怪獣 / 岡本綺堂
地名一覧
地名をクリックすると地図が表示されます
「九州は博多……久留米……熊本……鹿児島……。」と、わたしは答えた。
「博多までは知っていますが、それから先は初旅です。」
地名をクリックすると地図が表示されます
「朝鮮だとか琉球だとかいうには、何か確かな証拠でもあるのですか。」
「朝鮮だとか琉球だとかいう若い大工でしょう。」と、私はすぐに答えた。
地名をクリックすると地図が表示されます
わたしは社用で九州へ出張する途中、この広島の支局に打合せをする事があって下車した
博士の郷里は九州の福岡で、その実家にいる弟の結婚式に立会うために、先日から帰郷し
九州から東京へ帰る博士と、東京から九州へゆく私と、あたかも摺れ違いに、
九州から東京へ帰る博士と、東京から九州へゆく私と、あたかも摺れ違いに、この宿の二階で落合ったので
「九州はどっちの方へ行くのですか。」
「九州は博多……久留米……熊本……鹿児島……。」と、わたしは答え
「九州は初めてですか。」
面白いでしょう。」と、博士は微笑した。「私は九州の生れではあり、殊に旅行は好きの方であるから、学生時代にも随分
に、時間の許すかぎりは方々を旅行したので、九州の主なる土地には靴の跡を留めているというわけです。あなたは
地名をクリックすると地図が表示されます
書くと、時は明治の末年、秋の宵。場所は広島停車場前の旅館。登場人物は藤木理学博士、四十七、八歳。私、
わたしは社用で九州へ出張する途中、この広島の支局に打合せをする事があって下車したのである。支局で
地名をクリックすると地図が表示されます
博士の郷里は九州の福岡で、その実家にいる弟の結婚式に立会うために、先日から帰郷して
地名をクリックすると地図が表示されます
「九州は博多……久留米……熊本……鹿児島……。」と、わたしは答えた。「まだ其他にも四、
見たところは内地人にちっとも変らず、言葉は純粋の鹿児島弁でした。色の蒼白い、痩形の、神経質らしい男でしたが、
実は朝鮮人だともいい、又は琉球人の子で鹿児島で育ったのだともいう噂があって、当人に訊いてもはっきり
てしまって、それぎり音も沙汰もないそうです。たぶん鹿児島へでも帰ったんでしょう。」
「鹿児島から出て来て、一年ほど前から親方の厄介になっていた
に思われます。彼は親方の家を立去った後、鹿児島へ帰った様子もなく、その消息は不明だそうです。あるいは自分の呪い
地名をクリックすると地図が表示されます
「九州は博多……久留米……熊本……鹿児島……。」と、わたしは答えた。「まだ其他に
地名をクリックすると地図が表示されます
わけです。あなたは今度の旅行は本線だけで、佐賀や長崎の方へお廻りになりませんか。」
地名をクリックすると地図が表示されます
というわけです。あなたは今度の旅行は本線だけで、佐賀や長崎の方へお廻りになりませんか。」
地名をクリックすると地図が表示されます
する事があって下車したのである。支局では大手町の旅館へ案内してくれたが、その本店には多数の軍人が泊り
地名をクリックすると地図が表示されます
」と声をかけた人がある。振返ると、それは東京の藤木博士であった。
「いや、まっすぐに東京へ帰るのです。」と、博士は答えた。
帰郷していたのであるが、式もめでたく終って東京へ帰るという。
九州から東京へ帰る博士と、東京から九州へゆく私と、あたかも摺れ違いに、この宿の二階で落合っ
九州から東京へ帰る博士と、東京から九州へゆく私と、あたかも摺れ違いに、この
土地では旧家だということで……。その次男は東京に出ていて、わたしと同じ学校にいたのです。」
「わたしと同時に卒業して、東京の雑誌社などに勤めていたのですが、家庭の事情で帰郷する
」と、老いたる小使は苦笑いをしながら答えた。「東京の先生は御存じありますまいが、曽田屋のむすめ姉妹といえば、ここ
自分の仕事を終って、いよいよ四、五日中には東京へ引揚げよう。その途中、郷里へもちょっと立寄ろうなどと思って、そろそろ帰り支度を