谷の屋敷内に住んでゐたが、先月の二十二日

であつた。かれの父は伊勢の亀山藩の家臣で下谷の屋敷内に住んでゐたが、先月の二十二日に七十二歳の長寿で

上野の輪王寺宮に仕へてゐる儒者に、鈴木一郎といふ人があつた

あらうかと思ひやると、馬琴もすこし気の毒になつた。上野の五つ（午後八時）の鐘がきこえた。

しらぬが、先頃ある人からこんなことを聴きました。日本橋の茅場町に錦とかいふ鰻屋があるさうで、そこの家では鰻

養父と一緒に鰻の買ひ出しに千住へも行き、日本橋の小田原町へも行つた。

朝である。吉次郎はいつもの通りに、養父と一緒に日本橋へ買ひ出しに行つて、幾笊かのうなぎを買つて、河岸

「めつぽう荒いのがございます。」と、亭主は日本橋で彼の大うなぎを発見したことを報告した。

。さうして、養父と一緒に鰻の買ひ出しに千住へも行き、日本橋の小田原町へも行つた。

が、この話はかれが二十四五の頃で、浅草のある鰻屋にゐた時の出来事である。最初は鰻裂きの職人と

聞き流してゐることも出来まいと思つて、吉次郎は兎も角も浅草へ帰つてみると、養父の重病は事実であつた。しかも養母は密