大木戸 江戸 四谷 赤坂 麹町 新宿 市ヶ谷 千駄ヶ谷 八王子 京橋

来る仲間はなんでも十人ほどありまして、その中で大木戸に住んでいる相模屋という煙草屋の亭主の持っている虫はたいそう強いので

――わたくしの兄でございます。――と一緒に、大木戸の相模屋にかくれているから、わたしはこれから捉まえに行く。それでも相手

。皆さんの中には御存じの方もございましょうが、江戸の文化文政ごろには蜘蛛を咬み合わせることがはやったそうでございます。シナ

ばかり申上げて置かなければなりません。わたくしはその頃、四谷の石切横町に住んでいました。天王さまのそばでございます。父は

、六月のお祭り月にも麹町の山王さまは延期、赤坂の氷川さまもお神輿が渡っただけで、山車も踊り屋台も見合せ、わたくしの

済ませることになりまして、六月のお祭り月にも麹町の山王さまは延期、赤坂の氷川さまもお神輿が渡っただけで、山車

「どうも新宿の方へ行くらしいんだよ。」

、昼間の女のことを詳しく訊きかえしました。その女は新宿の芸妓かなにかで、叔父はそれに引っかかっているのだろうと、母

「あの女はよい辰という遊び人の娘で、去年まで新宿の芸妓をしていたんですとさ。それが近江屋という質屋の

会津屋へ出かけて行きました。きのうから今日にかけて、新宿の女が雷に撃たれる。会津屋の姉妹のむすめが家出をする。叔父

腰かけています。その人相や、様子が、きのう聞いた新宿のよい辰ではないかと思いながら、人込みの間からそっと覗いてい

「あれは新宿のよい辰というんだとさ。よいよいの言う事だからよく判らない

夢中になってしまったのでございます。四谷辺では新宿の貸座敷の近所にある引手茶屋や料理茶屋の奥二階を会場にきめ

が、蜘蛛に係り合いがあると目をつけて、四谷新宿辺でその勝負をするものを探り出したので、案外に早く埒が明い

叔母もこれから市ヶ谷の方の占い者のところへ行くといって帰りました。今夜も暑い

「さっき見えたんですけれど、これから市ヶ谷の占い者のところへ行く、といって帰りましたよ。」と、

「叔母さんは市ヶ谷から帰って来たけれど……。いよいよぼんやりしてしまって、本当に気の毒

になって、叔父の姿が見いだされました。叔父は千駄ヶ谷につづいている草原のなかに倒れて死んでいたのでございます。

が、嘘か本当か判りません。ともかくも暗い夜道を千駄ヶ谷の方角へたどって行きまして、広い草原のなかを探しあるいて、ここ

か申します。――の手へわたして、近いうちに八王子の方へやるつもりであったそうで、もう少しのところであぶないことで

ようなことはなかったのでございます。兄は十九で京橋の布袋屋という大きい呉服屋さんへ奉公に出ていまして、その年季の

知れていますから、母はすぐに支度をして、京橋の店へその実否をただしに行くことになりまして、慌てて着物を

その返事にはわたくしも少し困りました。兄のことで京橋へ出て行ったと正直に話すわけにもゆかないので、芝の

で、門端へ出ようともしませんでした。女の足で京橋まで行ったのですから、暇どれるのは判っていますが、母の

よっちゃんは人騒がせに何を言ったんだろう。ふうちゃんは京橋のお店にちゃんと勤めているんだよ。」