金閣寺 青山 江戸 本所 諏訪 四谷 坂町 善光寺 赤坂 奈良 福島 岐阜 富山 金沢 甲府 新宿 八王子

。わたくしは鼠を使うのでございました。芝居でする金閣寺の雪姫、あの芝居の真似事をいたしまして、わたくしがお姫様の姿で

夫婦を本当におどろかしたのは、四谷からさのみ遠くない青山の権太原の夏草を枕にして、二人の若い男が倒れていると

その春風に吹かれながら、江戸へむかう旅人上下三人が今や鳥居峠をくだって、三軒屋の立場に休んで

くだって、三軒屋の立場に休んでいた。かれらは江戸の四谷忍町の質屋渡世、近江屋七兵衛とその甥の梅次郎、手代の義助であっ

「はい。江戸でございます。」と、七兵衛は答えた。「若いときから一度はお伊勢

いや、熊の皮なんぞはいらない、いらない。おれ達は江戸へ帰れば、虎の皮をふんどしにしているのだ。」

「江戸のお客さまを相手にするには、おれよりもお前のほうがいいようだ。」と

娘は江戸の生れであるが、七つの時に京へ移って、それから諸国を

苦労をした末に、半分は乞食同様のありさまで、江戸の身寄りをたずねて下る途中であるが、長いあいだ音信不通であったので

そういう身の上ならば、的もなしに江戸へ行くよりも、いっそここに足を留めてはどうだと、伊平は言っ

江戸を出るときには男三人であったこの一行に、若い女ひとりが

「ほんとうに江戸へ来る途中には、なんにも変ったことはなかったのかねえ。」と

「わたくしは江戸の本所で生れまして、小さい時から両親と一緒に近在の祭や縁日を

「そうしておりますうちに、江戸ばかりでも面白くないというので、両親はわたくし共を連れて旅かせぎ

たものと思っていますと、旦那さまと御一緒に江戸へ帰る途中、碓氷峠をくだって坂本の宿に泊りますと、その晩、

さまには隠して置いてもらうことにして、無事に江戸まで帰ってまいりますと、この頃になってまたどこからか出て来まして

か。」と、お此は腹立たしそうに言った。「江戸へ帰る途中で、お元の袂に鼠を見付けたことがあるなら、誰

「江戸にいると面倒だ。どこか遠いところへ行くがいい。」

お元が江戸へ帰る途中、その袂に忍ばせている鼠を梅次郎と義助に見付けられて、

「わたくしは江戸の本所で生れまして、小さい時から両親と一緒に近在の祭や縁日をまわって

出ました。まず振出しに八王子から甲府へ出まして、諏訪から松本、善光寺、上田などを打って廻り、それから北国へはいって、越後

七兵衛は四谷の忍町に五代つづきの質屋を営んでいて、女房お此と番頭庄右衛門

て来た。梅次郁は七兵衛の姉の次男で、やはり四谷の坂町に、越前屋という質屋を開いている。万一お元のゆくえがどう

筋書以外に、かれら夫婦を本当におどろかしたのは、四谷からさのみ遠くない青山の権太原の夏草を枕にして、二人の若い

た。梅次郁は七兵衛の姉の次男で、やはり四谷の坂町に、越前屋という質屋を開いている。万一お元のゆくえがどうして

まず振出しに八王子から甲府へ出まして、諏訪から松本、善光寺、上田などを打って廻り、それから北国へはいって、越後路から金沢、

「お国を連れて赤坂まで……。」と、言いかけてお此は声をひくめた。「ねえ、

「お察しの通り、帰りには奈良から京大阪を見物して来ました。こんな長い旅はめったに出来ない

四十二の厄除というのであるが、そのついでに伊勢から奈良、京大阪を見物してあるく間に、もしやわが子にめぐり逢うことが

私らではございません。そんなことをしましたら、福島のお代官所で縛られます。安心してお求めください。」

をいたしました。そうして、去年の秋の初めに岐阜まで参りますと、そこには悪い疫病が流行っていまして、一座の

北国へはいって、越後路から金沢、富山などを廻って岐阜へまいりました。ひと口に申せばそうですが、そのあいだに、足掛け三

と、お元はうるんだ眼をかがやかしながら答えた。「岐阜の宿をぬけ出す時に、商売道具は勿論、鼠もみんな置き去りにして来

て廻り、それから北国へはいって、越後路から金沢、富山などを廻って岐阜へまいりました。ひと口に申せばそうですが、その

を打って廻り、それから北国へはいって、越後路から金沢、富山などを廻って岐阜へまいりました。ひと口に申せばそうですが

連れて旅かせぎに出ました。まず振出しに八王子から甲府へ出まして、諏訪から松本、善光寺、上田などを打って廻り、それ

「叔父さんは商売の用で、新宿のお屋敷まで……。」

共を連れて旅かせぎに出ました。まず振出しに八王子から甲府へ出まして、諏訪から松本、善光寺、上田などを打って廻り