青山 番町 小石川 江戸 赤坂 麹町 大久保

青山の腰元　お菊　お仙

播磨　おゝ、先づ以て神妙の覚悟ぢや。青山の家に取つては先祖伝来大切の宝ではあるが、粗相とあれば

番町皿屋敷

番町青山家の座敷。二重屋体にて上のかたに床の間、つゞいて襖。庭

權次　おゝ、こなたは小石川の。

播磨　おゝ、小石川の伯母上、どうしてこゝへ……。

でないことは、不断からよく知つてゐるものの、小石川の伯母様の御媒介で、飯田町の大久保様とやらから奥様をお迎へ

　このあひだも、鳥渡お耳に入れました通り、小石川の伯母御様が御媒介で、どこやらの御屋敷から奥様がお輿入れに

は晴れようとも、うたがはれた播磨の無念は晴れぬ。小石川の伯母はおろか、親類一門がなんと云はうとも、決してほかの妻は迎へぬ

兵衞　仔細もなしに咬み付くやうな、そんな病犬は江戸にやあゐねえや。白柄組とか名を付けて、町人どもを嚇して

眞弓　赤坂の菩提所へ仏参のかへり路、よいところへ来合せました。天下の御旗本と

麹町、山王下。正面はたかき石段にて、上には左右に石の駒寄せ、

ゐるからのことぢや。この間もちよつと話した飯田町の大久保の娘、どうぢや、あれを嫁に貰うては。

ものの、小石川の伯母様の御媒介で、飯田町の大久保様とやらから奥様をお迎へなさる、内相談があるとやら。（また