心中浪華の春雨 / 岡本綺堂
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もう知っていた。そうして、おれは当時西国の博多に店を持って、唐人あきないを手広くしている。一年には何千両
のところへ暇を貰う掛合いに行くことになった。いよいよ博多へ行くと決まったら、お園のことも父に打ち明けようと思っていたが
群れにはいった。それが運よく成功して、表向きは博多の町に唐物あきないの店を開いているが、その実は長崎奉行の眼
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はこの大坂にも住みづらかろう。おれが添え手紙をして江戸の親方衆に頼んでやるから、ほとぼりの冷めるまで二年か三年か、
でやるから、ほとぼりの冷めるまで二年か三年か、江戸へ行って修業して来い」
て大坂に住むのも辛いが、他国者と侮られて江戸に住むのも苦しかろうと、それが彼の小さい胆をおびえさせた。
晩に福島屋へ行った。彼はお園に逢って、江戸へ行かなければならなくなった訳を沈んだ声で物語った。お園も
きっと待っている。わたしの心に変りはない。お前も江戸の若い女子に馴染などを拵えて、わたしという者のあることを忘れて
「では、親方さん。いよいよ江戸へ行くことにいたします」
親方は江戸の或る棟梁に宛てた手紙を書いてくれて、これを持って行けばきっと
、六三郎の不運を気の毒がって親切に慰めてくれた。江戸へ行くというのを聞いて、成る程それもよかろう、たとい幾年留守にし
は決してしない、安心して行くがよいと、これも江戸の知りびとに添え手紙などを書いてくれた。
にもいわれ、お前にも意見され、どうでも江戸へ行くことに覚悟は決めている。どんな辛い辛抱もして、立派な職人
憐れでならなかった。うるさい世間の口を避けるために、江戸へ修業に行くのも確かにいい。そうして、他人の中で揉まれ
きっと自分と同じような悲しい口惜しい経験を繰り返すに相違ない。江戸の職人は気があらいと聞いている。その中に立ちまじって毎日叱られたり
なったら、どうしても男を励まして、無理にも江戸へやるより他はない。弱いながらも男はもうその覚悟をしている。
もって、無理に笑い顔をつくっていた。そうして江戸の客から聴いたことのある浅草の観音さまや、上野の桜や、不忍
さまや、上野の桜や、不忍の弁天さまや、そんな江戸名所のうわさなどを面白そうに男に話して聞かせた。
「お前、江戸の女子と心安うしなさんすな、よいかえ」
「六三さん。お前、どうしても江戸へ行く気かえ」と、お園は男の肩に手をかけて今更
通の書置きを残してあった。それには六三さんを江戸へやるのがいかにも可哀そうだから一緒に死ぬということが書いてあった
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いった全盛の遊女で、ある蔵屋敷の客に引かされて天満の老松辺に住んでいたが、酒乱の癖が身に禍いして、
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は細かい十露盤の珠をせせっているのをもどかしく思って、堂島の米あきないに濡れ手で粟の大博奕を試みると、その目算はがらりと狂っ
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下さるな。女でも生まれ故郷を離れて、遠い長崎や奥州の果てへ行く者も沢山ある。この廓にいる人でも大坂生まれは数える
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町に唐物あきないの店を開いているが、その実は長崎奉行の眼をくぐって、いわゆる海賊を本業としていたのである
唐人あきないというけれども、彼は長崎辺の商人のように陸上で公然と取引きをするのではなかった。
秘密が破れて、彼の仲間の一人が召捕られた。長崎の奉行所からは早飛脚に絵姿を持たして、彼の召捕り方を大坂の奉行所
もって下さるな。女でも生まれ故郷を離れて、遠い長崎や奥州の果てへ行く者も沢山ある。この廓にいる人でも大坂
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江戸の客から聴いたことのある浅草の観音さまや、上野の桜や、不忍の弁天さまや、そんな江戸名所のうわさなどを面白そう
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いた。そうして江戸の客から聴いたことのある浅草の観音さまや、上野の桜や、不忍の弁天さまや、そんな江戸名所