半七捕物帳 46 十五夜御用心 / 岡本綺堂
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……。こいつは長崎の女郎あがりで、十九の年に大阪の商人に請け出されて行ったそうですが、間もなく店の若い者と
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、なかなか大きい村でした。押上の大雲寺といえば、江戸でも有名な浄土宗の寺で、猿若の中村勘三郎代々の墓があるせいか
。翌月の十五夜も月見の宴などは一切遠慮で、江戸の町に芒を売る声もきこえなかった。
に発見したなどというのは、この村は勿論、江戸の市内にもめったに聞いたことのない椿事であるから、人々はいたずら
対して、彼も大いに厚意を示さなければならなかった。江戸のお客の口には合うまいがと云い訳をしながら、彼は女房や女中
国を出て、何かの縁を頼って、初めは江戸の品川に草鞋をぬぎ、それから山の手辺を流れ渡って最後にこの押上村に
判らないんですが、なにか良くない事をして、江戸へ逃げて来たんだろうと思われます。こう云えば、まず大抵は想像
三島の宿から全達と道連れになって、一緒に江戸へ出て来たんです。その道中のことはよく判りませんが、江戸
たんです。その道中のことはよく判りませんが、江戸へ着いた頃には二人とも、もう相当の悪者になっていたようです
捨てたのか捨てられたのか、ともかくも自分ひとりで江戸へ出て来て、それから妾奉公や、いろいろのことをやっていた
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ていたんです。何でも雪のふる日に、本所の番場辺へ行く途中、多田の薬師の前で俄かに癪が起って悩ん
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直ぐだなと云うと、住職の全達が笑いながら、諏訪の祭りが見たければ直ぐ出て行け、十月までには間に合うだろうと云っ
「諏訪の祭り……信州かな」と、松吉は口を出した。
「いや、信州の諏訪は十月じゃあるめえ」と、半七は打ち消した。「十月の祭りなら
半七は打ち消した。「十月の祭りならば、長崎の諏訪だろう。九州一の祭りで、たいそう立派だそうだ。そんな話を誰かに
を聞きました。さっきもお話し申した通り、納所坊主が諏訪の祭りの噂をしたというんです。それが信州の諏訪でなく、
祭りの噂をしたというんです。それが信州の諏訪でなく、長崎の諏訪らしいので、私は気が付きました。さては
というんです。それが信州の諏訪でなく、長崎の諏訪らしいので、私は気が付きました。さてはこいつらの仲間のうち
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かどうだか確かには知らねえが、なんでも遠い九州の生まれだと聞いたようだ。それがどうかしたのかえ」
屋の爺さんに訊いてみると、荒物屋のお鎌は九州の生まれだというので、いよいよ長崎に縁のあることが判りました」
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をしていたらしいんです。この一件の一と月ほど前に東両国の質屋へ押込みにはいった二人組がありましたが、その晩は蒸し暑いので、
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に聞いたことがあるようだ。むむ、長崎か……長崎か……」
話を誰かに聞いたことがあるようだ。むむ、長崎か……長崎か……」
と、半七は打ち消した。「十月の祭りならば、長崎の諏訪だろう。九州一の祭りで、たいそう立派だそうだ。そんな話を
長崎を口のうちで繰り返した後に、半七は証拠の結び文と売揚げ帳
よ。そこで、ちょいと伺いたいのですが、ここらに長崎者はいませんかね」
た通り、古井戸の死骸を最初に見つけ出した女だ。長崎だかどうだか確かには知らねえが、なんでも遠い九州の生まれ
「長崎者……。そんな遠国の者は住んでいねえようだが……。
荒物屋のお鎌は九州の生まれだというので、いよいよ長崎に縁のあることが判りました」
のうちに、長崎に関係のある奴がまじっている。長崎ならば、異国の商船が絶えず出入りをしている土地ですから、モルヒネ
が付きました。さてはこいつらの仲間のうちに、長崎に関係のある奴がまじっている。長崎ならば、異国の商船が絶え
したというんです。それが信州の諏訪でなく、長崎の諏訪らしいので、私は気が付きました。さてはこいつらの
お鎌の甥にあたるんです。全真は子どもの時から長崎在の小さい寺へ小僧にやられていたんですが、これも何
ます。こう云えば、まず大抵は想像が付くでしょうが、長崎の祭りを恋しがった全真という納所は、お鎌の夫婦に由縁の
「お鎌は果たして長崎の人間でした。死んだ亭主の名は徳之助と云って、二十年ほど
「虚無僧は何者です。やっぱり長崎の生まれですか」
「いや、これは長崎じゃありません。二人とも北国筋の浪人だと云っていたそうです
のごとく、そのおまんが捫著の種で……。こいつは長崎の女郎あがりで、十九の年に大阪の商人に請け出されて行ったそう
で、おまんよりも一つ年下です。殊に双方が同国の長崎というんですから、おまんは誰よりも全真を余計に可愛がるような
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。ははははは。しかしおまんは竜濤寺に同居しないで、深川の方に妾宅風のしゃれた暮らしをして、うわべは囲い者かなんぞの
心配していると、その日が暮れてから、おまんが深川から通って来て、なにかの用でお鎌の店へも寄った
「一旦は逃げましたが、五、六日の後に深川の木賃宿で挙げられました。お鎌は竜濤寺に隠してある金
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「この頃は押上町とか向島押上町とかいろいろに分かれたようですが、江戸時代はすべて押上村で、
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神田三河町の半七が子分の松吉をつれて、押上村の甚右衛門の店さきに立っ
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「若いときには品川辺に住んでいたそうですが、十五六年も前からここへ
出て、何かの縁を頼って、初めは江戸の品川に草鞋をぬぎ、それから山の手辺を流れ渡って最後にこの押上村におちつい