西瓜 / 岡本綺堂

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地名一覧

湯島

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も方角もまだよく判らない。きょうは主人の言いつけで、湯島の親類へ七夕に供える西瓜を持ってゆく途中、道をあやまって御徒町の方角

「湯島の屋敷へは今日はじめて参るものか。」と、番人は訊いた。

中間はほっとした。かれは疑問の西瓜をかかえて、湯島の方へ急いで行きかけたが、小半町ほどで又立ちどまった。これを

「そうして、湯島へ行って来たの。」

「いえ、湯島のお屋敷へは参りませんでした。」

江戸

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詮議に対して、中間はふるえながら答えた。かれはまだ江戸馴れない者であるらしく、殊に異常の恐怖に襲われて半分は酔った人

月前に出て来た者であった。したがって、江戸の勝手も方角もまだよく判らない。きょうは主人の言いつけで、湯島の親類

「いえ、きょうでもう四度目でござりますから、なんぼ江戸馴れないと申しても、道に迷う筈はないのでござりますが……

ても、この頃の日は長いので往来は明るい。しかも江戸のまん中で狐に化かされるなどということのあるべき筈がない。さりとて田舎者

事件をこう解釈するね。まあ、聴きたまえ。その中間は江戸馴れない田舎者だというから、何となくその様子がおかしくって、挙動不審に

それは江戸の全盛時代であるから、僕らの先祖は江戸に住んでいて、別に何のかかり合いがあったわけではない。

本郷

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こんなものに趣味をもっていて、東京にいるあいだも本郷や神田の古本屋あさりをしているので、一種の好奇心も手伝ってすぐに

本所

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は皆、ひと通りの答弁をしたのである。彼は本所の御米蔵のそばに小屋敷を持っている稲城八太郎の奉公人で、その

静岡

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(例)静岡在の

の話である。M君は学生で、ことしの夏休みに静岡在の倉沢という友人をたずねて、半月あまりも逗留していた。

にその祖父という人が旧主君の供をして、静岡へ無禄移住をした。平生から用心のいい人で、多少の蓄財も

のは、東京の××新聞の社員で、去年からこの静岡の支局詰めを命ぜられた青年記者である。学生時代から倉沢を知っている

なかは随分蒸し暑かった。午前十一時をすこし過ぎたころに静岡の駅に着いて、汗をふきながら汽車を降りると、プラットフォームの人混みの

西瓜をしばしば食ったことは、わたしも知っている。しかも静岡ではなるべく遠慮していると言ったにも拘らず、彼は横田君

下谷

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がある。これも単に某藩侯とのみ記してあるが、下谷御徒町というからは、おそらく立花家の辻番所であろう。その辻番所の

、ひとりの中間体の若い男が風呂敷づつみを抱えて、下谷御徒町辺を通りかかった。そこには某藩侯の辻番所がある。これも

報告するつもりで帰って来たのであるから、伊平は下谷の辻番所におけるいっさいの出来事を訴えると、八太郎は勿論、客の

か気になるので、二、三日過ぎた後、下谷の方角へ出向いたついでに、かの辻番所に立寄って聞きあわせると、番人

京都

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はあるまいと彼は言った。そうして、君は京都に幾日ぐらい逗留するつもりだと私に訊いた。

わたしは三、四日の後にここを立去って、さらに京都の親戚をたずねる予定になっていたのである。倉沢も一緒に行こう

。西瓜の話はそれで一旦立消えになって、それから京都の話が出た。わたしは三、四日の後にここを立去って

てくれたまえよ。廿七日か廿八日ごろに京都を立つとして、廿九日には確かにここへ来られるね。

「むむ、暑い時分だから、夜行の列車で京都を立つと、午前十一時ごろにはここへ着くことになるだろう。」

から三日の後に、わたしは倉沢の家を立去って京都へ行った。彼は停車場まで送って来て、月末の廿九日午前

京都に着いて、わたしは倉沢のところへ絵ハガキを送ったが、それに対し

「あなたが京都へお立ちになった翌々日でした。」と、横田君はつづけて話し

のでしょう。なにしろ夢のような出来事で驚きました。早速京都の方へ電報をかけようと思ったのですが、あなたから来たハガキが

深川

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体裁だと思いながら、根よく読みつづけているうちに「深川仇討の事」「湯島女殺しの事」などというような、その当時の

東京

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あるが、久し振りで出逢った友達というのではなし、東京のおなじ学校で毎日顔をあわせているのであるから、今さら特別にめずらしい

わたしは若いくせにこんなものに趣味をもっていて、東京にいるあいだも本郷や神田の古本屋あさりをしているので、一種の

私は東京で彼と一緒に西瓜を食ったことはしばしばある。しかも彼の家に

はなるべく遠慮しているが、君も知っている通り、東京に出ている時には委細構わずに食ったよ。氷に冷やした

「東京と違って、さすがに日が暮れるとずっと凌ぎよくなるよ。」

眼にはなんにも見えなかった。横田というのは、東京の××新聞の社員で、去年からこの静岡の支局詰めを命ぜられた

かれが東京で西瓜をしばしば食ったことは、わたしも知っている。しかも静岡では

神田

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に趣味をもっていて、東京にいるあいだも本郷や神田の古本屋あさりをしているので、一種の好奇心も手伝ってすぐにその

御徒町

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ある。これも単に某藩侯とのみ記してあるが、下谷御徒町というからは、おそらく立花家の辻番所であろう。その辻番所の前

ひとりの中間体の若い男が風呂敷づつみを抱えて、下谷御徒町辺を通りかかった。そこには某藩侯の辻番所がある。これも単に

へ七夕に供える西瓜を持ってゆく途中、道をあやまって御徒町の方角へ迷い込んで来たものであるということが判った。

両国橋

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辻番所でも相当に暇取ったので、長い両国橋を渡って御米蔵に近い稲城の屋敷へ帰り着いたころには、日