川崎 江戸 神奈川 淀橋 横浜 成田山 代々木 浅草 品川

は十九の厄年であるというので、その途中でまず川崎の厄除大師に参詣した。それから横浜の親類の酒屋をたずねて、所々

川崎の宿で駕籠をかえて、大森へさしかかった時に、お峰は近所の

時）に二挺の駕籠が東海道の大森を出て、江戸の方角にむかって来た。

をおどろかすような繁華の土地に変ってしまった。それが江戸から七里、さのみ遠い所でもないので、東海道を往来の旅びとばかり

でもないので、東海道を往来の旅びとばかりでなく、江戸からわざわざ見物にゆく者がだんだんに多くなった。いつの代も流行は同じ

を暮らした。横浜にふた晩泊って、三日目に江戸へ帰るというのが最初からの予定であるので、きょうは朝のうち

ていることにして、お峰親子の駕籠はまっすぐに江戸へ帰った。

きょうは朝のうちに見残した所をひとめぐりして、神奈川の宿まで親類の者に送られて、お峰とお妻の親子は駕籠

淀橋の柏木成子町に井戸屋という古い店がある。井戸屋といっても井戸掘り

九月二十三日に淀橋からお妻の使が来て、おっ母さんにちょっと会いたいから直ぐにお

その当時、横浜見物ということが一種の流行であった。去年の安政六年に横浜の

ことが一種の流行であった。去年の安政六年に横浜の港が開かれて、いわゆる異人館が続々建築されることになった。それ

に多くなった。いつの代も流行は同じことで、横浜を知らないでは何だか恥かしいようにも思われて来たのである

近江屋の親類でこの春から横浜に酒屋をはじめた者がある。それから横浜見物に来いとたびたび誘われるの

この春から横浜に酒屋をはじめた者がある。それから横浜見物に来いとたびたび誘われるので、女房のお峰は思い切って出かけることに

その途中でまず川崎の厄除大師に参詣した。それから横浜の親類の酒屋をたずねて、所々の見物にきのう一日を暮らした。横浜に

酒屋をたずねて、所々の見物にきのう一日を暮らした。横浜にふた晩泊って、三日目に江戸へ帰るというのが最初からの

横浜見物のみやげ話も何となく浮き立たないで、お峰親子は暗い心持のうちに

「横浜から帰るときに、あのお婆さんが経帷子を置いて行ったのも、所詮

九月二十四日――横浜見物の帰り道に、二挺の駕籠が鈴ヶ森を通りかかったのは、その日の

。井戸屋の主人も神仏の信心を怠らず、わざわざ下総の成田山に参詣して護摩を焚いてもらった。ありがたい守符のたぐいが神棚や仏壇

が歳暮の礼に来た。三之助は由兵衛の弟で、代々木町の三河屋という同商売の家へ婿に行ったのである。兄

二人は途中で引分かれて、由兵衛は代々木の三河屋へ行った。お峰は大木戸前の万屋をたずねた。万屋の

その十二月の十八日である。由兵衛は例年のごとく、浅草観音の歳市へ出てゆくと、その留守に三之助が歳暮の礼に

で、まだ宵ながらここらの海岸に人通りも少なかった。品川がよいのそそり節もきこえなかった。