番町 赤坂 青山 上野公園 青山墓地 東京 麹町

を廃さないのがその当時の習慣であるから、私たちは番町から青山まで徒歩で送って行く。新年早々であるから、碌々に会葬者も

で、麹町の大通りを横に切れ、弁慶橋を渡って赤坂へさしかかると、ここは花柳界に近いだけに、春着の芸者が往来している

ないのがその当時の習慣であるから、私たちは番町から青山まで徒歩で送って行く。新年早々であるから、碌々に会葬者もあるまい

海陸ともに連戦連捷、旧冬の十二月九日には上野公園で東京祝捷会が盛大に挙行され、もう戦争の山も見えたと

二日の午前十時、青山墓地で葬儀を営むことになった。途中葬列を廃さないのがその当時の

年の七月十四日、桃仔園で戦死を遂げた。青山墓地の別れがこの世の別れであった。同じ日に二つの思い出、人

も見えたというので、戦時とはいいながら歳末の東京市中は例年以上の賑わしさで、歳の市の売物も「負けた、負け

に連戦連捷、旧冬の十二月九日には上野公園で東京祝捷会が盛大に挙行され、もう戦争の山も見えたというの

がある。それは私の叔父の家で、その当時、麹町の一番町に住んでいたが、叔父は秋のはじめからの患いで、

の春はあまりに寂しかった。私は始終うつむき勝ちで、麹町の大通りを横に切れ、弁慶橋を渡って赤坂へさしかかると、ここは