半七捕物帳 31 張子の虎 / 岡本綺堂
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「駿府の在にちっとばかり識っている人があるから、ともかくもそこへ頼って行っ
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「なんだか大木戸まで送るんだそうです」
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(例)飛鳥山
。「江戸時代のお花見といえば、上野、向島、飛鳥山、これは今も変りがありませんが、御殿山というものはもう無くなって
何でも弾いて勝手に騒ぐことが出来るもんですから、去年飛鳥山へ行ったものは、今年は方角をかえて御殿山へ出かけるという風で、
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四月のはじめに、わたしは赤坂をたずねた。
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て来たので、女にも因果をふくめて、一旦江戸を立退こうとするところを、高輪で室積藤四郎の手に捕われた。それに加勢
彼女は江戸を立ち退くについても路銀が必要であった。もう一つには、吉助
さりとて自分の秘密を知っているたったひとりの彼を、江戸に残して置くのはどうも不安に堪えないので、お定は不意に自分
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あくる日、半七は八丁堀へ出向いて、きのう取り調べただけの結果を報告すると、藤四郎はなるべく早く調べあげ
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向島、飛鳥山、これは今も変りがありませんが、御殿山というものはもう無くなってしまいました。昔はこの御殿山がなかなか賑わった
御殿山というものはもう無くなってしまいました。昔はこの御殿山がなかなか賑わったもので、ここは上野と違って門限もない上に、三味線
、去年飛鳥山へ行ったものは、今年は方角をかえて御殿山へ出かけるという風で、江戸辺の人たちは随分押し出したもんでした。
。しかしまんざらお花見に縁のないわけではない。その御殿山の花盛りという文久二年の三月、品川の伊勢屋……と云っても
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ない。その御殿山の花盛りという文久二年の三月、品川の伊勢屋……と云っても例の化伊勢ではありません
にもっと大きい原因があって、宿場女郎とはいいながら、品川のお駒の名は江戸じゅうに聞えていたのであった。
かれが売れっ妓となったのは姿がいいばかりでなく、品川の河童天王のお祭りに自分の名を染めぬいた手拭を配ったばかりでなく
であったが、若い者とおなじように駈けつづけて、品川の宿まで追い込んでゆくと、松蔵ももう逃げおおせないと覚悟したらしい
駈け出した。片足は草履、片足は草鞋で、かれは品川の宿をさして逃げてゆくのを、藤四郎はつづいて追った。藤四郎
た。夜のあける頃には町与力も出張した。品川は代官の支配であったが、事件が事件だけに、町方も立ち会って
半七はすぐに引っ返して品川の伊勢屋へ行った。かれは若い者の与七を店口へよび出して訊い
裏二階の下はすぐに石垣になっていた。品川の春の海はちょうど引き潮で、石垣の下には潮に引き残された
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。昔はこの御殿山がなかなか賑わったもので、ここは上野と違って門限もない上に、三味線でも何でも弾いて勝手に騒ぐ
みあげながら云った。「江戸時代のお花見といえば、上野、向島、飛鳥山、これは今も変りがありませんが、御殿山という
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云った。「江戸時代のお花見といえば、上野、向島、飛鳥山、これは今も変りがありませんが、御殿山というものは
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かの張子の虎というのを出してみせた。虎は亀戸みやげの浮人形のたぐいで、背中に糸の穴が残っていた。半七
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た者があるかと詮議すると、お定は毎月一度ずつ千住の方へ寺参りにゆくほかには滅多に何処へも出かけたことはない