つぼみ / 宮本百合子
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それから四人丸く坐って祇園のまつりのはなしや、加茂の夕涼やまだ見た事のない京都の様子を御まきさんにはなしてもらっ
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には帰らなくっちゃあならない事、また二十□日には大阪まで行くんだからいそがしい、なんかと、おちつかない、それでうれしそうなかお
伯父さんの家の門の前で大阪に手紙を出す事、ひまがあったら送って行く事を約束して別れた
、あの人が女優の弟子になったと云う事、又大阪に行って暮までは会えない。
あの人は今大阪に居る。私は東京に居る。
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「神戸に行ってるんです。貴方にだまって行くって気にしてましたっけ
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「せわしそうなところやなあ、京都はほんまにしずかどっせ、ほんまに」
「京都ではふだんでも日傘をさしてますか。あの紙でつくった」
まつりのはなしや、加茂の夕涼やまだ見た事のない京都の様子を御まきさんにはなしてもらった。
「京都で育った娘なんて随分ぼんやりなもんだ事、けれども御化粧だけは随分
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あの人は今大阪に居る。私は東京に居る。
私は東京のさわがしいことから人の様子から言葉つきから御丁寧にその人達のだれに
もう東京のせわしさにつかれたように小さい声でこんな事を云った。
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その先々にキットたのしい事が待ちかまえて居る様な気のする銀座通りを私は毎日歩いて居たいと思う。何となし斯う、熱い気持
思うと同じ調子にこの色も空気も気分もまるで違った銀座の通りをあこがれて居る。
体の中の方からかるい震えが起って来るほど――銀座の夜は私になつかしい。気のあった若い人とだまって居ながら同じ
銀座の夜の町に私が行ったらキッと誰かが私を知って居て
夜の時、銀座、私は斯う云って豊国の絵の女の頬のまるみを思う。