番町皿屋敷 / 岡本綺堂

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地名一覧

青山

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という二人の奴を供に連れて、今日の朝から青山の縁者をたずねて、そこで午飯の振舞をうけて、その帰りに山王の

武を表とする青山の屋敷に、生ぬるい女子などを飼って置くのは面倒であると播磨はいっ

「殿様も御繁昌でござります。きょうも青山の御縁者へまいられまして、唯今お戻りなされました。そのお召替え

七日の夜に、白柄組の重立った者八九人が青山の屋敷にあつまることになった。別に仔細はない。やはり去年と同じよう

は物置同様で、殆ど碌なものも収めてなかったが、青山の家に取って唯ったひとつの大切の品が入れてあった。

が亡びるという怖ろしい伝説さえも生まれて来た。随って青山の家ではこの皿を宝物のように心得て、召使の者がもし誤っ

それはあの高麗焼の皿である。青山の家の宝物という十枚の皿である。お菊はその一枚を

にまた躊躇した。その皿が悉く割れた時には青山の家が亡びるという怪しい伝説を彼女は恐れた。しかしただ一枚を損じ

以って神妙の覚悟だ」と、播磨はうなずいた。「青山の家に取っては先祖伝来大切の宝ではあるが、疎匆とあれ

砕いた幾枚の皿も皆な井戸へ投げ込ませた。青山の家重代の宝も、播磨が一生の恋も、すべてこの井戸の深い底

た上で、この一通を支配頭屋敷へ持参いたせ。青山の家滅亡はいうまでもない。その方どもはあとの始末を済ませた

辞退した。自分はもう生き甲斐のない不具である。今まで青山の奴と世間に謳われた身が、今更他家の飼犬にもなれない。

番町

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番町皿屋敷

彼の鑑定通り、この若い侍は番町に屋敷を持っている七百石の旗本の青山播磨であった。彼が水野

八であろうが年の割に老けて見えるらしい女が、番町の青山播磨の屋敷の台所口に立って、つつましやかに案内を求めると、下女

を勤める女は江戸の者を召仕うことにして、番町から遠くない四谷生れのお菊というのを一昨年の秋から屋敷に入れ

お仙は早々に暇を貰って在所へ逃げて帰った。番町の皿屋敷――この幽怪な屋敷の名が女どもの魂をおびえさせて

。播磨も笠を深くして寺まで送って行った。番町の屋敷へ帰る頃には細かい雨が笠の檐にしとしとと降って来た

小石川

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「おお、小石川の伯母上、どうしてここへ……」

に黙って聴いていた。老女は播磨の伯母で、小石川に千二百石取の屋敷を構えている渋川伊織助の母の真弓であった。

「あの、小石川の伯母様かえ」

て笑った。しかしお菊はにこりともしなかった。小石川の伯母様の名を聞くと共に、彼女の白い顔は水のように

らしい。しかしお菊は決して落着いてはいられなかった。小石川の伯母様が主人に妻帯を勧めるのは今日に始まったことではない。

「でも、小石川の伯母様が……」

返事の催促に相違ないとお菊は思った。彼女は小石川から帰った主人の顔色によってその模様を判断しようとあせったが、年

「小石川の御屋敷へたびたびの御招きは何の御用でござりましょう」

「この間もお耳に入れました通り、小石川の伯母御様の御なこうどで、飯田町の御屋敷から奥様がお輿入れ

いっても、疑われた男の無念は晴れなかった。小石川の伯母が何といおうとも、決してほかの妻は迎えぬとあれほど誓った

渋川

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若者であるが、その後見をする母の真弓は、天晴れ渋川の家風に養われた逞ましい気性の女であった。ことに亡き母の姉と

等はむしろその殺風景を誇りとしていたが、かの渋川の伯母御から注意をあたえられた。いかに質素が三河以来の御家風とは

た。二人ともに揃ってよい奉公人を置き当てたと、渋川の伯母も時々見廻りに来て褒めていた。実際、お菊が初めて目見得

それから又十日ほど経って、播磨は渋川の屋敷へ呼ばれた。それは縁談の返事の催促に相違ないとお菊

少しも軽くならなかった。月が替ってから播磨は再び渋川の屋敷へ呼ばれた。

飯田町の縁談などは無論に蹴散らしてしまった。渋川の伯母にも無論に勘当されてしまった。彼は二人の鬼奴を両

「渋川の伯母御様お待ち兼ねでござりまする」と、十太夫は玄関に出て主人

江戸

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「仔細もなしに咬み付くような、そんな病犬は江戸にゃあいねえや」と、彼は侍を尻目にかけていった。「白柄

知行所から呼び寄せたが、主人の手廻りの用を勤める女は江戸の者を召仕うことにして、番町から遠くない四谷生れのお菊と

四谷

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江戸の者を召仕うことにして、番町から遠くない四谷生れのお菊というのを一昨年の秋から屋敷に入れた。それが

赤坂

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「赤坂の菩提所へ仏参の帰り途によい所へ来合せました。天下の御旗本とも

麹町

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(例)麹町

二十四五歳かとも見える若い侍が麹町の山王の社頭の石段に立って、自分の頭の上に落ちかかって来る

取られたようにぼんやりしている奴どもを後に、麹町の方へしずかにその乗物を舁せて行った。

大久保

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悪いことはいわぬ。この間もちょっと話した飯田町の大久保殿の二番娘……」

年は十八で、器量もよい、行儀も好い。さすがは大久保殿の躾だけあって、気性も雄々しく見ゆる。伜が独身ならば、

「折角でござりますが、飯田町の大久保殿は大身、所詮われわれ共の屋敷へは……」

「いや、その遠慮は要らぬことじゃ。大久保殿はあの通りの御仁、家柄の高下などを念に置かるる筈はない

「飯田町の大久保様の娘御というのをお前達は御存知か」と、お菊は

、よその屋敷の娘などは知らないといった。しかし大久保は男の児のない家であるから、嫁にやるというのは二

ない苦しい事情の下に置かれていた。その伯母が大久保なにがしの娘を嫁に貰えというのである。自我が強いだけに、